ようこそ!


「AFTERNOON PIANONNO(アフタヌーン・ピアノンノ)」は、平成4年の北大ピアノクラブ創設当初所属していた部員のうち、一部のOB/OG仲良しメンバーが集まって2010年からやり始めた、小さなサロンコンサートです。茨城で知り合った音楽を愛する仲間さんたちと一緒に年に1度集まり、なるたけお金をかけずに気軽に音楽を楽しもうという、ただそれだけを思って始めた、ささやかな集まりです。 ぼちぼち、ゆる~く、続けていこうと思っております。よろづ帳はこちら! ブログへのご意見・ご要望はこちらまで。

2023年8月3日木曜日

AFTERNOON PIANONNO 2023 Blu-ray

演奏会本番のブルーレイが焼きあがり、発送いたしました。





 今年のアフタヌーン・ピアノンノも、これですべての作業が完了しました。色々お手伝いいただいた皆様、本当にありがとうございました。


私自身は、演奏会前々日くらいからひたすら走りっぱなしでしたが、これで一息。今日からしっかり睡眠をとって、日常に戻ります。





次は、また1年後に向けて、まずは自分の曲選びからですね。

みなさん、次は何を弾くんだろうか。子供たちはどうしているだろうか。



いろいろ人生ありますけど、いい時も悪い時も、それがずーっと続きはしないので、1ターンごとに、やるべきことをやるだけ。そんな感じで、その年の反省点を踏まえつつ、一歩一歩、アフタヌーン・ピアノンノを刻んでいけたらと思います。



お越しくださったみなさま、ありがとうございました。

また来年、お会いできますように。






2023年7月31日月曜日

AFTERNOON PIANONNO 2023 M.Oさんの雑感!!!

 O.Mさんが、演奏会の翌日に、雑感をまとめて送ってくださいました!!!


いつもありがとうございます。本当にありがたいです。そして今回も面白いです。

ぜひ最後まで読んだら、コメントしてくださいね!!



ここから--------------------------------------------------------------------------


こんばんは。

昨日はアフタヌーンピアノノンノ2023、企画運営ともどもお疲れ様でした。

企画がなければ皆が集まる事もなく、ともあれ多少人数が減ったとしても開催できてよかったです。


こじんまりしていた印象ではありますが、それはそれで寂しさというより和気あいあいな感じが勝っていたように感じます。

そして、やはり久々に聴いた自分以外の人が弾く生ピアノそして生楽器の演奏、もうそれだけでかなり幸せな気分となりました。


私の住む近所にはストリートピアノはありませんし、この5年くらいは演奏会に行く事もありませんでしたから、本当に久々に自分以外の人が弾く生ピアノを聴きました(以前は高校に勤めていたので吹奏楽とか音楽室で何か弾いている生徒がいたものでしたが)。


アフターも皆さん、きままに弾いていてとても雰囲気が良かったと思います。


さて感興が残っているうちにと思って、感想というか雑感を一気にまとめました。少々マニアックな内容も含まれますが、勢いで書いているのでご容赦ください。


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●第1部

M.Mさん  折坂悠太 世界のつづき

 今回の演奏会ではアニメーション作品の音楽がかなり多かったですが、冒頭から「ONE PIECE FILM RED」からの音楽。豪華絢爛たるUTAの印象が強いので、こういったシンプルな楽譜もあるのかという驚きと同時に、M.Mさんの演奏はシンプルでも一音一音の歌詞の意味の重みがあって、映画もしくは原曲から何を感じたかが良く伝わってくる演奏でした。


K.Mさん  ディズニーソング 美女と野獣メドレー

 続くアニメーション&実写作品の音楽。まあ古典作品ですから、エンターテイメント総合音楽と言ってもいいかもしれません。そして、需要があるので様々なバージョンの編曲もあるようですが、今回のものはなかなかに本格的なメドレーで、性格変奏的な要素もアリ聴きごたえも十分。K.Mさんは、それぞれの楽想をうまく弾き分けて、一つの大きなドラマを見たような気分になりました。


Y.Kさん  野田洋次郎 スパークル

 アニメーション音楽が続きます。新海誠監督「君の名は。」の音楽。個人的にかなり感動した作品なので、こうしてピアノソロの演奏が聴けるだけも嬉しかったです。Y.Kさんは映画を観たのでしょうかね。もう7年前の作品なので、公開時にはまだちょっと難しい内容だったのではと思ってしまいました(年寄の雑感)。まあ、その後もTV放映されたり、配信されたり、音楽自体は様々な場面で流れたりと、この曲に出会う事には不思議はないですね。仮に作品を知らなくても良い曲ですし、相当に音楽に語らせてるアニメーション作品ですので、音楽だけでもどんな作品かわかるかと思います。

で、Y.Kさんの演奏ですが、改めて演奏を思い返すと、やはり「君のは。」観てますよね。観てないとやはりこういう大きなうねりを感じさせるような演奏にはならないと思います。楽譜には細かい指示はないですからね。


S.Kさん  ブルグミュラー アラベスク

ピアノ学習者には懐かしの曲ですが、大人の皆さん、この曲がなぜアラベスクなのか疑問に思った事はないですか?小学生ならば、「何か行進曲的な作品」と思っているような気がしますし、それで一向にかまわないと思うのですが、S.Kさんの演奏を聴いて、久々にこの「なぜこれがアラベスク?」という疑問が復活したのでした。アラベスクは直訳すると唐草模様。イスラム世界の幾何学模様の一種のことです。音楽でアラベスクと題する場合、やはり音型の対称性や反復性がある事が多いですが、この曲にはそういった気配があまり感じられません。

S.Kさんの演奏ではしっかりとした足取りの冒頭フレーズとテンポが落とした中間部が特徴的で、いつもなら聞き流してしまう所が良く聞こえて新鮮でした。そして、「もしかしてイスラム勢力がヨーロッパに侵攻してきた」という情景を「アラベスク」というイスラム様式の一語に表したのかなと妄想しました。つまり、行進曲でいいのかもしれません(と、同じような事を以前にも書いた気がする)。


S.Kさん 親子連弾  クラウス・バデルト/ハンス・ジマー 

He's A Pirate 奴こそは海賊

 「パイレーツオブカリビアン」、何年前の作品かと思ったら、もう20年前なのですねえ。そして、ディズニーランドのアトラクションにもなって、映画のシリーズが終了しても音楽が残るという事で、今回のように弾き継がれてゆく事を実感しました。親子連弾、荒々しい轟音伴奏が前面に出ていて、S.Kさんの勢いもより出ていたと思います。連弾はこういう音の補強要素があるから良いですね。久々にオリジナルの楽曲を聴いたら、「あれ、こんなに上品な感じのオケ合奏だっけ」と思ってしまいました。音楽が作品から独り歩きして発展してゆく現場をみた気がします。


