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「AFTERNOON PIANONNO(アフタヌーン・ピアノンノ)」は、平成4年の北大ピアノクラブ創設当初所属していた部員のうち、一部のOB/OG仲良しメンバーが集まって2010年からやり始めた、小さなサロンコンサートです。茨城で知り合った音楽を愛する仲間さんたちと一緒に年に1度集まり、なるたけお金をかけずに気軽に音楽を楽しもうという、ただそれだけを思って始めた、ささやかな集まりです。 ぼちぼち、ゆる~く、続けていこうと思っております。よろづ帳はこちら! ブログへのご意見・ご要望はこちらまで。

2014年8月10日日曜日

ユングの自分を棚上げ所感!AFTERNOON PIANONNO 2014

こんばんは。ユングです。

AFTERNOON PIANONNO 2014が終わってからもう1週間が過ぎました。
福島のM.Oさんも言われてますが、なんか、あれは夢だったんじゃないかというような気さえする、不思議で幸せでエキサイティングな瞬間でした。



そんなわけで、今年も皆様の演奏を聴いて、私なりに感じたことを所感にまとめました。私の所感は少々ファンタジーで??かもしれませんが、私の感じたままがこうなのと、どうしても書きたいので、書かせてください。もしよければ読んでください。









●I.Kさん・S.Kさん連弾 あまちゃんのオープニング主題歌
 ご夫婦での連弾です。Kさんご一家はとても自然に肩肘張らずに音楽を楽しまれていて、この選曲や演奏にもそれがいつも表れているように思います。この選曲をする時点で、この演奏でなにかすごいことをやってやろうとかバッチリ決めてやろうとかいう意図が全くありません。ただ、楽しく、みんな楽しくなればいいねということ。この編曲もいいですね。少しおどけた旋律をプリモとセコンドでキャッチボールしつつ、最後は流麗な分散和音でしっとりと決めてくださいました。楽しく素敵な演奏でした。



●K.Mくん ぶんぶんぶん
 親の私を見下している、私とかなり仲の悪い下の息子ですが、ぶんぶんぶん、はちがとぶの曲は頑張って練習していました。まあ、まだ6歳で全然弾き方もなにもあったものじゃないし教室に通わせてもいませんが、自分で楽しんで弾いているようで、このまま音楽好きになってくれたらなと思います。



●C.Gくん ショパン 英雄ポロネーズ
 学生時代にも弾いた曲です。まるで昨日のことのように覚えています。すごくゆっくりで、こういう英雄もあるのかと驚いた記憶がありますが。リベンジというよりは、ただ好きだからもう一度弾こうかなという自然体の向き合い方です。そして、学生時代の弾き方とは少し違っていて、より自然なペースで、また完成度も上がっているようです。しかし、細部にこだわらないおおらかなところ、そしてどっしりとした重量感は相変わらず健在でした。これが彼の演奏の一番の特徴であり、聴衆に嫌味を感じさせない素敵なポイントですね。ちょっとホッとする英雄でした。



●S.Sちゃん・K.Sさん アナと雪の女王より 雪だるまつくろう
 かわいらしいごあいさつに始まり、あの「ゆきだるまちゅくーろー」・・・これは反則ですね。そして映画のセリフ。少し哀しい表情まで見事に再現。かわいすぎてどんな気難しい人でも思わず微笑まずにいられません。おいしいところ全部持って行ってしまいました。でも、そんなかわいらしさに隠れがちですが、この子は音をしっかり取ってます。音感優れていますね。 3人姉妹の一番下の子ですが、お姉さんに続いて音楽を好きになってほしいですね。



●Y.Nさん ドビュッシー 月の光
 毎年ピアノンノに出ていただいていますが、出るたびに安定感が増して上達されているなあと感じます。ご自宅でもかなり練習されているのではないかと思いますが、もちろん本番独特の緊張はあるとは思いますが、しっかりした基礎の上に、さらに努力を積まれているなあと感じました。2回続けてドビュッシー。着実にひとつひとつ仕上げて行かれています。こういうところも、1つ1つの曲を大切にしている姿勢を感じます。まあでも、そういうところは置いといて、とにかく透明感がある音です。綺麗な湖面に映る月の姿が見えたような気がしました。



●Y.Sちゃん スラブ行進曲
 この曲を初めて聞きましたが、オケの曲がもとになっているようです。ものすごく体全体を使って弾いてくれました。力いっぱいです。音ひとつ残らず弾きもらすものかというしっかりした思いを感じました。曲想としてはどっしりズンズンズンという感じです。この子の独特の弾き方、たぶんこの子の弾き方の基本的な個性なのだろうと思います。これからが楽しみです。



●H.Kちゃん スピッツ チェリー
 なんで幼稚園の子供がスピッツの弾き語り??なサプライズでしたが、弾き方がパパそっくりだよ!これパパが教えたとのことなので、当たり前っちゃ当たり前かもしれませんが、ほんっとに親子を感じました。この年齢で弾き語りがちゃんとできる、ペダルも制御する、という技術的なことももちろん驚きなのですが、音の迷いのなさ、「愛してる~♪」となんの屈託もなくシャウトできる素直さ、お辞儀の歯切れの良さなど、とにかくこの子の真っ直ぐストレートな心が随所に感じられました。本当にこの先もずっと真っ直ぐ育ってほしいですね。



●Mia&Assey 枯葉
 岩手県からお越しいただいたM.Mさんのお母さん。地元でジャズやシャンソンを歌っていらっしゃいます。私が伴奏でしたが、1年前思いつきで合わせた時もそうですが、ああ、シャンソンてこういう歌なんだ、とちょっと感動しました。私がシャンソンを知らないだけなのかもしれませんが、なんて繊細な感覚なんだろうと。この日は枯葉という季節ではありませんでしたが、私の中では枯葉が舞い、暖炉にあたって過去を回想するような気持ちにつかっていました。私が伴奏させていただいたのは本当に嬉しくありがたかったです。音楽が大好きという、音楽を愛する気持ちがにじみ出てはじけています。ぜひこれからも来ていただきたい素敵な方です。



