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「AFTERNOON PIANONNO(アフタヌーン・ピアノンノ)」は、平成4年の北大ピアノクラブ創設当初所属していた部員のうち、一部のOB/OG仲良しメンバーが集まって2010年からやり始めた、小さなサロンコンサートです。茨城で知り合った音楽を愛する仲間さんたちと一緒に年に1度集まり、なるたけお金をかけずに気軽に音楽を楽しもうという、ただそれだけを思って始めた、ささやかな集まりです。 ぼちぼち、ゆる~く、続けていこうと思っております。よろづ帳はこちら! ブログへのご意見・ご要望はこちらまで。

2013年9月1日日曜日

アフタヌーン・ピアノンノ2013~ユングの自分を棚上げ所感!!

もう夏休みも終わりですね。早いものです。もう秋風さよふけて、です。




そんなこんなで、おかげさまで、無事にアフタヌーン・ピアノンノ2013を終えることができました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。


今回はけっこうな大曲が多かったせいでしょうか。時間もかなりいきましたが、バラエティに富んでいて、長いのに聴き疲れしないように思いました。


そんなわけで、後に作ったビデオを見ながら、あの雰囲気を思い出しながら、自分のことをしっかりと棚に上げて、所感を書かせていただきます。先に福島のOさんから、長文の素晴らしい所感を寄せていただいていますので、私の所感は今更ではありますが・・・いろんな方が、それぞれの視点で所感を書くのはきっといいことだろうと思います。いろんな見方、聴き方があるんだなと、人によって感じ方はいろいろ、それも含めて音楽は自由ですね。






★☆★☆ 第1部 ☆★☆★



● N.Tさん 坂本龍一 八重の桜
 ユカタは私のオーダーでしたが、なんとノッてくれました!これホントに嬉しかった!このノリ好きだなあ。
 演奏ですが、この子はきっと坂本龍一が合っているというか、聴かせ方をなぜか知っているというか・・・これは私にはできないですね。私も坂本龍一好きだしいくつか弾くけど、うまく聴かせられない。単なる技術ではないところでなにか掴んでいる子だと思います。
 折り目正しく背筋が伸びるところ、激しく動揺するところ、ひととき彼女がつむぐ音に翻弄されるような気がしました。



● S.Tちゃん ギロック 海辺の歩道
 いやー、子供が育つのは早いです。本当に上達してますね。ペダルもしっかり駆使してね。
 ギロックのこのあたりの曲は、ちょうどこの年頃の女の子がちょっと背伸びしてお洒落な感じで弾くのがよく似合います。とってもいい感じでした。素晴らしい!



● S.Mちゃん ギロック 東洋の市場、ガラスのくつ
 しーちゃんは好きでこの曲を選びましたが、なかなか苦労していました。東洋の市場、ぼそっぼそっとしたところ、表現できていたかなと思います。よく頑張ったねー。



● K.Mくん/ユング連弾 かえるのうた
 まあ、初めての連弾なんてこんなもんですね。本人が出たいというので仕方なく仲の悪い親子でどつき合いながら練習しました。出たがりは親ゆずりです。終わった後、もう嫌になったかと聞いたら楽しかったと言うので、またどつき合いながらやるかもしれません。



● H.Kちゃん、A.Kさん連弾 マザーグース メリーさんの羊
 子供にしては本当にしっかりと音出す女の子です。ママより音大きく出てるのは、ママが抑え気味にしてるのでしょうか。二人とも始めて間もないのにすごいです。



● オレ グリーグ At your feet、ギロック スターライトワルツ
 やけくそで出たれと思って出ました。まあ、この日のベストは尽くしました。グリーグはもっと深く考えて弾きたいのですが、次回におあずけです。特に左手の弾き方について、もっといろいろ考える余地がありそうなんですが。



● H.Kちゃん おもちゃのマーチ
 とっても自由闊達で元気な子。あいさつも元気。子供にしちゃあ、幼稚園年長にしちゃあ、本当に粒そろってるんだなあとビックリ。もしかして、ちゃんとメロディがどれとか意識しながら弾いてないか?すごいなあ、です。



● K.Sさん親子アンサンブル アンパンマンのマーチ
 ママ編曲のこの曲。家族アンサンブル、いいですよね。みんなでそれぞれカバーし合って。一番下のSちゃんが、まんなかのお姉ちゃんにリードされながらタンバリン振ってるのがかわいらしいです。いい思い出になりますよね。



● I.Kさん リスト 愛の夢
 Iさんは50手前でピアノを始めたチャレンジャーですが、もう愛の夢です。リストのオリジナルではないですけど、良い編曲で、雰囲気をオリジナルのまま、素敵に弾いて下さいました。この方の演奏は独特です。肩の力を抜いて、自然に、自然体に、無心に。素晴らしい音楽との付き合い方をされているなあと、幸せの音楽を楽しませていただきました。



● K.Tさん ジョン・レノン イマジン
 私は本当に洋楽を知らず、これもほとんど知りません。でしたので、曲の意味とか全く分からないのですが、Tさんの中にある、pureで繊細で触ると壊れそうなまる裸の心がそのまま声になり弦になり、響いたように思いました。音楽とは、そうしたものですよね。



● M.Kちゃん/S.Kさん連弾 犬ふんじゃった
 タイトルからして面白そうですが、これ簡単だと思いますか。どうでしょう。みなさん実際に弾いてみたら、案外難しいですよ。頭が途中で「犬?猫?????」になり手が止まります。
 とってもリズミカルに、楽しく弾いてくれました。最後まで息ピッタリでした。



● A.Kさん リチャード・クレイダーマン 秋のささやき
 まだ始めて1年ちょいですが、大人の演奏でクレイダーマン。秋のささやき、いい曲ですよね。
 しかしものすごい速度で上達しているように思います。速いパッセージもよどみなく。この曲の素敵なところ、流れるところ、語るところ、みんな伝わっていました。あ、この曲弾いてみたいな、と思わせる演奏でした。



● N.Tさん 久石譲 Summer / 服部良一 蘇州夜曲
 今回初めて参加してくださいましたが、雰囲気ある人です本当に。上手いのはもちろん上手いのですが、やはりありきたりな言葉にはなってしまうけど、聴かせ方を知っている?
 弾き語りも相当慣れているのでしょう、自然で、まるで伴奏してもらって歌っているような感じ。声もまた素敵で、最後のWooo~はプロかよと思いました。
 そして弾いている姿がまた絵になるピアニストさんです。
 さらに、直接話してみると、本当に音楽を愛して音楽バカというかなんというか、音楽のことだけ考えてると幸せ~♪な感じの人です。素晴らしい仲間を見つけました。来てくれて本当にありがとう!!