H.Sさん  Mack David / Al Hoffman シンデレラ・メドレー

 続いてディズニーシリーズですね。浴衣姿のシンデレラ。同じような事をまた書きますが、やはりこの古典曲が姿を変えてこうして新しい世代に弾かれるのは良いですね。 なんせオリジナル曲は73年前の1950年ですから。こちらのメドレーはどちらかというと可愛い系のもので、H.Sさんの演奏も愛らしいの一言です。


H.Sさん 親子連弾  Alan Menken フレンド・ライク・ミー

 もうひとつディズニーで、実写版の方の「アラジン」。実写版「アラジン」はアニメ版と違い、イスラム的な音楽でなく、1920年代ジャズ風の音楽。それが独特な世界観の実写版「アラジン」の背骨になっているような気がします。まあ、ジャズ風というかジャズですね。

H.Sさんもまた連弾となったら、シンデレラから変幻自在に暴れまわる妖精のような演奏になりました。K.Sさんの伴奏もH.Sさんの揺らぎに臨機応変に対応してセッションのようになり、ジャズらしさが前面に出ていてよかったです。


K.Sさん  ドビュッシー アラベスク第1番

 こちらのアラベスクは本来の意味でのアラベスク(唐草模様)で、独自の和声による分散和音が美しい小品です。「まだ練習不足」と言っていましたが、音の明晰さが際立っていて、ゆっくりしたテンポでこの曲の音型パターンがよく聴き取れて、ある意味「アラベスク」らしい演奏でよかったです。一方で無味乾燥に進みがちな中間部の音色が豊かでこれもまた趣が深い。このアラベスク、多くの人の演奏は「水のきらめき」のような表現でサラサラと進むことが多く、それはそれでいいのですが、K.Sさんの場合、モスクのタイルの唐草模様を職人が手作りしている光景が浮かぶようなそんな演奏でした。


M.Oくん  クレメンティ ソナチネ Op.36-2 第2楽章

 記憶力が衰えて確証はないのですが、M.Oくんの弾いたのはOp36-2ではなくて、Op36-6のような気がするのですが、どうでしょうか。そうでなかったらすいません。

まあ作品名は二義的な話で、M.O君の演奏、骨太な感じで、やはりベートヴェンのピアノ作品の手本となったクレメンティらしさを感じました。クレメンティ、イタリア出身ですがイギリス育ちでイギリスでの名声が高い人です。いわば、ヘンデルやハイドンの系列に入るような作曲家でそういった面でもかっちりした構成主義な作品の良さをM.Oくんの演奏は体現していたように思います。なお、ドビュッシーの「子どもの領分」で有名な「グラドゥス・アド・パルナッスム」ですが、実はクレメンティが作った教則本です。


M.Oさん  リスト 愛の夢 第3番

 M.Oさん、前口上で「昔は『愛の夢』をラブラブな曲と思っていた」と言っていて「ラブラブなら『夢』とは言わないのでは」とツッコミをいれつつ、調べたら、原曲の歌曲では3番の元々の表題は「おお、愛しうる限り愛せ」というもので、ラブラブな二人ではないにせよ「女性に対して強く恋愛を奨励する歌」という意味ではまああながち間違ってはいません。第一印象大事です。

そして、いざ演奏を聴くと、しっとりした一音一音重さのあるテンポで「フジコヘミングの演奏で印象が変わった」という言葉もうなずけます。そして、ソフトペダルなしで全曲音色弾き分けという力業。しかも盛り上がる箇所でも決して音が濁らないという凄さ。実はフジコヘミングの演奏では、伴奏が靄のかかったような、絵画に例えるならモネのような表現なのですが、M.Oさんの演奏ではマティスのように鮮やかでした。




●第2部

M.Oくん・A.Oさん(vn)・M.Oさん(鍵ハモ)  ゴダイゴ 銀河鉄道999

 この曲、いつのまにかJRの定番曲になりつつあり、松本零士とゆかりのある山陽新幹線の発車音楽だけかと思っていたら、なんか鉄道100周年のイべントでもよく流れていました。発車音楽には弦と鍵盤ハーモニカ的な音も入っているので、今回の演奏はまるで博多駅にいるように錯覚してしまいました。とはいえ、生演奏でしかも合奏ですから、(原作とは違う美形キャラになった)アニメ作品での哲郎の精悍さも味わう事ができました。A.Oさんのヴァイオリン、やはりボーイングも音程も安定して良い感じになっていました。鍵盤ハーモニカも存分に歌えるから良いですね。ピアノ伴奏も柔軟さがあって合奏の良さを感じました。


A.Mさん  坂本龍一 鉄道員(ぽっぽや)

       坂本龍一 Energy Flow

 坂本龍一はピアニストのグレン・グールドが好きで、グレン・グルードが好きと言う事は、坂本龍一はピアノをピアニスティックに弾くことは好まないという事になります。実際、彼の演奏を聴くとかなり淡々としたもので、ピアノはあくまで音を出すため道具で、設定した通りの音程・音色が出ていればよいとでも思っているかのような感じでした。元々は前衛音楽家ですから、そうであっても不思議ではありません。とはいえ、彼の作った抒情的な作品群は多くの人を魅了し、彼の演奏を参考に感情を抑制した演奏をする人が多い気はします(そもそも、そう演奏できるように作られている)。

しかし、A.Mさんの演奏は、極めてピアニスティックかつ情感を湛えた坂本龍一でした。「ピアニスティック」とはピアノという楽器の特性をフル活用しているということです。でも、そういう作品じゃないので、本来は無理があるはずなのです。それでも、その無理を押し通すのがA.Mさんなのです。「情感を湛えた」というのは、別にテンポを揺らすとかコブシを入れるとかでなく、一音一音に強い想いを入魂している感じなのです。これも、坂本龍一の作法とは真逆な訳で、つまりは坂本龍一を通したA.Mさんの世界が具現化したのです。ともあれ、圧巻でした。


M.Iさん  バッハ パルティータ第1番 BWV825 メヌエット1、メヌエット2、ジーグ

 A.Mさんのピアニスティックな演奏から、アーティキュレーションが明確なややグールド寄りのM.Iさんのバッハ演奏。坂本龍一が好きだったグールドといえば、やはりバッハ。なかなか練られた順番です。グールド寄りといっても、メヌエットのニュアンスの変化、ジーグの思い切った疾走感など、M.Iさんならではの味わいでバッハの面白さを再認識させてくれました。