●E.Uさん カバレフスキー ソナチネ
 子供の練習曲だそうですが、子供がこんなスピードで弾けるかよって、いきなり最初から爆走です。この人の演奏はなんでこんな安定してるんでしょうか。学生時代からその完成度の高さはまったく変わらないのです。聴いていて安心します。これは現代曲なんでしょうか。初めて聴く曲でしたが、小気味よく、スカッとしていて楽しい演奏でした。頭の中でなにか子ネズミみたいなのがたくさんちょろちょろ走りまわってネコと追いかけっこしていました。



●M.Kちゃん おつきさまのおはなし
 かわいらしいソロの曲です。弾き方もとても丁寧でかわいらしく、もともとタイトルどおり落ち着いた曲なのですが、激しすぎず、小さすぎず、とても自然な女の子の演奏という感じでした。女子力を感じさせる演奏です。これもこの子の独特の個性だと思います。この先どんな風に演奏が変わって行くのか、あるいはこのままの路線で行くのか楽しみです。



●K.Tさん・K.Sさん連弾 アナと雪の女王より Let it go
 恒例の連弾デュオのお二人です。これまではどちらかというとノリノリアゲアゲの曲が多かったですが、今年は流行のこの歌でした。その時でしかやれない旬の曲ってありますよね。アナ雪もきっとそうだと思うのですが、弾きたいから弾くのだと言うシンプルな意思を感じる演奏です。ノリというよりはのびやかな、大人なLet it goだったように思います。



●K.Tさん バッハ フランス組曲よりアルマンド
     ブラームス ワルツ15番
 バッハの曲は一度脱線すると、線路を元に戻るのが難しい非常に危険な曲が多く、たぶんこのアルマンドもそうなのだろうと思うのですが、途中脱線しかかりはしましたが、最後きちんと元の線路に戻りました。そしてこの曲のイメージ、とても有名な曲であまりバッハを聴かない私でも知っている曲なのですが、落ち着いて淡々と進みつつ、機械的ではなくあたたかくほっこりした雰囲気が感じられて素敵な演奏でした。ブラームスのワルツは、ブラームスにこんな曲があったんだと、嬉しい発見でした。こうした小品には本当に素敵なのが多いですね。2曲ともにリハーサルでは普通に弾けていらっしゃったので、この日の本番では相当緊張されていたと思いますが、このワルツのなんとも落ち着いて至福なイメージはとてもよく出ていたと思います。



●K.Mさん・A.M親子 シューマン 詩人の恋より 美しい5月には
 私の父が歌いました。歌好き音楽好きの父と一緒に演奏するのは私の夢でした。一度も親孝行らしいことができないダメ息子でしたが、ちょっと嬉しかったです。父の歌声を初めてまともに聴いた気がしました。あ、こういう声だったんだと、まろやかでまあるい声でした。



●K.Mちゃん・M.Mさん ルグラン キャラバンの到着
 楽譜が見当たらずどうなることかと思いましたが、無事に見つかって良かったです。これまた素敵な演奏でした。ジャズ風の曲で、私は初めて聴く曲でしたが、カッコいい!娘のKちゃんが上のパート、下をママのM.Mさんでしたが、リズムが見事にぴったり。ジャズってリズム難しいし、私も聴きながら、あれこのリズムなんだろうってポイントいくつかありましたが、最後まで全くブレず、見事でした。あの小さかった女の子が、もうママと背があまり変わらず、ジャズを一緒に弾くようになったのだなあと、感慨深かったです。



●H.Kちゃん ツェルニー 羊飼い少年マーチ、イギリス民謡 綺麗な花
 あいさつからして素晴らしくキレています。そして演奏もキレています。なんでしょうこの幼稚園ばなれしたしっかりした音とリズムは。練習しっかりしているというのももちろんあるでしょうが、音のひとつひとつをしっかり出すぞという執念のようなものすら感じます。この子は弾き語りもそうですが、将来どんな感じになるのか楽しみで仕方ありません。ぜひこのまま爆走してもらいたいと思います。



●K.Sさん ショパン ワルツ10番・14番遺作
 K.Sさんはかなりショパン度の高い方だといつも聴いていて思います。今回も、ショパンの中で有名なこの2曲、特に後の方のワルツは難易度もハンパないと思うのですが、「有名な難曲」をものともせず弾いて下さいました。この人の面白いところは、誰から習ったわけでもないだろうに、なんともショパンぽいのです。技術的などうこうではありません、その曲をどういう風にまとめるかという曲想の話です。この方は先入観なしに曲を捉えている、それが実に自然で無理がない。きっと本当にショパンが合っているのだろうなと思います。誰もがそうした相性の良い作曲家があるだろうと思いますが、K.Sさんにとってはそれがショパンなんだなという感じがします。ある意味これが本当に自然な音楽の表現の仕方かもしれません。



●H.Sちゃん・K.Sさん グルリット ロマンス
 そろりそろりと音を追いかけながら演奏していました。発表会のタイミングが合わずソロではなくママとの連弾になりましたが、途中止まらずちゃんと最後までたどりつきました。とても素敵な挨拶ポーズしてくださいました。私が昔学生時代にポーズで悩んだことを思い出しました。女の子はいろんなポーズのバリエーションがあって楽しそうです。こういうのも音楽の楽しみのひとつです。



●S.Mちゃん ギロック 幌馬車
 私の娘です。なかなか頑張って練習していました。幌馬車のゆったりしたガタゴトがよく出ていたような気がします。



●Y.Oさん・M.Oさん ドビュッシー 前奏曲より抜粋
 ご夫婦二人で5曲ぶっ通しでこうたいばんこという面白い技です。私は全部は知らないのですが、沈める寺や西風などは、とても好きで、イメージがあります。寺、いい感じでした。霧のむこうに寺の尖塔が見え隠れしつつ浮かんできました。それにしても、今回はプログラム作成までやっていただき、ただでさえお子さん多くまた仕事もありで超多忙な中、よくこのクオリティで持ってきたなあと、そこが一番の驚きでした。もともとのポテンシャルも相当なものだと思いますが、どれだけ頑張りやさんなんだろうと、頭が下がります。