● K.Sさん ベートーヴェン ソナタ月光3楽章
 ご本人はかなり出来にショックを受けておられたようですが、私はゾクゾクして聴いていました。
 とにかく大曲ですが、おどろおどろしいところ、スフォルツァンドで叩きつけるところ、心にバシッと来る演奏でした。細かいところは気にしても仕方ないのですが、目指すところがやはり厳しいところにあるのだろうと思います。私にとっては立派なブラボーです。




★☆★☆ 第2部 ☆★☆★



● N.Tさん親子連弾 ハチャトゥリアン 仮面舞踏会
 わかってはいましたが、やはりイケイケ親子でした。この曲ならイケイケになるしかないですが、この二人は本当にそれを素でいく二人です。聴いててトリプルアクセル連発決めまくるバリバリの真央ちゃんが頭の中で踊りまくってました。サイコーでした!



● R.Oさん ドビュッシー 夢
 ドビュッシーが似合う方ですね。なんとなーーーーーく、こう、ずーーーーーーっと同じような揺らぎの中を泳ぐような雰囲気を、ようく醸し出されていました。途中から少しcresかかるところも、ハデ過ぎず抑え目で、夢のまどろみの中にいるようでした。



● N.Tさん ドビュッシー 月の光、メンデルスゾーン 無言歌集より「Duetto」
 和装で聴くドビュッシーもオツなものですが、なによりメンデルスゾーンが素晴らしかった。なにか清い心が水の流れがあって、なにか光り輝くものを与えられるような、上から光がさしてくるような、神々しさを感じました。ブラボーです。



● M.Iさん親子連弾 チャイコフスキー くるみ割り人形 序曲
 有名な曲ですよね。本当に、速いテンポで人形が目の前で踊ったりコケたり落ちかかったり滑ったり。コミカルな様子が目に浮かぶような演奏でした。
 技術的にはものすごいことなのだろうと思いますが、それを感じさせず、純粋に音楽に引き込まれました。ブラボーです。



● R.Oさん・J.Iさん連弾 フォーレ ドリーの子守唄
 J.Iさんは初めてご参加いただきました。学生時代にピアノのサークルというのは私と共通点です。どんなサークルだったのか聞いてみたい気がします。
 さて子守唄といいますが、何度聞いても私の頭の中には舟がうかぶので、私の中では舟歌です。
 流れるようなメロディの受け渡しも素敵でした。次はぜひミャオもやってほしい。そしてソロもやってほしいです。



● K.Tさん ベートーヴェン ソナタ24番-1楽章
 私が大好きな曲を弾いて下さるだけでも嬉しくなってしまいました。この曲ほんとに好きなんですよね。いい曲です。しっかりと弾いてくださってありがとうございます。
 後期が始まるあたり以降のソナタは珠玉の宝石ですね。美しい。聴いていてなにかふっとひとつところに落ち着く。そして心地よい。澄んだそよ風に吹かれるような。ひととき田園風景の中にトリップさせていただきました。ブラボーです。



● T.Nくん ベートーヴェン エリーゼのために
 オクターブが届かない小さな手でよく頑張りましたね。弾きたいという熱意があれば、たいていのことはできるものです。歳くってから音楽始めたおじさんたちも同じだよ。これからも、自由に音楽を好きで続けていってほしいですね。



● N.Iちゃん アレグロ、モーツァルト キラキラ★、バッハ メヌエット2番
 バイオリン。始めて半年。小1。ほんとか??音ちゃんと取れてるし、それにメロディちゃんと流れてるし。
 これはなんでしょうね。私はビックリしてしまいました。才能でしょうか。もっとこの子のことを知ってみたくなりました。とにかく驚きです。これからが楽しみですね。



● Y.Oさん ベートーヴェン 6つのパガテルより抜粋
 ただただ、心の奥底の深い静けさの中で、自分の人生をなぞって、眺めているような、そしてそれを肯定して、ゆったりと穏やかな境地に座っている。
 彼はどうしてこんな演奏ができるんだろう若いのに。
 不思議です。昔から不思議でしたが、さらに不思議になりつつあります。
 一度ゆっくり音楽の話でもしてみたいです。





★☆★☆ 第3部 ☆★☆★




● M.Mさん ショパン 舟歌
 遠く岩手から来てくださいました。いつもありがとう。
 今回プログラム唯一のショパン。これだけの長い難曲に挑戦するだけでもすごいことですが・・・
 今回いろいろミスタッチを気にしていたようですが、彼女がなにをこの曲で表そうとしていたのかはわかりませんが、私が純粋に感じたのは、とにかく大きな流れやうねり、そしてゆったりと舟をこぐ時間が止まったような静けさ。そのダイナミックレンジの大きさがものすごかった。ああ、相変わらずスケールでかい音だけど、繊細なところが見え隠れするようになったと思います。また今回、今まで彼女の音からは聴いたことがなかった、不思議なしゅるしゅるっというような、滑るような音が出てきました。聴いていて思わずハッとした瞬間だったのですが、なにか新しい表現に挑戦しているのかなと思いました。素晴らしいですね。この歳でも音楽を好きで新しい試み。私も頑張ろうと思いました。