N.Tさん  坂本龍一 Merry Christmas Mr. Lawrence

 そして坂本龍一に戻ります。「坂本龍一を偲んで」ということで、Merry Christmas Mr. Lawrence 。この曲はおそらくは最も世の人に知られた曲で、これから彼が思い出される時には必ず想起される音楽でしょう。この曲の元である映画「戦場のメリークリスマス」は一言でまとめれば「立場の違う人々が不思議な縁で親交を結び、時代の流れで最後は死んでしまう」という話で、映画の最後の台詞がまさに「Merry Christmas Mr. Lawrence」なのです。N.Tさんの演奏は、徐々に変容してゆくメロディそしてミニマムに刻まれるリズムに存分に哀悼の想いを込めて歌い上げてくれました。A.Mさんとはまた違った形の作曲者への愛の形だと思います。


M.Iさん  ショパン 練習曲 Op.10-1

   リスト リゴレット・パラフレーズ

 哀歌の次は、さんさんと照る太陽のようなM.Iさんの演奏でした。Op.10-1は息の長いフレージングをきっちりコントロールしていて、小節ごとに移ろう色彩をしっか弾き分けていました。テクニックには、早く正確に明確に弾くという事は無論ありますが、イメージした音を実際に具現化できるかという事もあり、それがなかなか大変だろうと想像するのですが、既にもうそのレベルに達していて、その備わったツールを使って自分の音楽を構成しているという感じの堂々たる演奏でした。

リゴレットパラフレーズは、リストにありがちなオペラ啓発のためのコンサートピースでかなり技巧的な作品です。今でいう所のディズニーメロディーのようなものですね。リストの演奏会に来た観客が「あ、このメロディ知ってる!」となるように装飾的なパラフレーズの中にうまい具合に歌の旋律を潜ませてウケを狙うという感じです。とはいえ、現代人にとって、ベルディのリゴレットを通しで鑑賞するのはブルーレイでも容易ではなく、図らずもリストのこうした編曲でリゴレットのメロディが伝承されるという事になっています。M.Iさんの演奏は、不必要に技巧だけに走らずオペラの各メロディをまさにベルカントで歌っているかのようにテヌートなどを入れて表現し、まさに作曲当初の目的に沿った演奏でした。




●第3部

M.Oさん  ハチャトリアン こどものアルバム「少年時代の画集」より 「小さな歌(イワンの歌)」

       ガルッピ ピアノソナタ ハ長調 1楽章

       バルバトル ロマンス

 前口上でも語りましたが、改めて。音楽との出会いとその後は「曲名がすぐわかり、楽譜もすぐに手に入る」「曲名もわからず、楽譜も手に入らない」「曲名はわかったが楽譜が手に入らない」の三つのパターンがあり、ハチャトリアンは最初のパターン。ガルッピは二番目のパターン。そしてバルバトルは三番目のパターンでした。

ハチャトリアンは北大ピアノクラブ時代のM.Mさんが演奏会で弾いたのが出会いで、すぐに楽譜を買いました。全音の楽譜には「小さな歌」と題されてましたが、どうもそれはイギリスの出版社がつけた題名らしく、元々は「イワンの歌」だったようです。作曲時期もまだ作曲家として地位を確立してないアルメニア時代のもので、まさについこないだの少年時代の印象という事です。そして、その時点で作風が確立しているのはさすが民族主義の作曲家です。最近は作曲者本人の演奏も見る事ができ、参考にしつつも、もうちょっとセンチメンタルな感じで演奏しました。

ガルッピのソナタはFMの音楽番組のテーマ音楽としてずっと流れていて、だいたいそういうのは番組が始まった時に紹介さてその後は言及されないもので、謎の曲でした。が、なんとミケランジェリがかなりな頻度で演奏している事がわかり、その録音がテーマ音楽として流れていたのでした。曲名はわかりました。しかし楽譜が見つからない。しかし、昨年、某IMPSLであっさり発見。目出度く弾く事ができるようになりました。 

バルダッサーレ・ガルッピはイタリアバロック後期のヴェネチアのオペラ作曲です。ソナタはその彼が残したチェンバロの音楽です。同時代のC.P.Eバッハなどとはまた違った、晴れわたった地中海の陽光を彷彿とされるようなシンプルで美しい音楽です。なかなかこの曲の透明感が出せずに苦労しましたが、やはり音が濁ってしまいました。

最後の「ロマンス」は、フランス王政時代末期の作曲家、クロード=ベニーニュ・バルバトルの作品です。これはヨウラ・ギュラーという名ピアニストが弾いていたのを気に入って、曲名はその時点でわかったのですが、楽譜がなかなか見つかりませんでした。欧州に旅行した時も、結構あちこちの楽譜屋さんを探しましたが見つかりませんでした。が、やはり某IMPSLのおかげで昨年、楽譜も手に入りついに弾けることになりました。ちょっと早めのテンポで始めてしまいミスタッチの連続となってしまいましたが、フランス王政時代末期のロココ趣味な感じが少しでも伝わっていれば幸いです。


A.Oさん、M.Oさん連弾  鷲巣詩郎 映画「新劇場版エヴァンゲリオンQ」より Quatre Mains

 バロム1などのピー・プロ特撮を作った父親、そして「サザエさん」「サスケ」などを手掛けたアニメ制作会社エイケン創業者の叔父に囲まれてで育った鷺巣詩郎は当然のことながら特撮・アニメ漬けの少年期をすごし、ゴジラの伊福部昭の影響を受けつつ、作曲家として独立した後も、やはり当然ながら特撮魂な庵野秀明と意気投合します。その特撮魂がアニメ・エヴァンゲリオンの音楽に結実しました。その後、庵野秀明がファンに「迷走しているのか?」と言われた新劇場版エヴァンゲリオンQに提供されたのがこの作品です。確かに前作に続き謎解きはさらに混迷を深め、設定も唐突さは否めない所はありますが、やはりスパイスのようにこのフランス近代(しかも、イベールとかの方向性)っぽいQuatre Mains が入っていて、鷺巣詩郎は庵野監督の事をわかっているなと思ったものでした。Quatre Mainsは直訳すれば四手、つまりは連弾という事になりますが、エネルギーに溢れる曲想で、シンジとカヲルの忌憚なきぶつかり合い(つまりは監督とファンとのぶつかり合い)をうまく表現している楽曲です。ひく予定だったものが中止になって、ついにお披露目となってよかったです。親子ともども譲ることなく、溜めてきたものが一気に噴き出していた感じで、「サードインパクトから14年」という訳ではないですが、A.Oくんも背が伸びて筋力も増大して時間の流れを感じざるを得ない豪快な連弾でした。


