ようこそ!


「AFTERNOON PIANONNO(アフタヌーン・ピアノンノ)」は、平成4年の北大ピアノクラブ創設当初所属していた部員のうち、一部のOB/OG仲良しメンバーが集まって2010年からやり始めた、小さなサロンコンサートです。音楽を愛する仲間たちが、年に1度集まって旧交を温めつつ、なるたけお金をかけずに気軽に音楽を楽しもうという、ただそれだけを思って始めた、ささやかな集まりです。 ぼちぼち、ゆる~く、続けていこうと思っております。よろづ帳はこちら! ブログへのご意見・ご要望はこちらまで。

2016年8月10日水曜日

福島のM.Oさん渾身の所感!今年もこれで締めくくりです!!!

毎年素敵な所感を寄せてくださっている福島のM.Oさんが、今年も渾身の所感を送ってくださいました!!


毎年、M.Oさんらしい、独特の切り口で音楽を解析してくださる、わかりやすく、しかもウィットに富み読んで面白い文章です。今年は作曲者の年代別に並べてくださいました。


実は、M.Oさんのこの所感が、アフタヌーン・ピアノンノにとっての本当の「トリ」とも言えます。それくらい、私は楽しみにしています。


そんなわけで、いつもように、いただいた所感のうちお名前をイニシャルにして、転載させていただきます。




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こんにちは。
随分間が空きました。


今年はいつも以上に、こうして皆が集まって音楽をする事の希少さ、もっと言えば「奇跡」を強く感じました。

特に小さい子供たちが懸命に鍵盤に向かい、打楽器に興じている様を見ているだけで、その音楽というよりも、その音楽ができる状況そのものに涙が出そうになる事もしばしば。歳のせいと言えばそれまでですが、まさにテロが頻発する現場に住まう桂さん、あるいはインドネシアに旅立つビデオ出演のNさん一家の事を思えば、単なる私個人の感傷ではないのかなと思います。

テロや紛争に限らず、日本の場合、大きな地震や天災もどこでいつ起きるかわからない。さらには原発に限らず近代的で複雑な巨大施設やシステムがどこで破綻するかもわからない。



そんな心持のままシン・ゴジラを見てしまったので、もうピアノンノでの感情がさらに補強されてしまった感じで、音楽それぞれについて細かな事を書くのが難しくなりました。ということで、それぞれ演奏については「印象」だけを備忘録的に記しておきたいと思います。今回は、作曲者の若い順に書いていきますね。


生まれ順に並べると、違う曲なのにやはり世代ごとの雰囲気と言うか特徴が出てきて面白いです。






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●元ちとせ(1979-)   ハミングバード
Greeeen(ほぼ1980-) キセキ

どちらも両Kさん一家の音楽を愛する本当に本当に楽しい合奏でした。毎年、子供たちの成長を見て胸の内で涙しています。
アフタヌーンピアノンノの雰囲気というかムードは、間違いなくKさん一家が作っていると思います。特に今年はそれを感じました。
なお、Greeeenは、歯医者さん4人組の音楽グループなので、eが四つです。





●クリスティン・アンダーソン&ロバート・ロペス(ほぼ1975-) Let it go
黒須克彦(1978-) 夢をかなえてドラえもん

奇しくもどちらもアニメの歌。ついでにいうと、どちらも売れっ子作曲家です。
一昨年のピアノンノに Let it goラッシュがあった訳ですが、本当に女子に愛されている楽曲なんだだなあH.Kちゃんの自分の音楽となった演奏を聴きながら思いました。
最後の大合奏の夢をかなえてドラえもんも、子供たちの自発的かつ素晴らしい即興にもうただ感無量です。