●A.Kとノイジーファミリー 勇気100%
 子供が幼稚園や小学校で絶対にやる曲です。今回、生まれたばかりの赤ちゃんをパパが背中にくくりつけてピアノ弾き語り、そしてお子さんふたりとそのお友達がマラカスで踊り、ママがタンバリンと歌を歌ってくれるという家族バンド。舞台から楽しさがはじけていました。誰も何も言わなくても自然にみんな一緒に歌いだし、手拍子が始まっていました。家族みんなでこういうことができるということがまず素晴らしいことだし、みんなで楽しもうという素敵な舞台を見せてくださったことが本当にありがたいです。会場がひとつになりました。



●N.Tさん ベートーヴェン ソナタ31番1楽章
 高校生の女の子です。とても落ち着いたどちらかというと和な存在感を醸し出しつつ、この1楽章の落ち着いた雰囲気もぴったりだったような気がします。私はベートーヴェンの晩年のソナタがとても好きなのですが、どこか悟って突き抜けて脱力したようなその感覚を高校生が表現できるものだろうかと思っていましたが、彼女はとても自然に肩の力を抜いて弾いていたように思います。なんというか、本番の緊張をまったく感じさせない、実際にまったく緊張していないのではないかと思うような、「これでいいんだよ」という声が聞えるような気がしました。



●A.Oくん シューマン ふたりの敵だん兵
 フランス国歌が途中から出てくる曲です。ヴァイオリンのことは私は門外漢でまったくよくわかりませんが、音しっかり取れていて、かなり上手なような気がします。この子はピアノも好きらしく、また最近はフルートなどの管楽器も興味があるようで、音楽全般を楽しむ心を持っています。ぜひこれから先、全方位に音楽好きでいてほしいですね。



●Y.Mくん ブルグミュラー 天使の歌声
      天空の城ラピュタより シータの決意
ラピュタは直前に決めた曲でしたが、やりたい曲だというので頑張ったようです。なんとなく、こういうしっとりした系が好きなようです。弾き方は私に似ているとよく言われますが、指導したことはなく、表現の味付けは自分で勝手にやっているようです。来年は中学で、ピアノを続けるかどうかわかりませんが、音楽を好きでい続けてほしいなと願うばかりです。


●A.Kさん B.リチャード 夕べのさえずり
 リチャード・クレイダーマンなどをよく弾かれていたママさんです。最近お子さんが生まれたばかりですが、プランクなど感じさせず、というか、そもそもピアノ始めてまだ2年くらいのはずなんですが、まったく危なげなく、この舞台度胸はタダものではないです。でもその度胸というのがオラオラ系ではなく、ふわっとしっとり女性的で素敵でした。



●N.Tさん 柴咲コウ 月のしずく
 今回この歌をリハーサル含めて何度も聴かせていただきました。私は柴咲が歌う元の歌を知らずに聴きましたが、この歌のイメージ、寂しさ、物悲しさ、届かないものへの想い、そうしたものたちが頭の中にあふれ出します。彼女が奏でる音楽には、そうした中身があります。弾いているのではなく、表現しているのですね。彼女にしかできないことだなあと思います。今回本番では声が厳しかったと言っていましたが、逆にそれがこの曲のイメージを強くしたように私には感じられました。ブラボーです。



●N.Mさん ユモレスク
 私の奥さんです。あまり人前で弾きたがらないのですが、今回はゆったりとほんわか聴かせてくれたように思います。今まではけっこう機械的に弾く弾き方だったように思いますが、少し弾き方が変わってきたようで、特に旋律を強く出すというところはかなり意識したと言っていました。きっといろんな方の演奏を聴いている中で、自分なりに工夫して演奏が変わってきたのかなと思います。そうした相互作用も演奏会の素敵なところですね。



●M.Kちゃん・I.Kさん・S.Kさん アナと雪の女王より Let it go
 M.Kちゃん、ママが作ったエルサ衣装で、英語版で歌ってくださいました。英語でというのもすごいですが、この歌を歌いたいと自分で言って練習して本番歌いきるその意思が素晴らしい。これが好き、これをやりたいというその気持ちはなににも替え難い財産です。なかなか子供ではそうしたものがないのが現実ですが、この子にはそういうものがかなりはっきりあるのでしょうね。the cold never bothered me anywayは素敵にカッコよかったです。出来れば片足ドンもやってほしかったですね。



●H.Nさん 坂本龍一=押尾コータロー 戦場のメリークリスマス
 私はギターのことはよくわかりませんが、大変にこれが難しいものだと言うことだけはわかります。タッピングハーモニクスのなんとも不思議で神秘的な響きです。またそれ以外にも、まるでドラムのような、木の部分を叩いて面白い音を出す、なんていうんでしょうか、技術もありました。この曲をやるために1年間ギター教室に通い研鑽を積んだということですが、仕上げるための努力を厭わずやりきって本番で形にしました。聴いた人みな別世界に連れて行かれたのではないでしょうか。ここ一番の見事な名演でした。ブラボーです。



●M.Mさん ラフマニノフ リラの花びら 音の絵より
 タッチが安定していてとにかくどっしり感ばかりが先にたつM.Mさんですが、ここ2,3年で少し弾き方が変わったと私は感じています。以前にはなかった繊細さが彼女の演奏にふくよかさをもたらしているように思います。今回はリラの花びらが特にそう感じました。曲そのもののイメージも繊細で軽やかな系統だとは思いますが、とても素敵にそのイメージを引き出していたと思います。瑞々しい湖面のほとりに咲くライラックの花弁がたくさんくるくると舞っている姿が浮かびます。音の絵は、彼女らしい力強さが前面に出ていて本領発揮という感じでした。学生時代から変わらないところ、変わったところ、全体としてとてもいい成長を遂げているような気がします。昔から彼女の演奏には常になにか矛盾がつきまとっているように思っているのですが、それが年々ひとつずつ少しずつ解決していくような、パズルが少しずつ埋まって行くような、そんな気がしています。