● H.Sちゃん 浜辺の歌
 途中止まりかかりましたが、ちゃんとリカバリ、弾ききりました。
 この歌、シンプルな旋律ですけど、こうしてぽろぽろ聴くとオツなものです。私は子供のころにオヤジが教えてくれた歌でした。ギロックもいいけど、こういう童謡をもっとやってもいいなあと思います。



● K.Sさん・K.Tさん連弾 ブラームス ハンガリー舞曲5番
 毎回連弾やってくださるお二人。超有名曲です。
 この曲は、弾いててきっと楽しいのだろうと思います。ひっそりしたかと思えばガツガツ激しく、変化に富んでいて面白い。スピード感あって、聴いててノッてしまいました。
 この先子供たちが必ずどこかで合奏やらでやる曲でしょう。こういう有名どころが奏でられるのは素晴らしいですね。



● Y.Nさん ドビュッシー アラベスク1番
 この曲の不思議世界、幾何学模様が飛び交う世界に案内されてふわふわ飛んだり坂を登ったり降りたりする様子が頭に浮かびます。とっても綺麗に弾いてくれたなあと、ここ一番の出来だったのではと思います。



● M.Oさん ラヴェル 道化師の朝の歌
 譜読みも指も超難しそうな、そして曲そのものを理解するのも難しそうな曲ですが・・・
 なんでこんな弾けるんでしょう。男前すぎます。
 私は聴いていて、この曲とてもヤバイという気持ちになりました。なにかヤバイものに追われてダッシュで逃げたり隠れたりしてるような気がします。うう、こわいよー、って気持ちになる、つまりこの曲を見事に表現されていたのではと思います。終わった後は言葉が出ませんでした。ブラボーです。



● H.Kちゃん、パパ連弾 ドイツ民謡 青空
 演奏中の体の揺らし方がパパとHちゃんとでシンクロしてるんですよね。そして終わった後はなんと、御姫様だっこ!それやるために衣装選んだな!!素晴らしい仲よし親子でした。



● Y.Mくん ブルグミュラー 清らかな小川
 ブルグミュラーの中で有名ならしいですが、知りませんでした。練習ちっともしないで本番迎えました。無理にやらして音楽好きになるわけもないのでいいんですが、この曲の持つ、水が流れるような、キラキラ感や緩急はとても心地よかった。いつの間に、とちょっと嬉しくなりました。
 下手でもいいから音楽を好きなまま、好きなように弾き続けていってほしいです。



● H.Nさん デビッドボウイ スターマン
 私は本当に洋楽を知らないのですが、きっと原曲は全然雰囲気違うのでしょうね。ウクレレで、全く違う自分の歌にして自分のモノにして、新しい世界を作っている。そしてそれがとてもいい感じにコミカル。いいセンスだなあと、脱毛です。あいや、脱帽です。



● H.Nさん、K.Tさん、Y.Tさん Blur Tender
 なんか、これはいいですねえ。
 アメリカの荒野を、60年代のぼろい車でラジカセ流しながら旅しているような、古き良き時代の、ちょっとくたびれた感じがカッコいい、そんなにおいがしました。
 カホンがかなりイケてました。



● A.KさんA.Kさん夫婦 FunkyMonkeyBabys ヒーロー
 この二人の舞台度胸と言うか、ノリの良さ自由さというか、すごいですね。
 その場が一気にカラオケ会場になってしまいました。持っていきかたが半端なく意表を突きます。
 歌詞の「最寄駅の改札の~」が、どうしても「守谷駅の改札の~」に聴こえてしまい、面白かったです。



● K.Mちゃん 風の谷のナウシカ
 私はほぼ同じ編曲のこの「鳥の人」を、20歳の時にピアノやるぞと決心して挑戦しまして挫折したことを思い出しました。ノーミスで弾けている彼女。やはりママの血でしょうか。弾いているときの姿勢も素晴らしく綺麗です。
 曲からは、なにか小さなはかないものを大切に愛おしく守るような、そんなしみじみした演奏でした。遠いところをいつも来てくれてありがとう。



● Y.Sちゃん グルリット 夕べの歌
 グルリットという作曲家を今回初めて知りました。
 これ、いい曲ですねえ。音楽として。なにか、少し暗い、夜の森の中にいるような、そんな情景がわきます。素敵な演奏でした。



● M.Iちゃん バッハ シンフォニア10番、スカルラッティ ソナタK27、メンデルスゾーン 無言歌集より 紡ぎ歌
 スカルラッティ、こんな素敵な曲だったんですねえ。目をつむって、この子が小学生であることも忘れて、曲のpureな世界に入っていけます。メンデルスゾーン、まあ楽しそうな、なんでしょうこれは。ミツバチがぶんぶん花畑を飛び回っているようですね。この情景の裏には、想像を絶する練習量があるに違いないわけですが、それを感じさせない、自然な軽快さと快活さ、そして楽しそうに弾く姿。素晴らしい子がいるものだなあと、嬉しくなってしまいました。ウルトラブラボーです。



● ユング夫婦連弾 ギロック 歩道のカフェテラス
 この曲は、パリのどこだかわかりませんが、歩道にあるカフェ通りを、仲よし二人の男女が手をつないで踊りながらいくと、周りも楽しくなってみんな一緒に踊りに入って行く、そんな曲です。
 そんな情景が伝わっていたらいいな、と思います。



● 瀧山晃弘さん スクリャービン 4つの小品Op.56-1、2つの詩曲Op.32ほか
 昔からスクリャービンがライフワークで、いろいろ聴いていたのですが、やはり、学生時代とも少し違う演奏になったような気がしました。あまりにレベルが高いので、所感を書くにもすごく頭使うのですが・・・
 以前は怪しいひたすら怪しい感じが前に立つ演奏だったように思うのですが、今回聴いた演奏は、少しそこを抑え気味にしているのか、あるいは他の神々しいところが前面に出てきているのか、なんというか、存在がより高いところにあるような気がしました。自分でも何言ってるのかよく分かりませんが(笑)激しいなら激しいで、より美しいそして理路整然とした激しさとでもいうのでしょうか。
 でも、この瀧山さんの、小さな、ひそやかな、この世界はやっぱり変わっていない。瀧山さんだなあと、懐かしく思う演奏でした。聴けて本当に幸せです。遠く北海道から、ありがとうございました。