●葉加瀬太郎(1968-) 情熱大陸
ビデオによる演奏との合奏は本当によく考えたなあと思いました。確かにビデオを見ているだけだと、何か「記録映像」みたいになってしまいますからね。まあ、記録映像には違いないんですが、それぞれの想いを分かりやすく表に出そうと思ったら、ビデオと合奏と言う風になるでしょうね。そして、予習で見て、本番と言う流れもよかったです。ともあれ、映像の中であっても、Nさん一家の元気な姿を見られたので、これまた感無量なり。無論、S.Kさん&Y.Nさんの演奏も去年にルパン三世に引き続き、スリリングで素晴らしかったです。





●新井満(1946-) 千の風になって
小森昭宏(1931-2016) いとまきのうた

ユングさんの絶唱を聴けたのも今回の大きな収穫でした。それも「千の風になって」というのがいい。発声方法とかブレスの問題とかいろいろ課題はあるにせよ、この歌の持つ音楽性を最大限表現していたと思います。歌というのは、上手くなると、上手く歌う事に主眼が置かれるようになって、自己陶酔な音楽になる危険性を常に はらんでいるのですが、今現在のユングさんの場合、とにかくこう歌いたいというのが前面に出ていてよかったです。

小森昭宏さんは、新井さんと同年代 と言う訳でもないですが、戦前と戦後でこうも作風が違うと言う事を「いとまきのうた」を聴くと痛感します。作曲者が違えば当然だろうと思うかもしれませんが、やはり生まれ育った空気と言うのは、生涯ついて離れないものなのですよ。そして、小森さんは今年の6月に亡くなっております。こういう曲をY.Kちゃんが弾くというその事実だけで、私にとっては充分です。作曲者はいなくなっても、作品はこうして子供にひきつがれてゆく。





●シャーマン兄弟(1925-2002) チム・チム・チェリー
エンリコ・モリコーネ(1928-)ニューシネマ・パラダイス

チム・チム・チェリーは言うまでもなく、アニメでないディズニー映画「メリー・ポピンズ」の中の煙突掃除の楽曲。とにかく子供が弾いて歌ってこそ光る音楽というのがあって、この曲はまさにそれ。ということを今回も痛感しました。どのような経緯があるにせよ、この歳でこの曲を人前で弾いたと言う事自体が、M.Gちゃんにとっての財産になると私は思います。

ニューシネマ・パラダイス、いいですよね。映画も音楽も。モリコーネさん、やはりシャーマン兄弟と同年代なんですよ。この世代の作曲家って、本当にメロディーメーカーが多くて(「ある愛の詩」のフランシス・レイ、「スター・ウオーズ」のジョン・ウイリアムズなど)、ぼんやりとタダ弾いていても様になる事が多いのです。しかし、さすがユングさん、メロディーによりかかることなく、素直にこう表現したいと言う事をきっちりやり通していて、本当に気持ちよく聴く事ができました。





●ウイリアム・ギロック(1917-1993) サラバンド、女王様のメヌエット
平井康三郎(1910-2002) 幻想曲「さくらさくら」

どちらも音楽教育に多大な足跡を残した人です。音楽が一部の特権階級でなくあらゆる人々が享受すべきという二十世紀前半の潮流をギロックはアメリカ合衆国で、平井は日本で体現した人ということなります。ということで、ピアノ学習者には馴染みのあるものが多いのですが、バイエルやブルグミュラーよりは近代的 でバルトークほどは前衛的でない作品群が今も生き残っています。Y.Mくんのサラバンド、音楽と言うより「自分の音」を出すことに傾注していて本当に美しい響きでした。しかし、これだけ繊細な音を出せてしまう彼はこれからどこに向かうのでしょうか。K.Mくんは、やる気があるのかないのか今年もよくわかりませ んでしたが、ユング家で過ごしている以上、音のセンスは着実に伝染している事がよくわかる演奏でした。

C.G君の幻想曲「さくらさくら」は、彼自身 が原点というだけあって、湿っぽい無駄な貯めもなく、非常にダイナミックレンジの広いスケールの大きい演奏でした。全音ピアノピースの一つなのですが、お手本演奏とか、まず駄目なのが多いので、真っ当な音楽的な演奏で聴いたのは今回が初めてで、なかなかよくできた曲だなあと再認識しました。