●水本桂さん モーツァルト キラキラ星変奏曲
       ベートーヴェン ソナタ23番熱情全楽章
 水本桂さんは、ベルギーで活躍されているプロのピアニストです。(http://www.katsuranokai.ecnet.jp/)私とは大学の入学同期でしたが、卒業と同時に渡欧しピアニストへの道を選んで努力を積み重ね、プロとして演奏活動されています。今ではすっかり遠い存在になってしまいましたが、それでも年に1度こうしてピアノンノに来てくださることが本当に嬉しくありがたいです。
 私はベートーヴェンの熱情ソナタはベートーヴェンのソナタの中ではかなり好きな方で、今年の桂さんのプログラムを聞いて小躍りして喜びました。この曲の持つ暗さ、激しさ、とんがったところ。桂さんの演奏のストレートさは性格そのものですが、熱情などはまさに本領発揮という気がします。以前にショパンのソナタ4番を演奏した時もそうでしたが、始まりの速度が既に常軌を逸していて、楽譜上はさらに速度を増すはずなのに最初こんな速くて大丈夫なのかと心配になりながら始まるのですが、ほんっとにそのまま加速して最後まで弾ききるところ、ハラハラドキドキというかただただ驚きというか、圧倒されます。最後のPrestoは本当に鳥肌が立ちました。来てくれて本当にありがとうです。超絶ブラボーです。







さて、そんなこんなで今年も無事にアフタヌーン・ピアノンノが終わりました。アフターではMiaさんの提案で、みんなで机ひとつにまとめて囲んで輪になって、いろんなお話ができました。ありがたいことです。そしてピアノでたくさん遊び、歌いました。ラプソディ・イン・ブルー、月の光、戦メリ、アメイジング・グレイス、HeyJudeなど、心の底から歌い笑い、楽しみました。こんな素敵な夜は何年ぶりでしょうか。本当に楽しかった。なんか、夢のようでした。


これから先、この集まりはどんなふうに変わって行くのかわかりません。変わらないということはたぶんないと思います。でも、どうあってもきっと続けて行きたいと思います。この素晴らしい一瞬を楽しみたいからです。年に一度の楽しみ、生き甲斐としたいからです。


今回も、遠く岡山、和歌山、岩手、福島、群馬、横浜などから足を運んでくださった方がいらっしゃいました。ただただ感謝しかありません。遠いところ本当にありがとうございました。そして、写真係を買って出てくれたH.Kくん、いつも大変なことを進んでやってくれて、本当に助かっています。ありがとう。また今年も素敵な看板を子供たちと一緒に描いてくれたM.Mさん、毎年どうしてこんな素敵なデザインが思いつくのか、無限に湧き出るアイデアの泉のようです。いつもありがとう。そしてこれまで私が作っていたプログラムを引き受けてくれたM.Oさん。おかげさまで夏らしくとても素敵なデザインのプログラムになりました。曲順もいいバランスでした。ほんとに助かりました。ありがとう。そして私が全然よくわからない音響については、I.Kさんにほとんど全部やっていただきました。本当にありがとうございます。またその他、いろいろお手伝いくださった皆様、いろんなもの持ち寄りいただいた皆様、たくさん拍手してくださった聴衆の皆様、たくさん笑顔をくれた子供たち、皆様のお陰で今年も素敵な体験ができました。全ての皆様に感謝します。きっと来年も、同じように幸せなひとときを過ごせますように。



ありがとうございました!







2014年8月9日土曜日

福島のOさんによるAFTERNOON PIANONNO 2014 所感!

福島から来てくださったM.Oさんが、AFTERNOON PIANONNO 2014の全ての出演に関して、とても面白い視点から所感を寄せてくださいました!!!


演奏そのものと、その奥にある内なるものに迫る、とても興味深い所感です。


お忙しいところ素敵な所感をお寄せくださり、ありがとうございました!以下に転載させていただきます!!!



~ここから~




こんばんは。会津のM.Oです。
改めて、アフタヌーンピアノンノ、準備から運営、演奏、本当にお疲れさまでした。
いつも、「聴きに行くだけでいいのかなあ」と思っているのですが、ついついお言葉に甘えて4回目となりました。
その演奏会も、ほぼ一週間前。早いですねえ。
とんぼ返りだからなおさらそう感じるかもしれませんが、
本当にあの夢のような演奏会があったのだろうか、と日々思いながら過ごした一週間でした。
振り返ると、子供たちはどんどん成長しているなあというのが今回、印象に残りました。
ずっとこの企画が続いていくなら、子供たちはやがてはいなくなるのかなと夢想したりもしました。
さて、この一週間、バタバタした日常の合間をぬって少しずつ書きためた今回のアフタヌーンピアノンノの印象を一気に送ります。

失礼な事を書いてないか、全くの的外れな事を書いてないか、いろいろ不安はありますが、
ともあれ、私が感じた事であることは確かであるので、御容赦願います。
そして、万が一、何かの参考になったなら、嬉しいです。







今回のアフタヌーンピアノンノ、いつも以上に充実した内容だったように思います。単純に良い曲が多かったとか、凄い演奏が多かったという事だけでなく、全体として曲の内容のバランスがいいのと、その順番と配置が絶妙だったことが大きいと思います。これ、順番や配置を間違えれば、かなりカオスな状況になりかねないと思うのですが、実に自然に様々な音楽がつながっていったと感じました。そして、今回その絶妙なプログラムのおかげではっきりと認識したのは、「家族それぞれに音楽の色合いがある」ということです。家族で音楽というと、ついつい「合奏」というものが思い浮かぶわけですが、仮に「合奏」がなくても、その家族にはなんとも言葉には表しにくい「何か」が底にあって、個別に演奏しても、その家族の「色」が出てしまうのです。同じような曲を演奏してもそうです。誤解のないように書いておくと、これは「演奏が似通っている」ということではありません。音楽をやる動機というか意欲の部分の「何か」が共通だということなのです。