そんなわけで、またいつものように、単に私の妄想の話でしかない、感想文にすらならない程度ですが、自分を棚上げ所感でした。



今年のピアノンノでは、多くの方から「ピアノの調子が非常にいいのではないか、単なる調律以上の調整などしたのか」という質問を何人かの参加者の方からいただきました。

このログハウスのピアノは、1週間前に私が試弾して、かなり狂ってるなあと思いました。そして前日に、遠く青梅からヒラタピアノサービスの平田さんに調律に来ていただいたものです。

私もいつも平田さんに調律していただいた後に思うのですが、「違うピアノになってる!」という感じでした。音の周波数だけでない、なにか魔法がかかっているような。押した力のぶんだけの音が、素直にストレートに出てくれる。なんて弾きやすいんだろう。そう感じました。アフターでも弾いていてその感触が楽しくてたまりませんでした。

調律、大切ですねえ本当に。平田さん、遠いところをありがとうございました。







また来年も、こんな楽しい所感を書けますように。いつでも、その年のピアノンノがもしかしたら最後かもしれないと思いながら、大切にしていきたいと思います。







今回、遠くから足を運んでくださった、瀧山さん(北海道)、Mさん親子(岩手)、Oさん(福島)、Kさんご一家(横浜)、Fくん(東京)、T.Aさん(東京)、C.Gさんご一家(岡山)さん、遠いところ本当に、ありがとうございました。涙がちょちょぎれます。


プログラムの人物紹介文を寄稿くださった皆様、ありがとうございました。おかげさまで楽しいプログラムになったと思います。


プログラムの挿絵とキャンバスの絵を描いてくださった、岡山のC.Gくん、そして岩手のM.Mさん。本当に二人とも素晴らしい才能です。私には描けない・・・いつもありがとう。


また写真を撮ってくださっていた、H.Nさん、I.Kさん、N.Tさん。ありがとうございました。


そして、素晴らしい長文の所感を寄せてくださった福島のOさん。本当に、ありがとうございました。これは大変な作業だったと思います。ビデオも送ってないのに、本番の瞬間聴いていた音を感じてあの文章を起こすというのは、どれほどにか真剣に耳を澄ませて音楽を感じておられたのだなあと、これは本当に感動しました。



弾いてくださった皆様、拍手をくださった聴衆の皆様、騒いで盛り上げてくれた子供たち。そして、素敵なピアノ、あたたかいログハウス、夏の日差したち。

あの場にあった全てに、感謝します。ありがとう。奇跡のひとときでした。







また来年、あの素敵なホールでお会いできますように。










2013年8月19日月曜日

福島のOさんによる演奏所感!!!ありがとうございます!!!

アフタヌーン・ピアノンノ2013、無事に終わりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!!


福島から毎年足を運んでくださっているピアノクラブOBのOさんが、今年は全奏者の所感を書いてくださいました!!

ピアノクラブ時代も、よくみんなの演奏についてよろづ帳に書いてくださっていたのを思い出します。

掲載許可をいただきましたので、名前をイニシャルにして掲載させていただきます。










~ここから~


<K.Tさん>― いきなり個人的な話になりますが私、最近実はギターの音楽ばかり聴いています。今の勤務校にギターマンドリン部というものがあり、結構間近で聴く機会があり、なんか落ち着くんですね。という訳で、ギターが聴けるというだけで嬉しい状況です。特に今回は超有名曲をしかも忌野版で熱唱していただき感謝感激です。



<Y.Tさん>―今回はパーカッションのみの参加でしたが、すごく端正な姿勢でピアノに向かっている様は絵になっていました(というか、どんな場面でも彼女の立居振舞には典雅さを感じるのですが)。Y.Tさんピアノ伴奏、K.Tさんギター弾き語りなんて来年やってくれないでしょうか?



<S.Tちゃん>―ギロック流行っているんですかね?と言いかけて、ピアノ学習者の定番である事を思い出しつつ、その年齢ごとの「物語」で弾いている様がよく伝わってきました。子供なりに子供の物語がつむげる曲って大事だなと思う今日この頃。



<H.Nさん>―H.Nさんといえば、私にとっては2年前のウクレレです。今はギター関係の音楽が好きなので、今回のウクレレも本当に落ち着きます。Starmanとウクレレって普通は結びつかないと思うんですが、独自の世界を作っていてすごいなあといつも感心します。できればいつかSting のfragileをやってほしいなあ、ウクレレで。



<Y.Nさん>―何の濁りもない無色透明って感じのドビュッシーのアラベスクでした。アラベスクって要は「幾何学的な模様」ですから、こういう透明感のある演奏に接するとすがすがしい気持ちになります。



<T.Nくん>―彼の演奏の時だけ小学低学年女子が取り巻いていたのが妙に気になったのですが、それだけ何か惹きつけるものがあるんでしょうね。超絶技巧体育会系ピアノじゃなくて、クールな内省的なピアノ弾きの男子に育ってほしいです。最終的にはそっちの方がモテます。



<I.Kさん>―「大人のピアノ」というとやはり二種類意味があって、一つは「酸いも甘いを知り尽くしたいぶし銀のような魅力のあるピアノ」、そしてもう一つは「大人からピアノを始めて技能と情熱とのアンバランスに格闘するピアノ」。だから、この編曲版「愛の夢」は非常に良い選択だったと思います。原曲であれば、なかなか大変で、弾くので手一杯で、伝えたいことも伝えられないのでは、大人からピアノを弾く意味がない。でも、この編曲なら、I.Kさんの歌いたいところも余裕をもって表現できたのではないでしょうか。