M.Mさん  スクリャービン ピアノソナタ第3番 Op.23 第1楽章

 スクリャービンのこの曲、個人的にM.Mさんのこのテンポが好きなのです。でも、なかなかこのテンポで弾く人がいない。近いのはグールドの演奏ですが、あまりスタンダード扱いはされてない。確かにdramaticoの指示の通りなら、どうしたって最初にガツンと始めたいでしょうから、そこからテンポを落とすのは不自然でしょう。とはいえ、この曲にはやはり官能性を漂わせ欲しい。そして、M.Mさんのテンポでじっくり音色の階層の揺らぎや遷移を観ていたいのです。ドラマといっても、常に劇的とは限らない。そういう意味で、他では聴くことのできない貴重な演奏で大いにスクリャービンを堪能できました。




●おまけ:アフターピアノンノ雑感


いつもより皆さん、自由にあれこれ演奏していて楽しかったですが、特に


鍵盤ハーモニカとピアノの合奏による

「ニューシネマパラダイス」「ピアソラのリベルタンゴ」「ハウルの動く城」、

ヴァイオリンとピアノ合奏の「情熱大陸」、

ジョージアの作曲家アラザシビリ「無言歌」の初見演奏、

カバレフスキー「ソナチネ」、ショパン「子守歌」、ガーシュイン「前奏曲」

ハチャトリアン「エチュード」

ショパン「夜想曲Op.9-2」


などが印象に残りました。


アラザシビリ「無言歌」はヴァイオリンや鍵盤ハーモニカと合わせても凄く合いそうだと思いました。やはり歌ですからね。


ここまで-----------------------------------------------------------------------------



M.Oさんの雑感はいつも、ウィットに富んでしかもロジカルで、読んでいておもしろく勉強になります。でも寝てないんじゃないかと心配になります。ちゃんと寝てくださいね。


ありがとうございました!!!






2023年7月30日日曜日

AFTERNOON PIANONNO 2023 ご参加御礼!

こんにちは。ユングです。

昨夜はありがとうございました。おかげさまで、AFTERNOON PIANONNO 2023 無事に終わりました。


コロナ明けにこんな多くの皆様が集って一緒に作ってくださったこと、これ以上ないくらい感謝しています。

本当は、ほとんど集まらないかも、とか思ってました。。。。





コロナが明けたと言っていいのか、人によって感じ方も違いますし、そもそも3年もブランク作っちゃったし、私が把握しているだけでもけっこう受験生が多かったので、今回どれだけの方が来てくださるだろうかと悩みました。


が、これ以上スキップしてしまったら、年齢的にそもそも音楽をやるという技術的な意味でも厳しくなってきて、一度さび付いたものを研ぎなおせなくなる、今そんな際なんじゃないかな、それは嫌だ、やりたいことはやりつくさなくては、

というような不安に押されました。

たとい1家族2家族でも、その時はその時でスタイル変えりゃいいやと開き直って、お声がけしました。








お越しくださったみなさま、本当に、ありがとうございました。

やっぱり音楽はすごいし、それを他人に披露しようと思う人がいることは奇跡です。

音大の超絶技巧ピアノ、前回よりもはるかに表現量を増して、上手なだけじゃないなにかを携えて、素晴らしかった。

同じくらい、小さい子が弾くつたないピアノが心には刺さるんです。

年寄りが年齢の壁と戦いながら暗譜しようとしてできず諦めて適当に弾くピアノも、同じ。

それは、他人に聴かせなければ起こることのない化学反応で、まさにそれが音楽の意味なんじゃないかと、今回特に強くそう思いました。

とりあえず弾かなきゃ。弾いて聴かせなきゃ。




そんなわけで、昨夜はアフターで久しぶりにはじけて、アルコールも入ってないのにいろんな方にからんだような気がします。

ご無礼ありましたらお許しください。歳か??

でも、私は本当に楽しかった。今までで一番楽しかったかも。

ありがとうございました。






演奏しつついろんな準備を陰に表にフォローしてくださったI.Kさん、S.Kさんご夫妻様。本当にありがとうございました。

遠く岩手からきて看板作って下さったM.Mさんと娘のK.Mちゃん。ありがとうございました。あの音符の意味は感動しました。泣きそうになりました。あの先がずっと続きますように。

プログラムを考えてくださったA.Oくん、受験生なのに大変な作業、ありがとうございました。受験、がんばってね。応援してます。


なにより、あの場にいることを選んでくださったみなさま、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。










これから写真の吸出しやブルーレイの作成に入ります。特にブルーレイはちょっとお時間いただくかと思います。めどつきましたらご連絡します。今しばらくお待ちください。




ではでは。取り急ぎの御礼にて。




P.S

A.Oくんが作ってくれたプログラム曲順一覧を載せておきます。素晴らしいプログラムです。表紙も素敵です。


●第1部

M.Mちゃん  折坂悠太 世界のつづき

K.Mちゃん  ディズニーソング 美女と野獣メドレー

Y.Kちゃん  野田洋次郎 スパークル

S.Kちゃん  ブルグミュラー アラベスク

S.Kちゃん親子連弾  クラウス・バデルト/ハンス・ジマー He's A Pirate 奴こそは海賊

H.Sちゃん  Mack David / Al Hoffman シンデレラ・メドレー

H.Sちゃん親子連弾  Alan Menken フレンド・ライク・ミー

K.Sさん  ドビュッシー アラベスク第1番

M.Oくん  クレメンティ ソナチネ Op.36-2 第2楽章

M.Oさん  リスト 愛の夢 第3番


●第2部

M.Oくん/A.Oくん(vn)/M.Oさん(鍵ハモ)  ゴダイゴ 銀河鉄道999

ユング    坂本龍一 鉄道員

       坂本龍一 Energy Flow

M.Iさん  バッハ パルティータ第1番 BWV825 メヌエット1、メヌエット2、ジーグ

N.Tさん  坂本龍一 Merry Christmas Mr. Lawrence

M.Iさん  ショパン 練習曲 Op.10-1

     リスト リゴレット・パラフレーズ


●第3部


M.Oさん   ハチャトリアン こどものアルバム「少年時代の画集」より 「小さな歌(イワンの歌)」

       ガルッピ ピアノソナタ ハ長調 1楽章

       バルバトル ロマンス

A.Oくん・M.Oさん  鷲巣詩郎 映画「新劇場版エヴァンゲリオンQ」より Quatre Mains

M.Mさん  スクリャービン ピアノソナタ第3番 Op.23 第1楽章


●合唱

全員  黒須克彦 夢をかなえてドラえもん

    youth case ふるさと




2023年7月18日火曜日

AFTERNOON PIANONNO 2023 曲リスト!