ということで、今回は、順番関係なく、家族ごとグループごとに音楽の印象を書きとめていきます。






<生活の音楽>
I.Kさん・S.Kさん あまちゃん
M.K嬢・I.Kさん・S.Kさん アナ雪 Let it go(歌)
M.K嬢 轟千尋 おつきさまのおはなし

 I.Kさんご一家は、今年がたまたまな事もあるかもしれませんが、やはり「生活に根付いている音楽」を楽しむという感じがよく伝わってくる演奏でした。流行りの音楽というのは、当然のことながら最も普段「耳にする」訳で、自然と耳に馴染んでゆきます。馴染んだものは愛着がわくので、演奏も自然に湧き出るようになってゆくでしょう。いわば、自然発生的に生じる、生活に密着した音楽つくりということになります。M.K嬢が、轟さんの「おつきさま」を選ぶというのも、普段なじんでいる音楽との親和性からではないでしょうか。という訳で、音楽に無理がなく、M.K嬢の英語歌詞の独唱も、ある意味その年齢で凄いと言えば凄いのですが、普段から何気に歌っているからこその安定感でしょう。Let it goって、結構、大人な歌詞の歌ですよね。あの映画、小さい女の子が見て分かるんだろうかとちょっと不思議な気がしていたんですが、M.K嬢のなりきり方を見る限り、ちょっと「おませな女の子」なら余裕でわかるんですかね。あまちゃんも、もちろん純粋に楽しく聴くことができました。






<暖色系の音楽>
K.Mくん ぶんぶん
K.M氏・A.Mさん シューマン 詩人の恋「美しい5月には」
S.M嬢 ギロック ほろ馬車
Y.Mくん ブルグミュラー 天使の合唱 、天上の城ラピュタ シータの決意
N.Mさん ユモレスク

 M家の音楽は基本的に「暖色系」だと思います。今回、御尊父の歌唱を聴くことで、ほぼ確信に至りました。この暖色系音楽は「家系」なのだなと。もちろんそれぞれに個性があるのですが、音楽が先鋭化しすぎないと言うか、何か暖かなベールに包まれているようなそんな感触をM家の音楽から感じるのです。K.Mくんの「ぶんぶん」、S.M嬢の「ほろ馬車」でもそのM家の兆候が表れています。幼児が弾くとかなり暴力的な音色になりがちなこれらの曲を、K.MくんもS.M嬢もしみじみと弾いてくれました。御尊父のシューマンはフレージングの滑らかさが素晴らしく、自我をどこかに置いてきてしまったような、さりげない歌わせ方が印象的でした。そして、それに寄り添う息子、A.Mさんの伴奏もまた歌声に溶け込むように繊細でした。素晴らしい成長を見せてくれたのはY.Mくんでした。これほどに美しいブルグミュラーは久々に聴いたかもしれません。その美しさはどこから来るかと言えば、自分の音を持っているということに尽きます。ピアノと言う楽器はどんな音でも出せる半面、自分がイメージする音がなければ、音程以外は実は何も表現しえないものなのです。おそらくはY.Mくんには、内なる確固たる自分の音があるのです。だから、自分が出す音に集中している。もちろん、それはラピュタの曲でも同じです。何を表現したかったかは、まだ明確ではなかったかもしれませんが、「この音だ」というものはあったように感じました。そして、N.Mさんのユモレスク。これほどに情景が浮かんでくるユモレスクはなかったです。弾いている本人は何を思い浮かべているかは定かではないですが、「3人のお子さんを育て、家をまとめて大変ながらも幸せな日々を慈しむ情景」が私にはありありと見えてきました。全然、そのような表題音楽ではないんですけどね。






<憧れの音楽>
H.S嬢・K.Sさん アナ雪 雪だるまを作ろう(歌)
Y.S嬢 スラブ行進曲
H.S嬢・K.Sさん グルリット ロマンス
K.Sさん ショパン ワルツ 10番、14番
K.Tさん・K.Sさん アナ雪 Let it go(ピアノ)

 アナ雪つながりで、K.Tさんもここに入っています。先に小さい女の子が「アナ雪」をみて、理解できるんだろうかと書きましたが、H.S嬢が「雪だるまを作ろう」を歌うのをみると、「ああそう言う場面は子供でもわかるよねえ」と納得したのでした。しかし、途中入る語りが映画そのままで滅茶苦茶可愛いですね。はっきりいって、これは反則です。いっさいの装飾のない純真なこの語りの可愛さに敵うものはないです。一方、K.Tさん・K.Sさん連弾のLet it goは大人の音楽。それぞれに、あの映画で思う所感じる所があったのだろうと思います。何を感じるかは人それぞれですが、歌詞ではなく、連弾を通して、言葉にならない様々な想いが表現できるというのは、やはり音楽のいいところです。Y.S嬢のスラブ舞曲(いきなり終わるのが斬新!)、H.S嬢のグルリットのロマンス(あんまりロマンスっていう感じの曲ではないですが)、K.Sさんのショパンの2つのワルツ(この選曲がいいですね)、どれも共通するのは、日常にはない音楽への憧れというものです。憧れと言う表現が適切かどうかはともかくとして、「この曲いいなあ」とか「こういう曲を弾きたいなあ」とか「これが弾けたらどんなにいいだろうなあ」とか、日常から一歩踏み出た、そんな音楽の世界への想いが伝わってくる演奏なのでした。