●リチャード・ロジャース(1902-1979) ドレミの歌
Sさん家とKさん家、両方で選曲された曲ですが、やはりそれぞれの演奏にカラ―が出てきて面白いですね。この曲は、シンプルに一人で弾いてもよし、大人数でポリフォニックに合奏してもよしの非常に優れた楽曲なのですが、今回は両方の面が聴けて楽しかったです。なお、作曲者のロジャースは、ハチャトリアンとほぼ同世代。と聞くとやはり何とはなしに納得してしまうのでした。





●エリック・サティ(1866-1925) ヴェクサシオン
クロード・ドビュッシー(1862-1918) 夢  前奏曲から「カノープ(の壺)」

サティは、たぶん西洋音楽史上初めて「音楽とは何か」と根源的に考えた人でしょう。今日では、ジムノペディとおまえが欲しいが有名になりすぎたので、そういう前衛的な部分は感じる事は少ないでしょうが、Y.O君は、まさにサティの前衛的部分をクローズアップして実演してくれました。ヴェクサシオンは、単純に同じフレーズを繰り返すだけでもいいのです。ミニマル音楽の開祖と言うべき作品なのですが、そこであえて変化を取り入れるために様々な試みを行いました。見ている人は当惑の方が大きかったかもしれませんが、ピアノと言う楽器が普段見慣れたものから、違う音響体に見えてきませんでしたか?そうであれば、Y.O君の試みもやった甲斐があるというものです(ま、そこは当人がどう考えていたかによりますが)。そして、スムーズに同時代の革新者であるドドビュッシーに移行してゆくのはさすがの演出です。カノープの壺の意味を知れば、なおさら洒落ていますね。

一方、N.Mさんの「夢」は、乙女のドビュッシーでした。ドビュッシーとしても、まだ革新者ではない頃の作品です。意外と、リズムの難しい曲で、響きを制御するのも大変かと思うのですが、ほんわかとシフォンケーキのようにまとめていただきました。御馳走さまです。





●ヨハネス・ブラームス(1833-1897) 創作主題による変奏曲
ヘンリ・クレイ・ワーク(1832-1884) 大きな古時計

ブラームスのこの変奏曲、人生を達観したような回想モードの曲のように聴こえますが、実はブラームスがまだ24歳の頃の恋多き時期の作品です。要するに、元々、こういう奴と言う事です。多くの演奏家は、まろやか上質なワインのようにこの曲を演奏するのですが、さすがにM.Mさん、この曲がたった今できたような生々しい刺さる演奏でした。各々の変奏の繰り返しを省いた事も、この曲の秘めた前進性が出していたと思います。桂さんが弾けば、極めてアグレッシブにたぶん別の方向へスッ飛んでしまうと予想されますが、やはりM.Mさんならでは重厚な演奏が聴けて嬉しかったです。

一方の大きな古時計ですが、フォスターと同世代のアメリカの作曲家ワークの作品です。アメリカはまだまだ音楽的には後進国で複雑な交響曲などを作曲できる人はまだまだ少数でした。よって、民謡を参考した歌曲中心の作曲家の天下だった訳ですが、その中でもこの「大きな古時計」は空前の大ヒット作だったようです。それは今でも続く訳ですから凄いですね。そして、この単純なメロディーには、やはりブラームスと同じ時代と言われて納得できる「空気」がありますね。でも、そんな事を考えなくても、Y.Kちゃんの訥々と鍵盤に向かって出てくる音に耳を傾けるだけで充分です。





●フレデリック・ショパン(1810-1849) ワルツ Op18、64-2、69-1  前奏曲   Op28-15
ヨハン・ブルグミュラー(1806-1874) 素直な心、優しく美しく