本番まであと2週間を切り、エントリが出そろいました!

今回はこんな感じです。




スクリャービン  ピアノソナタ第3番 Op.23 第1楽章

坂本龍一  Merry Christmas Mr. Lawrence

坂本龍一  鉄道員

坂本龍一  Energy Flow

ハチャトリアン  子どものためのアルバムから イヴァンの歌

ガルッピ  ピアノソナタ ハ長調 1楽章

バルバトル  ロマンス

ショパン  練習曲 Op.10-1

リスト  リゴレット・パラフレーズ

スカルラッティ  ソナタ K.159/L.104 ハ長調

野田洋次郎  スパークル

ブルグミュラー  アラベスク

クラウス・バデルト/ハンス・ジマー  He's A Pirate ~ 彼こそが海賊

ドビュッシー  アラベスク第1番

Mack David / Al Hoffman  シンデレラ・メドレー

Alan Menken  フレンド・ライク・ミー

折坂悠太  世界のつづき(ウタ from ONE PIECE FILM RED)

ディズニーソング  美女と野獣メドレー

リスト  愛の夢 第3番

クレメンティ  ソナチネ Op.36-2 第2楽章

鷲巣詩郎  Quatre Mains(映画「新劇場版エヴァンゲリオンQ」)

黒須克彦  夢をかなえてドラえもん(合唱)

youth case  合唱曲 ふるさと(嵐のやつ、兎追いしじゃないほう)(2部合唱)




これから曲順決めですが、プログラムは前回に引き続きA.Oくんがやってくれることになりました。実はプログラム作成は大変な作業です。なぜか。曲順を考えるためにはまず、自分がすべての曲を知らなければなりません。知ったうえで、それぞれの曲の特徴を知り、さらに奏者についても知らなければなりません。どういう年齢でどんな演奏をするのか。それらの情報を収集したうえで初めて、曲順序を検討に入れるのです。そこからは、演奏会のテーマや、プログラムの流れがうまく符合するか、それらをシミュレーションして、やっと曲順序が決まります。

だから、膨大な量の全演奏者の曲をYoutubeとかで調べなければならない。なかなか骨の折れる作業です。


そんな作業をわざわざ若い子が自分から受けてくれるなんて、本当に頼もしい。ありがたい限りだし、本人の音楽センスを鍛えるためにもいい練習になるんじゃないかなと思う。大変だと思いますが、ここは彼に期待したいですね。すてきなプログラムを!


お忙しいところ本当にありがとうございます!




2023年7月11日火曜日

AFTERNOON PIANONNO 2023 開催します!

前回2019からもう3年が経ってしまいましたが、今年は3年ぶりにAFTERNOON PIANONNOを開催します!


日時:7/29(土) 午後15時頃?
場所:守谷のログハウス




今回は11回目になります。
2019年末からの新型コロナの事情があり、リモート開催などもいくつか試してみましたが、なかなか難しそうということで、実現には至らず。

でも今年に入って比較的落ち着いてきたのと、会場であるログハウスのルールが緩和されたことを受け、いけると判断しました。




コロナ、本当に長かったですね。その間にずいぶん色々と変わってしまいました。
もちろん嫌なこと辛いことありましたけど、でもいいことも、同じくらいあったんじゃないかな。

そんなこんなで、音楽友達のみなさんの演奏が聴けるのも嬉しいですが、なによりコロナの間ほとんどやりとりがなかったぶん、久しぶりに会って、3年分積もりに積もった話ができるのも、また楽しみです。




エントリ締め切りは7/16。曲目が出そろったら、こちらにアップさせていただきます。



3年ぶりだし練習してないし、私なんぞは年齢的にもなかなか大変になってくる時期ではありますが、年齢的にもう恥の概念も消えて、下手でも失敗してもまあ気にならないし。なにより、聴きたい、感じたい。だから、心は穏やかに無理せず、出来る範囲で、肩の力を抜いて脱力して、会場のすみっこにちんまり座ってちびちびジュース飲みながら、年齢相応にのらりくらりと楽しめたらいいな、と思っています。




2019年8月14日水曜日

ユングの自分を棚上げ所感!AFTERNOON PIANONNO 2019

あらためて、アフタヌーン・ピアノンノ2019、ご参加いただいた皆様、お疲れさまでした。そして今年もたくさんの素晴らしい音楽をありがとうございました。



 自分ユングは今回なかなか「人前で弾く、舞台に上がる」というレベルまでテンションを上げられず、今年はもういいや、と諦めかけていました。そんな中で、守谷のこの集まりにエントリくださる皆様の連絡メッセを読んでいるうちに、自分の間違いに気づかされました。手前勝手な思い違いかもしれませんが、演奏を披露してくださる皆様、聴きに来てくださる皆様、きっとひとりひとりに音楽の神様がついていて、神様が守谷におつかわしくださってるんかもしれん、そう思えるのがしみじみ嬉しくて仕方がないのでした。




 その宴からもう3週間近くたちました。遅くなりましたが、私ユングが生あるいはDVDで聴いて感じたことどもを、自分のことはめいっぱい棚に上げ、皆様への感謝の気持ちをこめて、ここに記しておきたいと思います。









 当日、台風が来ていて天気が微妙だったのですが、無事に晴れました。今回は調律なし。1週間前のリハーサルで弾いた感じ、狂いもあるけどなんとかなるだろ、という程度だったので、現状のまま14時過ぎに本番開始。以下、一筆ですが所感を演奏順に。演奏者のお名前はイニシャルにしてあります。








★★★ 第1部 ★★★

●K家オールスター
 米津玄師 Lemon

今回2年ぶりにパパも弾き語りで家族の歌で参加してくださいました。久保田さんちはなんといっても太陽のような明るいパワフルさ。パパの弾き語りと、ママ&子供たち3人のボーカルで、紅白でも流れた米津玄師のLemonを家族力で歌いきってくださいました。K家の、緊張とかうまく弾けるか上手に歌えるかといった雑念とは無縁のこの世界が私は大好きです。What music!! 毎回楽しみにしています。



♥S.Kちゃん
 ジョン・トンプソン てじなのめいじん
 ジョン・トンプソン がちょうとかえる
 岡本敏明 どじょっこふなっこ

S.Kちゃんはソロでは初めての登場です。懐かしい子供向けの3曲。とつとつとマイペースに弾いてくれました。K家のお子さんたちはみんな自由でマイペースで堂々としてますけれども、この子はその中でも迫力というよりは繊細さを備えているような気がしました。来年はどんな演奏になるんでしょうか。楽しみです。