<S.Kさん、M.Kちゃん>―「犬ふんじゃった」の題名を聞いた時から「たぶんこういう曲だろうなあと予想していたのですが、想像以上にうまく作ってあって感心しました。「猫のお巡りさん」だと大昔に流行って、今だったら動物虐待にしかみえない「なめ猫」を連想させるのでダメなんじゃないでしょうか。こういう音楽遊びもとても大切だと思います。



<K.Sさん>―ベートーヴェンのソナタ作品27-2「月光」、頑張りましたねえ。普通、ああいう風に止まったらなかなか元には戻れないものですが、根性あります。偉そうに助言するなら、譜読みの段階で和声進行をきっちり把握しておき、練習の時でも弾きながらいつもその和声の流れを意識しておくと良いと思います。和声(コード)さえ間違ってなければ、あとは即興でもどうにかなります。そういう意味でハンガリー舞曲は、分担が決まっているので弾きやすかったと思います。ともあれ、努力の人ですね。



<H.Sちゃん>―浜辺の歌。こういうメロディが歌い継がれるというのも大事だなあと思います。小さいころはなんとなく弾いただけの曲こそ、実は大人になった時に強烈に思い出されるものなのです。そういう意味で、こういう場所で「弾いた」というのは彼女の財産になるでしょう。DVDにも残る訳ですし、「聴いた事がある」のと「弾いた事がある」のとでは雲泥の差です。



<Y.Sちゃん>―グルリット、まるで冗談のような名の音楽家ですが、ピアノ学習者には馴染がある人でしょう。でも、どれだけ作品があって、ピアノ学習者以外の演奏はあるのかとなると本当に限られたチャンスしかないというのが現状でしょう。私も今回の曲、初めて聴きました。初心者でもやはり自分で表現できる曲がたくさん用意されているというのはいいことだと改めて思いました。



<H.Sちゃん>―今、演劇部の顧問をやっているのですが、リズム感がない生徒というのがいて、「若者はリズム感がある」というのは勝手な思い込みであることを痛感しています。しかし、最近では「リズム感がないのではなく、その人特有のリズムが生まれながらそれぞれにあり、人々とのかかわりの中でリズムの共有がなされてゆく」と考えるようになりました。つまり、H.Sちゃんには、当然まだ十分な社会性はない訳で、同じアンパンマンのマーチでも、彼女の身体リズムはああいう風なんだなと思う訳です。つまり原初のリズムを聞くことができて、貴重な体験でした。さて、これからどうなってゆくのでしょう。来年が楽しみです。



<N.Tさん>-また良い人が仲間に入ってくれましたね。ピアノ演奏にせよ歌にせよ、本当に懐が広いというか華があるというか、人に音楽を伝える術と想いが明確にあるというのが素晴らしいです。プロであっても全く遜色ない存在感もあったのですが、やはり本当に好きな事は仕事にはしたくないという感じなのでしょうか。あるいは、いろいろな運命の流れの中でたまたま今に落ち着いているのかな。



<N.T(娘)さん>-この年頃の子って、こういう何とも言えない「場」に出るのはためらうものだと思うんですけど、本当に飄々と何気なく音楽を作ってゆきますよね。彼女くらいの技能を持った同世代の人はいっぱいいると思うのですが、10代特有の自意識というのが邪魔して、なかなかにああいう風に自然体には弾けないものです。そういう意味でどんな大人になるんだろうと楽しみです。というか、すでに完成されている雰囲気があるので、二十年たっても、見た目も中身もそれほど変わってないような気もしますが。



<R.Oさん・J.Iさん>-このお二人、フランス近代作品を弾いた訳ですが、「こういう風に表現したい!」というのが本当によく伝わる演奏だったと思います。誤解を招きそうな表現ですが、いつまでも失われない「乙女の心」を感じますね。コンサートホールでなく、こういうサロンで聴きたい演奏です。



<K.Tさん>-K.Sさんと並んでこの人も「ガッツの人」ですよね。そして、今回弾いたベートーヴェンのソナタ24番作品78「テレーゼ」、あえてこれを選ぶというのもなかなかいいなあと思いました。演奏も骨太で聴きやすかったです。



<M.Iさん>-ピアノという物体がその家にとって「音の出る家具」なのか「音楽を産み出す神秘の箱」なのかによって、子供の音楽的な環境はだいぶんと違うでしょう。音楽を表現する才能というものは厳然としてあるのは事実ですが、それが開花するかどうかはまさに環境です。そういう意味でM.Iさんは非常に良い環境を子供たちに与えているんだろうなあと演奏を聴きながら想像しました。



<M.I(娘)さん>-相変わらずとばしていましたが、この年頃であれば「自分が出来うる事を思い切りやりきりたい」という想いも強いと思うので、今後様々な経験(音楽以外の)を重ねて音楽を作っていってほしいです。バッハのシンフォニア、きちんと声部の弾き分けができていて縦・横のラインはばっちりです。あとは、この抽象的な小宇宙をさらにどのように表現できるか模索していってほしい。スカルラッティ、なんの衒いもない非常に素直な好感のもてる演奏でした。できればスカルラッティの555曲ある鍵盤のためのソナタのより多くの作品を知り、自分が今弾いている作品が全体の中でどんなキャラクターなのかを考えてみてください。メンデルスゾーンの無言歌はやはり自分の側に共感できる何かがあるのか、非常に説得力のある演奏でした。今後の大きな課題はテクニカルな面と精神面とのバランスをどうとっていくかです。技術的に難しい作品は、たいてい精神面でも難しい。この年齢でこのテクニカルなレベルに達していると、この先「何をいかに弾いてゆくのか」が難しいなあというのが私の心配です。精神面で易しく、技術的に難しい作品はやはり「曲芸的」になりがちで、いろいろやった後に楽しみとして挑戦するのはいいですが、弾けるからといって若いころにそういうのばかり弾くのもどうかと思います。個人的には「王道」を進むべきと思います。さて、来年はどうなっているでしょうか?