ショパンについてはいまさらあれこれ言うこともないのですが、ともあれ、楽譜通りに弾けば誰が弾いてもショパンになり、しかもその人それぞれの個性も出ると言う、ある意味、魔法使いのような作曲家です。K.Sさんの弾くワルツ、曲の特性もあるのでしょうけど、「おもてなしのショパン」と言う感じでしたね。誰かのためを思って丁寧にこしらえてくれた感じです。一方、E.Uさんのワルツ2曲は「普段着のショパン」といった感じでした。まあ、これもそういう曲でもあったのですが、小さなサロンで親密な人々が集う中で自然発生的に弾かれているような、そんな感じの演奏でした。実際、ショパンは本来、何百人も入る様な大ホールで聴くような作曲家ではないんですよね。まあ、楽器の発達のおかげで、大音量が出るようになり、今では普通に巨大なホールで演奏されていますが、ふと、そんな事を思い出させてくれました。そして、I.Kさんの前奏曲は「渾身のショパン」。良いと思った曲をとにかく全力で弾くという想いがしっかり伝わってきて、大変初々しかったです。ショパンというのは、同時代の作曲家の中では相当に和声が複雑で、いくらスローテンポでも慣れないと譜読みするのも難儀するものですが、I.Kさん、時間が限られるなか、かなり頑張ったのではないかと推察します。お疲れさまでした。

で、ほぼ同時代の人としてブルグミュラー。子供向けの作品と言えども、ショパンに比べたらこの和声の平明さを実感できるでしょう。まあ、ショパンと同時代の人といっても、意識はベートーベンから抜けられなかった人と言えるでしょうか。と言うか、ショパンが特異的過ぎるだけなんですが。ユング家の突然変異、S.Mちゃんのまっすぐな演奏は、文字通り「素直な心」そのままで、足早になることも、立ち止まる事もほぼなく、中庸な音とテンポですっきりと弾いてくれました。H.Kちゃんの「優しく美しく」もまた、訥々とした語り口でしみじにとしてしまいました。どちらの曲も腕に覚えがあるようになると、サラサラと無音楽に弾きとばされる運命にある曲なのですが、そうはなっていない二人に乾杯です。





●ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827) ピアノソナタ Op81a 「告別」
大曲です。そして、ベートーヴェンの作品の中では標題音楽として作曲者自身が記した数少ない例です。標題音楽でありながら、絶対音楽的に非常に密に構成されており同時に、非常にわかりやすい物語性もあり、全曲弾いてもらって正解でした。一楽章だけだとドラマの予告編で終わりだし、終楽章だけだと「なんでそうなった?」という話だし、二楽章だけだと何の話かさっぱりわからないでしょう。一楽章「告別」、二楽章「不在」、終楽章「再会」と言う流れでとらえないと、やはりこの曲は収まりが付きません。

と言うのは簡単で、主題をからめて全楽章あれこれ考え始めると頭がパンクする曲なので、M.Oさん、忙しい中練習して、かつ本番でも本当によく弾き切ったなあというのが一番の感想です。いや、ホントに凄いわ。お疲れさまでした。





●ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750) ガボット(管弦楽組曲3番 BWV1068から)
一応、補足しておくと、去年に弾いたガボットとは違います。今年は大バッハの本格的な曲の編曲。去年は、フランスのオペラ作曲家のアンプロワーズ・トマのガボットです。ともあれ、たったの一年間でのA.Oくんの圧倒的な進歩に驚きました。去年までは「楽器に弾かされている」感がありましたが、今年は「楽器を弾いている」感じになりましたね。ということで、それなりに構成の複雑なバッハのガボットもある程度自在に音楽的に弾きこなしていたのが凄いです。この先は、ヴァイオリンをどういった音楽の「道具」にしてゆくかによってやることは変わって来るでしょう。本格的に正統派の演奏家になるのであれば、つまらなくてももっと「型」と「音色」をきちんと定めていかないと、新たな音楽的課題に立ち向かう時にいずれ限界に突き当たります。そう言う事は抜きにして、ある程度楽しく音楽が出来れば良いというのなら、「型」は気にせずにいろいろな場で武者修行をしてください。センスがあるだけに、いろいろと誘惑もあり、なかなか難しい選択ですけど、どんな形であれ音楽は続けていってほしいですね。