♥Y.Kちゃん
 ケーラー ドイツ民謡
 北村俊彦 ブラック・ホール

K家の真ん中のお姉さん。ソロに加えて、K家のリコーダーとパーカッションを従えてピアノ伴奏を、いいリズムをキープしてやってくれました。上のお姉さんもそうですが、まあ音がしっかり出ていて指がしっかりしていて、安心して聞いていられます。スタッカートもスフォルツァンドもいい感じでした。まっすぐな演奏でした。



♥H.Kちゃん
 中村八大 上を向いて歩こう
 久石譲 君をのせて

この子は弾き語りが得意で、小さい頃から果敢にアタックしていました。今回はなんと、坂本九の名曲、上を向いて歩こう。なぜこの歌を選んだのかとても興味が湧くところですが、聴いてみると。オリジナルとはペースも声も当然違うんですけど、声の伸びが素晴らしくて、真っ直ぐどこまでも伸びていく天使のような美しい声は、この歌はこんな清らかな歌になるんだ、と驚いたのでした。いやほんと、素晴らしい演奏でした。そして、K家のお子さん3人の演奏を、パパとママと御祖母様が、温かいまなざしで見守っておられるのが印象的でした。K家の皆さんにはいつも、音楽とはなにかを教わっている気がします。ありがとうございます。



♣M.Oくん
 ブルグミュラー バラード

ブルグミュラーの有名な曲を弾いてくれました。よく知られている曲ですから、聞いているみんなの耳も肥えています。演奏は、来てほしいところでバシッと来る、細い指なんだけど、強い音がしっかり出ていてダイナミック。これはお母さん譲りでしょうか。このままピアノを好きでいつづけて、どんどん難曲に挑んでいってほしいと思います。



♥M.Kちゃん
 エルガー 威風堂々

威風堂々、ピアノよりオケで聴くことの方が多いですが、ピアノで弾くと全然印象が違いました。広々とした原っぱに空から光のカーテンが降りてきて、ひんやりした清澄な風が吹きました。こんな風にM.Kちゃんが感じているかどうかは知りませんが、私の心にはそう伝わりました。ちょっと大人びた素敵な演奏でした。



♥M.Mさん
 スクリャービン ソナタ4番 Op.30 第1,2楽章

昔々、たしか1993年の夏、札幌は琴似パトスホールのベーゼンドルファーで、Y.Oさんの演でこの曲を聴きました。当時私はクラシックをほとんど知らなかったので、世の中にはこんな素敵なジャズのようなクラシックがあるんやなあとぼんやり思ってました。Y.Oさんの演奏はパワフルで緻密でした。そして26年の歳月が流れ、今回、札幌から1000km離れたログハウスのほっこりした空気の中で聴くM.Mさんの演奏は、大味だけど楽しそうで、曲への愛情に満ちあふれて、聴いている私も一緒に嬉しくなってしまいました。世の中いろんな音楽があって楽譜があって作曲者の思いがありますけど、演奏者の思いというのもとても大切な要素ですよね。M.Mさんの演奏にはいつも作曲者プラスアルファのワクワクがあって、聴いている人に夢を与えてくれます。これからもずっと、そのワクワクを持ち続けてほしいと心から思います。









★★★ 第2部 ★★★

●O家ブラザーズ
 シューベルト 子守歌

O家の次男I.Oくんがギターで、鍵盤ハーモニカの弟M.Oくんと一緒に子守唄。去年はたしか二人でコントで参加してくれましたが、今年は楽器でデビューしてくれました。ギター、めっちゃ似合います。ぽつぽつと歩くような、のんびりほっこりした気持ちになる演奏。本人はいっぱい間違えたと言ってましたけど、なんでなんで、十分上手だったし、曲からそれっぽい雰囲気がしっかり感じられました。また来年も聴きたいな。



♥K.Mちゃん
 キャサリン・ロリン 不思議なユニコーン

ギロックの曲の中では女の子が好んでよく弾くユニコーン。私はこの曲大好きです。ひととき夢の世界に行きました。藍色の星空を飛んで駆けていく幻獣が見えるような気がしました。ここは夢の世界?もしかして前のシューベルト子守唄と繋がってるんちゃうかと思ってしまいました。ペダルワークも上手で、この曲の不思議さを上手に表現できていました。きっとK.Mちゃんもこの曲好きなんでしょうね。



♣Y.Oさん
 ドビュッシー  エチュード10番

いやもうほんま、ごめん、マジでわからへん。初めて聴く曲でしたが、それにしても、どうにも怪しげで掴みどころがなく不気味な感じが、Y.Oさんらしさですよね。なんでこの曲選んだん?と聞いてもきっと、「いやあ、好きだから」と答えるに決まってますが、私はこの演奏を聴いていて、数学のめっちゃ難解な数式を専門用語バリバリちりばめてわかりにくく説明されて頭に????が並んでいるような状況に陥りました。いやもう、正直に言わしてもらうと、ただただ、難しく怪しかったです(笑)でもきっと、Y.Oさんは私にはわからない何かを理解してて、楽しみながら表現してるんだろうな。私にそれがわかる日が来るかどうかわかりませんが、それまで彼にはこの怪し系をずっと貫いていってほしいと思います。



♥M.Kさん
 Neru & z'5 病名は恋だった

弾き語りではなくピアノソロでした。私はこの曲を知りませんが、気のせいかな、歌声が聞こえたような錯覚を感じまして。もしかしたら小声で歌ってたのかもしれませんが、それだけメロディがちゃんと出てて、ピアノソロでもしっかりとピアノを歌わせてたんやろなと思いました。どんどん上手になっていきます。ぜひピアノを好きなまま続けていってほしいなと思いました。



●S&M Family
 ディズニーメドレー

S家のH.Sちゃん、K.Sさんと、K.Sさんの教え子のK.Mちゃんファミリーのディズニー。もう定番です。今年はメドレーでいろんなディズニーの歌を連弾プラスアルファでやってくれました。聞き覚えのある歌が出ると嬉しいですよね。途中からは鍵盤ハーモニカが加わって、3人連弾や鈴パーカッション!夢の園気分をゆったり味わわせてもらいました。これ、メドレーの楽譜があるんかな。もしかしたらK.Sさんの編曲かもしれません。メドレーの順番になにかストーリーや意味があるのかも。そして、弾いてくれた3人娘の頭の花飾りがかわいすぎて聴衆の心をまとめて持って行ってしまいましたとさ(笑)



♣ユング
 ドビュッシー  子供の領分より「雪が踊っている」
 ショパン エチュード Op.10-9

自分のピアノどころか音楽を聴くことすら気が向かない日々でした。今回は今の自分の状態がそのまま出たという感触でしたが、弾いてよかったと思います。音楽を奏でつつ、実はその中に人生が織り込まれてます。奏でることは生きること、それを皆様に教わりました。次はなにを弾こっかな!