<N.Iさん>-音への感受性が素晴らしいですね。ピアノをやっていると、鍵盤を押すと音は勝手に出てくるし、出てくる音にも鈍感になりがちですが、ヴァイオリンは「音が命」。よって、ヴァイオリンの才能はまず「音が聴けるか」というのが一義的にあります。当たり前ですが、音程を定めなければなりません。そして、音色もすべて自分で決めてゆきます。そういう点で今回、この年齢で、その作品に必要な音をきちんと出せていると言うだけで凄いです。やはりこれは持って生まれたもの+環境ですねえ。



<A.Kさん・A.Kさん・H.Kちゃん>-どうのこうのいって、夫婦(家族)で音楽ができるのってうらやましいです。あんまり人の事、うらやましいなんて思わない方なんですけど(基本、「人は人、自分は自分」という基本スタンスで幼児から生きてきたので)、「夫婦で音楽」だけは「人は人」で済まされない何かがあるような気がするんですよね。特にこのお二人(+お嬢さん)はそれを強く感じました。学校の先生やっていると、どうしても「家庭環境」というものに直面しなければならず、夫婦仲が悪ければやはり子供はいろいろ問題を抱えている事が多い。子は鎹(かすがい)とはよく言いますが、それは子育てという共通の目的が衝突の抑制力になるという事だと思うのですが、逆に考えれば鎹になっているからこそ、子供は傷ついているんです。別に、世の中もともと何もなくても仲の良い家庭も多々あると思うのですが、一緒に音楽をやるとなったら、なおさらにもっと具体的で精神的なつながりを確認しなければできない訳で、音楽が鎹となるならば、理屈の上では皆がもっとハッピーになるはずで、ふとアフタヌーンピアノンノって家庭円満に大きく貢献しているのではと思ったりして。ちょっと楽観的すぎるかな。










次にピアノクラブの人々。





<Y.Oさん>-ピアノクラブきっての理論派がベートーヴェンのバガテルに行きつくのはちょっと早いのではと思ったんですが、考えて見れば全然早くないですね。彼の明晰な頭脳をもってすれば、同じ時間でも、私なんかよりも多くを見て、多くを経験し、ある種の境地に達していると思われます。つまり、私の精神年齢はとうに追い越しているでしょう。でも、バガテルは枯れた回想の音楽じゃあないんですよ。ベートーヴェンの後期の作品は、悪戦苦闘した上での「俯瞰の音楽」なんだと個人的には思っています。奥さんも言っていますが、「悟り」には確かにまだはやい。「悟り」の前段階の「俯瞰」だと思うのです。



<M.Oさん>-去年、「ペダルをほとんど使わないラヴェル」という離れ業をやってのけた訳ですが、今年もまたペダルは最小限で「道化師の朝の歌」を弾いてくれました。旦那さんの指摘のように、ラヴェルの作品は(ドビュッシーの仲間ではなく)古典派の延長であり、ペダルは最小限に抑えて音色の微調整に徹する方が美しく響くようにできているのです。しかし、単純に古典派のように繊細に明晰に弾いていればいいってもんでもない。現代ピアノのための音楽なので、ピアノの機能を最大限に活用した作品でもある。つまりは、繊細にかつ大胆にという相矛盾する音楽なのがラヴェルなのです。と言う訳で、アクセント・リズムもきっちりしていて、大変に豪快なラヴェルでよかったです。



<A.Mさん>-弾く曲、何を選ぶかが私にとってはいつも注目の的なんですが、グリーグは全く予想がつきませんでした。しかも抒情小曲集作品68-3の「あなたの傍で」を弾くとは。ロマン派ど真ん中の中年男性が弾くには気恥ずかしさすら覚えるこの曲を弾く(たぶん、純粋にブラームスっぽい曲として選んだとは思うんですが)のにある種の男儀(別の言い方をすれば父性)を感じますね。これ弾いて、後で奥さんと連弾で「歩道のカフェテラス」とか私は恥ずかしくて無理です(というか色々と別の面で演奏はできないと思いますが)。で、演奏ですが、メロディラインが途切れる部分の間の味わい、そして息の長い歌の部分のカンタービレも大変よかったと思います。たぶん、子供だとまだこういう風には弾けないんですよ。それらしく表情をつけて上手く弾けるとは思うのですが、「それらしい表情」と「まさにこの表情」とは雲泥の差があるわけで。最近、演劇部の顧問やっているもんで、そういう作為というものに敏感になっております。

ギロックの星空円舞曲、歩道のカフェテラスですが、ワルツを弾く時には3拍目に意識をしてみてください。強く弾けということではありません。意識をちょっとそこに傾けるということです。ズン・チャッ・チャのチャです。西洋音楽は基本的にはアクセントがあるのは最後の拍です。しかし、どこで間違ったか、何故か日本の音楽教育の中で、最初の拍にアクセントがあるように教えるようになったので、最初の拍を強調する癖がついている人が大半です。でも、ホントはそうじゃないのです。一例として、ショパンのワルツ作品64-2を聴いてください。最後の拍にアクセント的なフレーズがあるかと思います。分かりにくければ、同じ曲をラグ(2拍子)に編曲したものを聴いてください。違和感ないということは、もともと裏拍(アフタービート)にアクセントがあったということです(それを誇張している)。ただし、西洋音楽でも民族音楽を取り入れているような作品(ハンガリー舞曲、トルコ行進曲など)はあえて最初の拍を強調しています。強調することで、民族音楽ぽっさを出しているのです。ジャズ・ポップス・ロックはもともと西洋音楽にある裏拍(アフタービート)をもっと強烈に前面に出したものです。ジャズ系のクラシックならガーシュインの前奏曲、ロックでいえば紫の煙なんかは典型的ですね。と言う訳で、3拍目に意識を集中すると、もっとワルツっぽく躍動感がでてきます。繰り返しますが、音を大きくするという事ではないです。意識を向けるということです。特に歩道のカフェテラスでは、ベース担当(つまりペースメーカー)ですので、曲の雰囲気を決めるのはお父さんです。