<挑戦の音楽>
K.Tさん フランス組曲 5番 アルマンド、ブラームス ワルツ15番

今回もなかなか難しい曲に挑戦しました。どちらも対位法的に無駄のない作品で、ごまかしがきかず、ちょっとでも声部を間違えると、元に戻すのが大変です。特にバッハはモーツアルトのように決まったコードの上に旋律があるという構造ではありませんので、一つの音を抜くと、すべての関係が崩れてしまうという状況になります。ブラームスも一見すると三拍子の伴奏に乗って旋律が単純に歌われているように見えますが、密かに声部がからみあっています。そのからみあいが、何とも言えぬ奥行きと味わいを感じさせる訳ですが、これもちょっと油断して縦・横の関係が崩れると、なかなか修復するのは大変です。それでも、頑張って最後まで弾ききったのはさすがです。やはり、この作品への想い・こだわりがある故でしょう。もう少し遅めのテンポで、一音一音を慈しむように弾くと、もっと気持ちよく音楽が作れるかもしれません。それなりのテンポでないと曲にならない作品もありますが、この二つは、もっとゆっくりでも音楽になりうるのではと思います。






<真摯な音楽>
Y.Nさん 月の光
H.Nさん 押尾コーターロー編曲 戦場のメリークリスマス

 H.Nさんの戦場のメリークリスマスには驚きました。いやあ、このバージョンを弾くとは、、。完全なるギター素人の私ですが、一番繊細で、一番原曲の良さをギターによって伝えていて、しかし一番難易度の高い押尾バージョンは、初めて聴いた時は「いったいこれはどういうことなのか?」と狐につままれたような感覚でした。それを生で目の当たりにできるという幸せ。タッピングもフラジオレットもきっちりと決まっていて、どれだけ修業を積んだのかと想像せざるを得ませんでした。この編曲でこの曲を表現したいという真摯な想いがこの奇跡的な演奏を実現させたのだろうと思います。というか、ピアノと違って、どれだけ難しいのか想像すらつかないのが正直なところですが。どちらにせよ、日本人には馴染みやすい曲だけに、安易にジャカジャカ、ガチャガチャ演奏される事の多い作品ですが、これだけ静謐で高貴で、ある意味ストイックな演奏を聴ける機会は滅多にないでしょう。そして、それに合わせるかのようにY.Nさんの「月の光」です。順番としてはこちらが先だった訳ですが、音色に頼らない透明感あふれる真摯さの伝わる演奏で、やはりこれはH.Nさんの演奏とセットなんだなあと後から実感しました。






<体感する音楽>
H.K 嬢 スピッツ チェリー
H.K 嬢 チェルニー 羊飼いマーチ、イギリス民謡 きれいな花
A.Kさんとノイジーファミリー 忍たま乱太郎
A.Kさん B・リチャーズ 夕べのさえずり

 今回の演奏会で最も驚愕したのは、H.K嬢の弾き語りでした。彼女のリズム感の良さは、様々な人の演奏する音楽に合わせて的確に踊っている以前の姿から明確でしたが、まさか「リズム感を失わずに、ピアノを弾きながら、歌ってしまう」というハイレベルな潜在力まであるとは思わずに「御見それいたしました」と言う他ありません。しかも、曲は普通に「大人の曲」であるスピッツのチェリーなんですから、二重の意味で驚嘆です。しかしながら、J.S.Bachがいなければ、C.P.E.Bachの名も音楽史に残らなかったのと同じように、身近に「お手本」となる存在がなければ、いくら素養があってもこういった技能は決して開花しないでしょう。すなわち、K家の生活の中には「体感できる音楽」に溢れていて、いかにも楽しそうに弾き語りをやっているお父さんの姿があって、自然と「あれ、やってみたい」となることでしょう。そして、幸運な事に、H.K嬢に、その意欲を実現できる素養が備わっていたという事なのだと思います。もちろん、それは家族全体に伝播して、良い意味で刺激を受け合って盛り上がっているのかなあと勝手な想像をしています。忍玉乱太郎も、全員でノッていくという雰囲気がよく伝わってきました。ピアノ始めてまだ間がないとアナウンスのあったA.Kさんの可愛らしい小品も、この家族のなかで可憐に咲くデイジーのような演奏で良かったです。ともあれ、体感する音楽をこれからも繰り広げてほしいなあと思いました。






<前進する音楽>
K.M嬢・M.Mさん ルグラン キャラバンの到着
Mia&Assey 枯葉
M.Mさん リラの花 音の絵Op.39-5

 M家の音楽は昔から直球勝負。余計な寄り道はせずに、一歩一歩まっすぐに音楽が前へ前へと突き進んでゆくのが特徴です。シェルブールの雨傘の作曲家、ルグランの「キャラバンの到着」。通常、この曲は、思い切りスイングしつつ、ジャジーに崩して(いわゆるルパン三世みたいに)演奏されるものですが、K.M嬢&M.Mさんの連弾では、実直にガシガシと重戦車のように曲が進行してゆき、何かショクタコビッチの作った映画音楽のようでした。これはこれでM家の音楽らしくていいです。Mia女史の「枯葉」もまた、暖かみのあるAsseyさんの伴奏に合わせて、奇をてらわずに正面から存分にまっすぐな音楽を放射するといった感じで、心地よい歌でした。「枯葉」は、曲想が曲想だけに、過剰な情感を込めようとして、テンポを揺らしたり、半拍ずらしたり、溜めたりするものですが、そういう小細工はほとんどなしに、初々しく素直に歌い上げているのが良かったです。「枯葉」と言うよりも、「若葉」とでも言いたくなるような熱唱でした。そしてM.Mさんのラフマニノフ。輪郭のくっきりした骨太のラフマニノフでした。テクニカルな演奏難易度としては今回の曲目のなかでもトップクラスなのですが、誤魔化すことなく、情緒に流されることもなく、地に足のついた音楽を粘り強く作り上げていった感じです。ラフマニノフは、えてして「暗く」なりがちなんですが、一本骨の入った、これだけ健全なラフマニノフもそうそう聴けるものではないですね。ともあれ、M家は前進する音楽なのです。