♥H.Sちゃん
 ギロック フランス人形
 樹原涼子 好きなこと

昔々、「ゆきだるまつくーろー」とかわい過ぎる声で歌って聴衆を悶絶させていた、あの小さかったH.Sちゃんが、気がつけばもう3年生。奏でる音楽は、可愛らしさはあの頃の歌声そのままに、正確さとしとやかさが加わって、もう立派におしゃまなお姉さん。樹原涼子の曲のささやかな装飾音、なんともええ感じです。こういう微妙な情景もちゃんと表現できる。子供が育つのはほんまにあっという間ですね。お母さんのように、楽しんで音楽を人生のそばに置き続けてほしいと心から思いました。



♥M.Oさん
 ショパン スケルツォ1番
 ファジル・サイ トルコ行進曲 ジャズ

1番は、ショパンのスケルツォの中で私が一番好きなナンバーです。あまりにも難しすぎてとてもやないけど自分で手を出す気にはなれませんが、これを音楽友達が実際に弾いているだけで、この場にいた甲斐があったと思えました。この曲の持つ、闇夜に光るナイフのような鋭さ、対照的に中間部の穏やかな川面を舟がゆったりと滑るような情景も、どれも本当に素晴らしくて、ああここにいて良かったなあとしみじみ想いながら聴きました。ジャズ風のモーツァルトは初めて聴く曲でしたが、重すぎるスケルツォからのギャップが良く、ある意味疲れを癒されるように楽しく、第二部をスカッとしめてくれました。








★★★ 第3部 ★★★

●劇団sana
 原作:にしのあきひろ 演出:さいとうますみ えんとつ町のプペル・プロローグと歌

初めてアフタヌーンピアノンノにご参加いただいた劇団sanaさんの朗読劇です。タブレットのスライドショーに合わせて台詞を何人かで朗読していくんですが、途中にはピアノの伴奏や歌が加わって世界が膨らんでいきました。終わった後に、ひとつのとても素敵な世界を見せてもらったような、ありがたいと感じる心が残るような、じわりと心に染み入る朗読劇でした。それにしても、演出のさいとうさんの声の張りのすばらしさが際立っていて、ぼそぼそ喋りの私は心から羨ましいと思った(笑)



♥S.Kさん
 ベートーベン ソナタ テンペスト第三楽章

ベートーベンが好きなS.Kさん、有名なテンペストを弾いてくださいました。相当弾きこんだと思いますが、強弱のダイナミックレンジが広く、また途中からアクセルを踏んでガンガン乗って、聴いてる方が心配になるくらいの迫力でした。みんながよく知ってる定番の曲を弾くというのは、粗も見えやすくて勇気が要ります。でも毎回そうした挑戦をされ、毎回見事に決めてくださるS.Kさんの安定感はすごいです。



♣A.Oくん
 小川新 アニメ東方メドレー

Youtubeで子供たちの間に流行しているボカロの曲を自分でバイオリン+ピアノでメドレー編曲。音楽街道まっしぐらの若きホープです。バイオリンも見るたびに上達していると感じましたが、なにより嬉しいのは、子供たちが音楽をより好きになって自ら新たな挑戦をしてる姿。今回はなんとプログラム構成までやってのけました。この先どこまで自分の音楽世界を広げていくのか楽しみでたまりません。



♣M.Oさん
 ショパン マズルカ Op67-2、Op67-3

M.Oさんがショパンを弾くのを私は大学時代から今まで一度も見たことがありませんでした。M.Oさんは時々こういう天啓を受けた行動をされます。私の中では、メジャーどころにあえて距離を置き、大衆が普段顧みることのないマイナーな不思議世界の曲を好んで弾いてるイメージでした。しかし、年をふることで心の中やものの見え方聴こえ方が変わっていくことはあるような気がいたします。今映像で見ると、背景のログハウス中庭の草原が風に揺れている情景がびっくりするほど音楽に合ってます。これもやはり天啓のなせる業でしょうか。
 ちなみに映画「この世界の片隅に」の解説が演奏より長かったのはご愛嬌です!



●I.Kさん、S.Kさん、N.Mさん
 松任谷由実 リフレインが叫んでる

I.Kさんのお声がけで生まれたこのユニット、3回目かな?S.KさんとN.Mさんの声質が近いせいだと思いますが、昭和を思い出させるハモリがなんとも懐かしく感じました。男声パートがあったら私も参加したいところです。そしてできればアフターで歌声喫茶よろしく、もっといろんな昭和平成の歌をやってほしかった。でもこのユニット、次やる歌がすでに決まっているようなので、また来年の楽しみにとっておきましょう!



♣Y.Oさん
 シューマン ダヴィッド同盟舞曲集Op.6より抜粋(第1,4,5,6,8,10,14,13,17,18曲)
 カプースチン 10のバガテル Op.59より第1曲
 カプースチン プレリュード Op.53-23
 アルベニス イベリア第2巻より 第6曲トゥリアーナ

北海道から1000km空を飛んで駆けつけてくれました。ほんまにありがたいことです。それだけでも感謝感激です。Y.Oさんはいつも演奏に妥協がなく、今回は鉄板のオオトリでした。今回弾いた曲、実は一曲たりとも私ユングが知っているものがなく、やむなくシューマンとカプースチンについてちょっとググって調べたことを踏まえて書かしてもらいます。間違ってたら指摘してね。