<N.Mさん>-N.Mさんに限らず、お子さんのいる人々の切り替えの速さにはいつも感心することしきりです。本当に演奏直前までバタバタしていても、いざピアノの前に座ると完全に音楽の世界に没入できるというのが、凄い。夫婦連弾では「子供なんていないんじゃないの?」と感じるくらいに二人だけの世界になっていて、曲想もあいまってその仲睦まじさにアフタヌーンピアノンノの全体の空気をつくっているように感じました。ちなみに、「歩道のカフェテラス」って、ちょっと妙だなあと思って原題を調べてみたら、Sidewalk Cafeでした。これなら、単純に「カフェテラス」でいいと思います。Cafe Terraceはもともとイタリア語で、歩道や野外にあるカフェのことです。つまり、「歩道のカフェテラス」って、「豆の煮豆」みたいな訳なんですね。



<Y.Mくん・S.Mちゃん・K.Mくん>-3人とも「音楽がとことん好き」というよりも、様々なやりたい事の中に「音楽もある」という感じで、これくらいのペースで音楽と関わってゆくのがいいのかなと思います。楽器の演奏というのはつきつめれば、いくらでも先があり、その先を考えると段々と嫌になり、中学あたりで「楽器演奏は一切シャットアウト」という事になりがちなんですが、最初から程良い距離感があれば、末永く自分の世界の一部として保持する事ができるでしょう。保持する事ができればその年齢ごとの琴線に触れる音楽の出会いがあり、違った形で自分なりの音楽世界を作ってゆく事ができるでしょう。まあ、今後どんな事に興味が増して、情熱の分配というのがどうなるかはわからないので「音楽はとりあえずもういいや」と言う風になるかもしれませんけど。ただ、Kくんに関しては、なんとなくですけど、高校生あたりで「ドラムやりたい」とか言い出しそうな気が。と言う訳で、打楽器をやっているような錯覚を与える「太鼓の達人」とか「太鼓さん次郎」とかはなるべくやらせない方がいいかもしれません。え?すでにやってる?それじゃあ、しょうがないですね。まあ、長い目で見守りましょう。



<M.Mさん>-相当に大昔に私がショパンに夢中だったころ、技術的に難易度の高くないワルツとかマズルカとかノクターンとかプレリュードとかエコセーズとかを結構弾いていました。で、技術的な問題はあるにせよ、自分はショパンの音楽の理解者・代弁者だと思い込んでいたものです。若気の至りでなんたる傲慢な考えだったかは、ちょっと世界を広げれば痛いほど分かる事でした(上手く弾ける人がいるということでなく、ショパンはそんな単純な音楽ではないということに気付く)。ショパンには、ピアニストに「自分はショパンを理解している・代弁者だ」と言う風に勘違いさせる「麻薬みたいな何か」があるんですね。ことにそれは技術的に難易度が高まれば高まる程に強くなり、プロのピアニストとなっても、「ショパンのスペシャリスト」とか平然と宣言する人が後を絶たない訳です。まあ、それぞれのピアニストにそれぞれのショパンがあるのですね。それはショパンの音楽が「不正解はあっても正解のない」ものだからです。よって、ショパンだけしか弾かないショパンコンクールも成り立つ。冷静にショパンについてきっちり考えるならば、時間はいくらあっても足りないし、そう簡単に演奏の正解も見いだせない。よって、理知的・構築的なピアニストはたいていメインレパートリーにショパンはほとんど入れません(ブレンデル、グールド、ケンプ、バックハウス、シュナーベル、ゼルキン)。いわゆるショパンがレパートリーの中心というピアニストは「思いこみが激しい」というか「自己中心的」というか「直感的」というか、そんなタイプのピアニストが多いような気がします(ルービンスタイン、コルトー、ロシアピアノスクールの面々、パデレフスキ、パハマン、フランソワ、などなど多数)。ま、そうでないと演奏会なんてできないと思います。

前置きが長くなりましたが、M.Mさんの「舟歌」、「いい曲だから弾いてみた」という以上でもなければ以下でもない、ある意味でストレートな演奏でした。大人になれば、アマチュアは特にそうですが、「自分のショパンはこうよ!」的な「アク」出てくるものですが、そういうのは全然ないです。よくニコニコ動画とかで「~を弾いてみた」というタイトルのものがありますが、その気の抜けた言い方に反して「君、相当に練習しているだろう!」というのが多くて(例えば、去年からネット上でヒットしている千本桜のピアノバージョンなんて、かなり練習しなければ弾けないでしょう。「弾いてみた」とかいう気易い決意ではできないはず)、M.Mさんの演奏もそれに通じるものがあります。ただひたむきに弾いてみた、その結果、音楽そのものが単純につむぎだされる。音楽に力強さを感じますね。今回は、たまたまショパンだったけど、彼女の場合、なんでもそうなんですよね。



<K.Mさん>-ナウシカいいですね、やはり。ペダルなしというのがもったいないと最初は思っていましたが、原曲が名曲なんでポツポツ弾くのもなんだか味わいがあってよかったです。久石譲って、一般的に凄く人気のある作品と優れた作品とが微妙にずれている事が多いんですが、ナウシカに関しては宮崎・高畑コンビに推されて初めて起用された経緯もあり、人気と内容とが一致している素晴らしい作品です。やはりジブリ第一作というのもあるんでしょうけど、気合いが入っている感じがします。そう考えると、「トトロ」じゃなくて「ナウシカ」を選ぶというのがやはり、K.Mさんの成長の証なのかもしれませんね。



<瀧山晃弘さん>-瀧山さんの何が凄いって、一度もピアノを触らずにいきなりあの音色が出せるということです。普通、プロだってリハはやるでしょう。会場での響き具合とかタッチとかペダルの具合とかを微調整する。彼はそれなしで、あの音を出せるんです。ガチャガチャ音を出すだけだったら、ピアノをそれなりに弾ける人だったらリハも要らないかもしれない。でも、弾くのは神智学のスクリャービンなのですよ。もちろん彼としては満足のいく演奏ではないのは重々承知の上で書くなら、もう身体と音楽が一体化しているとしか言いようがない。ピアノは単なる彼の頭にある音楽の媒介装置に過ぎないのではと思ってしまいます。