<青年の音楽>
C.Gさん 英雄ポロネーズ

 こういう曲なので、そう感じるのかもしれませんが、若々しい演奏でした。まさに青年の音楽。別の言い方をすれば、年齢を全く感じさせない演奏。英雄ポロネーズは、ピアノを頑張っている十代の男の子がいつかは弾きたい曲ナンバーワンでしょう(たぶん)。ここで、少年たちは、プロコフィエフとかラベルは目標としないのです。なぜなら、少年達は「英雄」的なものが大好きな単純な生き物だからです。しかしながら、相当に修練を積んでも、なかなか思うように気持ちよく弾けないものです(セミプロレベルの人は除く)。いつしか青雲の志は雲散霧消し、多くのピアノ少年はキーボードの上手なオジサンになってゆく訳です。C.Gさんは、青雲の志を忘れることなく(というか、目標にしていたかどうかはわかりませんが)、今回こうして、全力でこの壮大なポロネーズに格闘していた様子は、胸打たれるものがあります。志に近づく気持ちを持ち続ける、それ自体が、もう青年の音楽と言う他ないですね。






<機知の音楽>
E.Uさん カバレフスキー ソナチネ1番

  カバレフスキーはソ連時代のロシアの作曲家。運動会定番のギャロップは誰でも知っているかとは思いますが、「それ以外の曲は?」と聞かれて答えられる人はそうそういないでしょう。ただ、非常に多くの教育用音楽を作ったので、日本ではピアノ学習者のみによく知られています。さて、そんなカバレフスキーのソナチネです。教育音楽ど真ん中な作品で、しかも、「教育音楽」から卒業する時の、総仕上げ的な作品。それなりに上達した子供たちが発表会などで弾く事が多いのですが、いかんせん「演奏が重い」。確かにテクニカルに難しい部分も多く、楽譜通りに頑張って弾こうとすればするほどに、重厚な演奏になってゆきます。が、カバレフスキーとしては、この曲は「パリッと爽やかに」弾く事を想定していたように思います。古典派・ロマン派のソナチネではなく、あくまで現代の新古典的なソナチネとして弾くのが正解でしょう。すなわち、機知溢れた音楽なのです。たまたま「学習用」というレッテルがあるために、プロによる演奏には恵まれませんが、内容はそれなりに変化に富んだ充実した作品です。ということで、さすがE.Uさん、実にパリッパリとすっきりした変幻自在なカバレフスキー的な演奏で私としては満足です。特に冒頭の重音の軽やかさ、諧謔味を引き出すために3楽章を弾き飛ばさずにあのテンポと曲想を保持したのもさすがです。






<随唱の音楽>
Y.Oさん・M.Oさん 
ドビュッシー 前奏曲 雪の上の足跡、西風の見たもの、沈める寺、パックの踊り、ミンストレル
A.Oくん・M.Oさん シューマン リートとロマンス 第二集 二人の擲弾兵 Op49-1

  ドビュッシーの前奏曲で二人のお名前があり、「連弾の編曲?あるいは違う楽器の編曲?」とか思っていたら、交互に弾いてゆくということでした。すぐさま、この曲はY.Oさん、この曲はM.Oさんと想定したら、その通りで、どんな演奏になるかもだいたい予想はついていたのですが、予想以上に夫唱婦随(婦唱夫随かな?いや、「氷炭相愛」がいいかな)な音楽になっていて感動しました。子供たちのノイズあふれる他ではありえない状況で聴く「雪の上の足跡」は、かえって音色がクリアに聞こえて「お汁粉に塩効果か?」と思ったりもしましたが、次の「西風の見たもの」で、極めて広いダイナミックレンジでM.Oさんの音色の成長を実感しつつ、周りのノイズは関係なく、そこに確かな音楽が林立していると感じました。で、同じようなノイズ状況で、「沈める寺」です。これまた痺れましたね。底の深い和音の連なりが決して分断されることなくクライマックスに向かって引き伸ばされてゆく様は圧倒的でした。そして、「パックの踊り」「ミンストレル」はあくまで軽妙にあっさりと弾き切っていて、爽快でした。ともあれ、このような演奏形式があることを認識しただけでも、大きな収穫です。まあ、誰と組むかが一番の難しい部分なのでしょうけどね。まだまだやんちゃな子供たちでしたが、やはりA.Oくんのシューマン、この親あって、この息子という感じで、簡易版の歌曲のヴァイオリン版でしたが、堂々とした演奏でした。ヴァイオリンは是非とも辞めずにこれからも続けて、様々な音楽体験を重ねていって欲しいなあと切に思いました。






<回想の音楽>
N.T嬢 ソナタOp110
N.Tさん 柴咲コウ 月のしずく

 意図したかどうかは分かりませんが、ソナタOp110と「月のしずく」はどちらも「回想」をテーマとした音楽です。ためしに、月のしずくの歌詞を思い浮かべながら、ソナタOp110を聴くと、想像以上にしっくりきました(特に3楽章)。「月のしずく」の方は大変に有名な曲ですので、そんな凝ったことは考えずに「良い曲だから」ということで選んだのかもしれませんが、どちらにせよ、合奏しなくても、このように曲想がシンクロするというのはやはり家族なんだなと思います。十代にしてOp110を弾く、というと、年寄は「まだ早いのでは」と言いたくなる訳ですが、それこそ年寄の思い込みで、いい曲は誰にとってもいい曲なのです。ただ、N.T嬢がこの曲のどんな部分に惹かれたのかは、個人的に大変興味のある所ではありますが。演奏自体は、気負わない自然なもので、深い事は考えずに一つの美しい曲としてとらえているようでした。いや、もしかしたら、「遠い将来、N.T嬢が成熟した大人になって若い頃を回想するような時の心情」を妄想して、その妄想内容をこの曲に託したのかもしれませんが。N.Tさんの「月のしずく」は完全に自分自身の音楽としてじっくりと表現していて、心地よく聴くことができました。弾き語りは、どうのこうのいって結構難しいものですが、それでもしっとりと歌い上げていて素晴らしかったです。柴咲コウのやや演技がかった歌い方よりも、こちらの方が個人的には好みです。