 シューマンのダヴィッド同盟舞曲。シューマンはベートーベンより少し後のドイツの人。リストやワグナーといった当時ブイブイいわしていた派閥に対抗し、彼のもとを訪れた若き美形ブラームスにその希望を見出して音楽の表舞台に引き出した張本人です。また作曲だけでなく自ら音楽雑誌を発行して文筆活動にもいそしんでいました。
 彼の晩年はノイローゼ、自殺未遂など決して明るいもんやなかったですけど、この曲は彼がまだ未来に希望をもって音楽と向き合えてたころ、そして当代随一と言われた美人ピアニスト、クララと結婚したころの、ノリにノっていた時期に作曲した、まさにやる気満々、あるいは心豊かな情景が見える曲集です、たぶん。
 ちなみにダヴィッド同盟とは、そんな名前の政治同盟が実在したわけではなく、恐らく単にシューマンが共に音楽を語り合える、志を同じくする仲間たちを勝手に「ダヴィッド同盟」と言ってたぽいです。そんなところもなんとなくシューマンらしいですよね。
 シューマンて、自分よりも自分が志向する音楽を大事にするような滅私奉公なところがあるような気がします。シューマンの曲、なんやろなあ、古いような、新しいような、自分勝手なような、ハチャメチャなような、でも縛られてるような。Y.Oさんがどういうイメージでこの曲を捉えてたのかわかりませんけど、こうしてあらためて聴いてみると、「僕はこれからこういう音楽をやっていきたいんだよ」というシューマンの声が聞こえてきそうな、そんな曲なんかな、と感じます。てどんなんやねん(笑)

 そしてカプースチン、Op.53-23が素敵ですねえ。実は最初はプログラムに入れてなかったんですが、Youtubeで聴いたらあまりに素敵やったんで、私がぜひ入れてーとリクエストしたら、答えてくれました!ジャズ風、リズミカルでスピーディ。DVDのOP/EDにも使わせていただきました。カプースチンはロシアの作曲家で、まだご存命です。これもググって知りました。なんでこんな珍しい曲知ってるんやろ彼は!










~終わりに~

 そんなこんなで、つたない文章ですが、私の偽らざる感想を形にしてみました。読んで気分を害されたらごめんなさい。きっとこの後、M.Oさんがちゃんとした所感を今年も寄せてくださると期待して、私の文章のダメさ加減は堪忍してください。


 今年もみなさまからたくさんの感動や不思議や気づきをもらいました。ありがとうございました。音楽がそこにあることがすでに有り難いことだとしみじみ思いました。楽しい時も苦しいときも音楽を傍に置いておこうと。


 そして最後に。冒頭と締めでユングが司会をやりましたが、DVDであらためて見たら、聞くに堪えないぼそぼそ&冗長&クソ長い独り言のような喋り。もうこれは公害やろ・・・・来年はもう少し短くハキハキとできるように、頑張ります!



2019年7月29日月曜日

AFTERNOON PIANONNO 2019 ご参加御礼!

AFTERNOON PIANONNO 2019にご参加いただいた皆様

ユングです。10回目のアフタヌーン・ピアノンノ、無事に終わりました。お疲れさまでした。



節目は気にせずと言いつつ、振り返ってみると、やっぱり10年は短くはないと思いました。あの時赤ちゃんだった子がもういっぱしにピアノを披露していたり、あるいは音楽から離れて別の自分の世界を作っていたり。新しいジャンルが加わっていたり。

演奏会のスタイルが今後どうなっていくかわかりませんけれども、変化を恐れず、年に一度の楽しみでいられるよう、できる範囲で続けていけたらと願っております。


看板はM.Mさん作!



自分は今回マジでぼろぼろでしたけど、誰でも人生調子が良いとき悪いときがどうしてもあり、ダメなときはダメらしく、いいときはいい感じで、音楽が人生を紡いでくれているのだろうと思います。
何年かたって、演奏会の録画を見返したときに、「あっはっは、この時のオレ死んでるなー!!」と笑えればいいです。
今回は、そんな感じの、少ししみじみとした演奏会になったように感じました。




演奏会に遠くから近くからお越しいただいた皆様、ありがとうございます。音楽を愛する方々がいらっしゃらなければ、なにもできません。そして、終わったとに残るこの充実感には、ああやっぱり音楽仲間って最高だな、と勇気づけられます。

K.Sさんの絶品ゼリー!! 


札幌のT.F先輩からの差し入れ!



そして、この会を裏で支えてくださっている皆様に心から感謝したいと思います。

写真を撮ってくれているロイコさん、音響まわりをいつも準備いただいているI.Kさん、素敵なパネルを作ってくれるM.Mさん、プログラムを作ってくれたA.Oくん、会場準備をしてくれているユング妻のN.Mさん、色々な差し入れを下さるみなさま、司会補助してくれた中学生3人。いつも本当にありがとうございます。感謝してもしきれません。それ以外にも、色々と陰に日向に演奏会を支えてくださった方に、御礼申し上げます。ありがとうございました!




以下に、今回のプログラム構成を転記しておきます。中学生のA.Oくん作です!





◆第1部
 ・K家全員
       米津玄師 Lemon
 ・S.Kちゃん
       ジョン・トンプソン てじなのめいじん
       ジョン・トンプソン がちょうとかえる
       岡本敏明 どじょっこふなっこ
 ・Y.Kちゃん
       ケーラー ドイツ民謡
       北村俊彦 ブラック・ホール
 ・H.Kさん
       中村八大 上を向いて歩こう
       久石譲 君をのせて
 ・M.Oくん
       ブルグミュラー バラード
 ・M.Kちゃん
       エルガー 威風堂々
 ・M.Mさん
       スクリャービン ソナタ4番 Op.30 第1,2楽章


◆第2部
 ・O家ブラザーズ
       シューベルト 子守歌
 ・K.Mちゃん
       キャサリン・ロリン 不思議なユニコーン
 ・Y.Oさん
       ドビュッシー  エチュード10番
 ・M.Kさん
       Neru & z'5 病名は愛だった
 ・S&M Family
       ディスニーメドレー
 ・ユング
       ドビュッシー  子供の領分より「雪が踊っている」
       ショパン エチュード Op.10-9
 ・H.Sちゃん
       ギロック フランス人形
       樹原涼子 好きなこと
 ・M.Oさん
       ショパン スケルツォ1番
       ファジル・サイ トルコ行進曲 ジャズ


◆第3部
 ・劇団sana
       原作:にしのあきひろ 演出:さいとうますみ えんとつ町のプペル・プロローグと歌
 ・S.Kさん
       ベートーベン ソナタ テンペスト第三楽章
 ・A.Oくん
       小川新 アニメ東方メドレー
 ・M.Oさん
       ショパン マズルカ Op67-2、Op67-3
 ・I.Kさん、S.Kさん、N.Mさん
       松任谷由実 リフレインが叫んでる
 ・Y.Oさん
       シューマン ダヴィッド同盟舞曲集Op.6より抜粋(第1,4,5,6,8,10,14,13,17,18曲)
       カプースチン 10のバガテル Op.59より第1曲
       カプースチン プレリュード Op.53-23
       アルベニス イベリア第2巻より 第6曲トゥリアーナ




取り急ぎ、御礼まで。