さらに彼の凄いのは、常に新たな道へ進もうとしているところです。「まだ先がある」と妥協せずに探求し続けている姿は全くもって音楽家の鏡です。今年は去年とはまた違った演奏でした。去年は見通しのいい明晰な音楽作りを志向していた感じですが、今年は全体の構成はしっかりしているにもかかわらず、部分部分に多彩なニュアンスが盛り込まれていて、まさに芳醇なスクリャービンでした。ここまでスクリャービンに傾倒しているアマチュアはそんなにいないでしょう。たぶん日本に限って言えば、アマチュア(セミプロか?)スクリャービン弾きベスト3には必ず入ると思います。アフタヌーンピアノンノに来てくださるのは本当にありがたいことです。









話とびますが、昨日「パシフィックリム」というハリウッド版ロボットVS 怪獣映画を見に行ったのですが(もし巨大ロボットと怪獣が好きでまだ見てなかったら、映画館で3D見る事を強くお勧めします)、その中で準主役の菊地凛子が水本桂さんに似ていたので、来年はまた彼女の力強い演奏を聴きたいなあと思ったことでした。



では、来年もよろしく!


~ここまで~





Oさん、遠いところから来てくださり、まだDVDお渡ししていないにも関わらず、こんな長文の所感をお寄せくださり、感謝感激です。
ありがとうございます!




2013年8月5日月曜日

AFTERNOON PIANONNO 2013 開催します!!

いよいよ2013年の夏本番、もう少しで高校野球ですね。

さてさて、ご連絡が遅くなりましたが、今年も、アフタヌーン・ピアノンノ2013を、開催します!


日時・・・8/10(土)
時間・・・13時開演 17時終了
場所・・・守谷市国際交流研修センター


です!



守谷市国際交流研修センター(逆光で見えない・・・)





ホールはログハウス風の木造りで、とてもあたたかい雰囲気です。
ピアノはヤマハのC7です。








当日は、朝9時からリハーサルで開けています。調律は前日に終わっている予定です。










今年のプログラムは、以下の通りです。

●第1部
1. 坂本龍一 八重の桜(ピアノ)
2. ギロック 海辺の歩道(ピアノ)
3. ギロック 東洋の市場(ピアノ)
4. ギロック ガラスのくつ(ピアノ)
5. ドイツ曲 かえるのうた(ピアノ(連弾))
6. マザーグース メリーさんの羊(ピアノ(連弾))
7. グリーグ At your feet(ピアノ)
8. ギロック スターライト・ワルツ(ピアノ)
9. 小田島樹人 おもちゃのマーチ(ピアノ)
10. 三木たかし アンパンマンのマーチ(家族アンサンブル)
11. リスト=橋田波子 愛の夢 第3番(ピアノ)
12. John lenon 詞:忌野 清志郎 イマジン(ギター+歌)
13. 作曲者不詳 犬ふんじゃった(ピアノ(連弾))
14. リチャード・クレイダーマン 秋のささやき(ピアノ)
15. 久石譲 Summer(ピアノ)
16. 服部良一 蘇州夜曲(ピアノ)
17. ベートーヴェン ソナタ「月光」第3楽章(ピアノ)

●第2部
18. ハチャトゥリアン 仮面舞踏会(ピアノ(連弾))
19. ドビュッシー 夢(ピアノ)
20. ドビュッシー ベルガマスク組曲より「月の光」(ピアノ)
21. メンデルスゾーン 無言歌集第3巻より「Duetto」(ピアノ)
22. チャイコフスキー くるみ割り人形 第1曲 小序曲(ピアノ(連弾))
23. フォーレ 組曲「ドリー」より 「子守唄」(ピアノ(連弾))
24. ベートーヴェン ピアノソナタ24番 第1楽章(ピアノ)
25. ベートーヴェン エリーゼのために(ピアノ)
26. 作曲者確認中 アレグロ(ヴァイオリン)
27. モーツァルト キラキラ星(ヴァイオリン)
28. バッハ メヌエット2番(ヴァイオリン)
29. ベートーヴェン 6つのバガテルより抜粋(ピアノ)

●第3部
30. ショパン 舟歌(ピアノ)
31. 成田為三 浜辺の歌(ピアノ)
32. ブラームス ハンガリー舞曲第5番(ピアノ(連弾))
33. ドビュッシー アラベスク1番(ピアノ)
34. ラヴェル 道化師の朝の歌(ピアノ)
35. ドイツ民謡 青空(ピアノ(連弾))
36. ブルグミュラー 清らかな小川(ピアノ)
37. デヴィッドボウイ Starman(ウクレレ)
38. Blur  Tender(ギター+歌+カホン)
39. FUNKY MONKEY BABYS ヒーロー(ピアノ+歌)
40. 久石譲 風の谷のナウシカ(ピアノ)
41. グルリット 夕べの歌(ピアノ)
42. バッハ シンフォニア第10番(ピアノ)
43. メンデルスゾーン 無言歌集 Op.67-4 「紡ぎ歌」(ピアノ)
44. スカルラッティ ソナタK.27/L.449(ピアノ)
45. ギロック 歩道のカフェテラス(ピアノ(連弾))
46. スクリャービン 4つの小品Op.56より第1曲 前奏曲(ピアノ)
47. スクリャービン 2つの詩曲 Op.32 ほか(ピアノ)




今年は例年なら7月中~8月頭のところが、会場が取れずにお盆近くなってしまいました。
予定が入っている方も多く、例年に比べると参加者が少し少ない感じではありますが、それでもこのようなてんこ盛りのプログラムになりましたことは、本当に参加者の皆様、ありがとうございます。











きっと、素晴らしい思い出に残る演奏会になりますように、祈っております。遠方から来られる皆様、くれぐれも道中お気をつけてお越しください。



ではでは。当日をお楽しみに!!








大ホールの中はあたたかい白熱球の灯りが満ちています。