<求心の音楽>
水本桂 女史 きらきら星変奏曲 熱情

 求心といっても、心臓の薬ではありません(あれは「救心」か)。しかしながら、桂女史の演奏によって、心臓の拍動が激しくなってしまった人も多かったことでしょう。彼女の音楽の特質は、様々な音楽的要素がとある一点に向かって凝縮されてゆくその強力な求心力にあります。その特質が最も生かされる作品がベートーベンです。それも中期の作品。ということで、熱情は彼女にとってはどんぴしゃりの作品であると言えるでしょう。期待に違わず、彼女の特質が如何なく発揮された圧倒的な演奏でした。1楽章、3楽章の推進力は改めて言うまでもないことですが、2楽章の変奏曲の構築性もなかなか聴けるものではないです。技と勢いだけで押し切るタイプの人は、だいたい2楽章が死ぬほど退屈な演奏になるものですが、桂女史の2楽章は実に説得力に満ちた輝かしいものでした。彼女の音楽は、とにかく最後のコーダに向かって突き進んでゆくのです。おそらくは「台詞のない壮大な物語を体験した」という感慨を受けた人も多いと思いますが、まさにその感覚こそが「ソナタ形式」の体験なのです。反面、モーツアルトの変奏曲は、モーツアルトというよりはベートーベンの変奏曲といった感じでした。このロココ調(軽快・優美・繊細な装飾様式)な変奏曲が、ここまで硬質で構造を意識させるような演奏に変貌する事はそうそうある事ではありません。それでも説得力のある演奏になってしまう所が彼女の凄まじいところです。ともあれ、至福なひと時でした。







 最後に、A.Mさん、司会がもう完全に板についてきましたね。3年前はマイクがなかったというのもあるけど、司会と言うより「独り言」っぽい雰囲気でしたが、今や堂々とした司会者ぶりです。何か音楽番組の司会もできそうな感じです。

ともあれ、充実した演奏会でした。


では失礼します。


~ここまで~



Oさんには、私からCDやDVDを送ったわけではなく、会場で生で聴いた音をどれだけ集中して聴き耳に記憶にやきつけていたのか、その凄さを感じます。

本当に、ありがとうございました!!!





2014年8月5日火曜日

AFTERNOON PIANONNO 2014 無事に終わりました!

日差しの焼けつく夏の毎日、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

さて。

いつもなら、プログラムを事前に掲載しているのですが、今年は私がすっかり忘れていたため、終わってからになってしまいました。申し訳ございませんでした。

2014年8月3日、晴天に恵まれ、無事、AFTERNOON PIANONNOを終えることができました。

今年は5回目になります。今年も守谷から大勢の音楽仲間さんたち、そしてピアノクラブの仲間たちが遠くから来て、いっぱい盛り上げてくださいました。まずは、御礼申し上げます。お疲れ様でした。ありがとうございました。

細かい全曲の所感は、後日掲載させていただきますが、まずはプログラム内容を掲載しておきます。





●第一部
 I.K/S.Kご夫妻 大友良英 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」オープニングテーマ
 K.Mくん ボヘミア民謡 ぶんぶんぶん
 C.Gさん ショパン ポロネーズ第6番「英雄」 Op.53
 S.Sちゃん・K.Sさん Kristen Anderson-Lopez・Robert Lopez アナと雪の女王より 雪だるまつくろう♪
 Y.Nさん ドビュッシー ベルガマスク組曲より 月の光
 Y.Sちゃん チャイコフスキー スラブ行進曲
 H.Kちゃん スピッツ チェリー
 Mia & Assey J.Kosma 訳詞:岩谷時子 枯葉
 E.Uさん カバレフスキー ソナチネ第1番 Op.13-1
 M.Kちゃん 轟千尋 おつきさまのおはなし
 K.Tさん/K.Sさん Kristen Anderson-Lopez・Robert Lopez アナと雪の女王より Let it go(連弾)


●第二部
 K.Tさん バッハ フランス組曲 第5番 BWV816 より アルマンド
      ブラームス ワルツ15番 Op.39-15
 K.Mさん・A.Mさん シューマン 詩人の恋より「美しい五月には」
 K.Mちゃん・M.Mさん ミシェル・ルグラン キャラバンの到着
 H.Kちゃん ツェルニー 羊飼い少年マーチ
       イギリス民謡 きれいな花
 K.Sさん  ショパン ワルツ第10番 Op.69-2
       ショパン ワルツ第14番 ホ短調 遺作
 H.Sちゃん グルリット ロマンス
 S.Mちゃん ギロック ほろ馬車
 M.O/Y.Oご夫妻  ドビュッシー 前奏曲第1集より
            雪の上の足あと
            西風のみたもの
            沈める寺
            パックの踊り
            ミンストレル
 A.K & ノイジーファミリー  忍たま乱太郎より 勇気100%


●第三部
 N.Tさん  ベートーヴェン ソナタ31番 Op.110 第1楽章
 A.Oくん・M.Oさん  シューマン リートとロマンス第2集より 二人の擲弾兵 Op.49-1
 Y.Mくん  ブルグミュラー 天使の合唱
       久石譲 天空の城ラピュタより シータの決意
 A.Kさん  B.リチャーズ 夕べのさえずり
 N.Tさん  柴咲コウ 月のしずく
 N.Mさん  ドヴォルザーク ユーモレスク第7番 Op.101-7
 M.Kちゃん・I.K/S.Kご夫妻  Kristen Anderson-Lopez・Robert Lopez アナと雪の女王より Let it go(家族バンド)
 H.Nさん  坂本龍一 押尾コータロー編曲 戦場のメリークリスマス
 M.Mさん  ラフマニノフ Op.21-5 リラの花
       ラフマニノフ Op.39-5 練習曲「音の絵」より第5番


●第四部 ~水本桂さん~
 モーツァルト K.265 キラキラ星変奏曲
 ベートーヴェン ソナタ23番「熱情」 Op.57 全楽章
 アンコール 妖怪体操第一


今回は特に、様々な趣向を凝らしたエンターテイメントや、時勢や流行にちなんだ選曲が多く、まさに今年独特のプログラムになったように思います。皆様の好きな音楽をやりたいという気持ちが素敵な形になったと思います。本当に、ありがとうございました!まずは、御礼まで。