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と言う事で簡単ですが、こんな感じで今年もあれこれ書いてしまいました。
とにかくこの集まりがある事が「平和」であり「平穏」であるということです。
今年はなぜか特にその事を痛感しました。



ところで、シン・ゴジラ、近年まれにみる傑作なので、是非、映画館でやっているうちにご覧ください。
特に、理系に興味のある方は是非とも!下手すると生涯にわたって影響を受ける映画になるかも。
誰が見ても色々な視点が持てる多面的な作品です。二時間あっというまですよ。




では。





ここまで ##################################################################################################






M.Oさんは、この演奏のDVDを観ているわけではありません。録音もしていません。純粋にその場で聴いた印象を深く刻んで反芻して、これだけのものを書かれています。M.Oさんの所感には、聴こえてくる音楽のその奥底にある真理のようなものに触れて、それを平易な言葉で解説してくださっているので、読んでいて「ああ、そうだったのか」と奏者自身が気づかされます。これを書けるのはやっぱりM.Oさんしかいません。毎年遠くからお越しいただいて、こんなプレゼントをくださるM.Oさん、本当にありがとうございます。



というわけで、ゴジラ観に行こうかな!!

2016年8月4日木曜日

ユングの棚上げ所感!AFTERNOON PIANONNO 2016!!

アフタヌーン・ピアノンノ2016、楽しかったひと時も終わり、ビデオのマスターディスクも出来上がり、あとは所感を書くだけになりました。楽しい時間はあっという間です。




所感、私にとっては、毎年のピアノンノを振り返って整理し記憶に刻むための大切な作業です。文章にすることで、ああ、こういう進歩があったな、この変化はなんだろうな、と思いを巡らせます。もちろん、音楽に造詣が深いわけでもなく、技術的なことを理解しているわけでもないので、書ける内容といえばせいぜい感想文レベルを超えないわけなのですが、それでも記録に残しておくことで、後で読んだ時に「ああそういえばこの時は自分はこう感じたんだよな」と音楽を感じる自分自身の変化に気づくこともあります。というわけで、毎度自分を棚上げして申し訳ありませんが、ユングの棚上げ所感でございます。奏者名はイニシャルにしてあります。










●第1部

・Y.Kちゃん 小森昭宏 いとまきのうた
       ヘンリ・クレイ・ワーク 大きな古時計
  A.Kさん家の次女さん。今日は3人娘が和装で弾いてくれました。
  ソロ2曲、どちらの曲も、しっかりとリズムを刻んで、ミスもなく、きっちり練習してきているなあという印象でした。いとまきのうたは、たしかお姉ちゃんもやったかな。お姉ちゃんに負けないくらい上手にできました。来年あたりは弾き語りに挑戦してきそうな気がします。楽しみです。



・S.Mちゃん ブルグミュラー すなおな心
  私の娘です。音楽をやる女の子はシャキッとしていて、逆に音楽をやる男の子は少しウェットですね。この子はまさにシャキーンです。なんとか本番は止まらずにまとめてきました。「すなおな心」というよりは「強気な心」だったような気がします。



・H.Sちゃん、K.Sさん 外国曲 こいぬのマーチ
           R・ロジャース ドレミの歌
  ママとの連弾でどちらも調が同じ長調の明るい曲。聴いていて自然に途切れず楽しい気持ちになりました。
  この子はママ譲りでしょうか、音感がけっこういいのかなという気がします。まだ幼稚園ですけれど、しっかりと音を取ります。ぜひずっと続けてほしいですね。そしてママのようなショパニストになるんだ!!



・A.Mさん エンニオ・モリコーネ 映画「ニュー・シネマ・パラダイス」から
         ニュー・シネマ・パラダイス
         成長
         愛のテーマ
         新井満 千の風になって
  自分です。映画音楽のほうはともかく、千の風は弾き語りで、私は弾き語りの経験などほとんど皆無、もう気持ちだけで歌っていました。結果はどうあれ、今日出せるものはすべて出し切ったと思います。



・K.Sさん ショパン ワルツ第1番 変ホ長調 華麗なる大円舞曲
  ショパンがなぜかしっくりくるK.Sさんです。今回もショパンの王道的な超有名曲。
  練習不足でやばいと仰られてましたが、きちんと全体の雰囲気、形がまとまっていました。さすがショパニストです。途中つまりかけても弾き手に迷いがなければ、聴くほうは流れを止めずに聴けるものです。大変に男前な演奏でした。アッパレです。



・Y.Mくん ギロック サラバンド
  私の息子です。本人は途中で止まったことが非常に悔やまれて不完全燃焼だと言っていました。まあそれはそれとして、彼らしい繊細さは出せたのかなと思います。この曲にはそんな雰囲気が合っていますね。



・A.Kさんご一家 Greeeen キセキ
  毎年ご家族オールメンバーでエンターテイメントを披露してくださるA.Kさんご一家です。
  今年はパパがピアノ、ママが歌、娘さんたちは小太鼓、ウッドブロックに、一番下のおちびちゃんもカスタネットで参加されました。
  私はこの「キセキ」という曲を知りませんでしたが、このご家族がシンプルに音楽が好きで好きでたまらなく、そしてそれを引き出す家族の和がなんともナチュラルで心地よく、自分もこんな風に音楽を愛せたらなあと思ってしまう、そんな素敵な演奏でした。








●第2部

・I.Kさん ショパン 前奏曲 第15番 「雨だれ」
  雨だれですが、当日のお天気は快晴でした。この時だけ雨降ってくれるともっともっと雰囲気が出たかもしれません。
  演奏そのものは、まさにI.Kさんの人柄がそのまま出たような、朴訥で自然体、まさに音楽と自分がそこで相対していて、他に余分な雑念がない、それゆえに、そこから紡ぎだされる音楽は嫌味がなく、純粋なものでした。ある意味これが理想の音楽ではないかと思います。心にじわりと残る演奏でした。



・A.Kさん、Y.Kちゃん、H.Kちゃん R・ロジャース ドレミの歌
  サウンド・オブ・ミュージックの名曲です。3姉妹プラスママさんで豪華な連弾です。
  ママが低音のリズムを刻み、まんなかのお姉ちゃんがメロディ旋律を、上のお姉ちゃんが高音部で装飾音を奏でます。こういう楽譜があるんでしょうか。あるいはご自分で編曲されたんでしょうか。これはいいなあ。大人が聴いても楽しめるドレミの歌でした。これは手拍子があっても良かったかな。



・K.Mちゃん、N.Mさん 久石譲 風の通り道
  私と仲の悪いうちの次男です。
  まあ、完全に練習不足でなめてた感丸出しでした。普段ママに甘えすぎてるツケが来たんですね。これにこりて、次からは真面目にピアノと向き合ってほしいものです。



・E.Uさん ショパン ワルツ 嬰ハ短調 Op.64-2
      ショパン ワルツ 変イ長調 Op.69-1「告別」
  「告別」を「告白」と勘違いしていたE.Uさん。
  聴けばだれもが知っている有名なワルツですが、言われてみれば、「告別」というタイトルがなければラブラブと言われても頷いてしまいそうな長調の曲。
  でもやっぱりどこか陰影がありますよね。告別とまでは言わなくても、なんとなく、夕暮れの下校時刻に流れそうな、「ばいばい、またね」というような感じでしょうか。そんな感じがようく出ていました。高校生くらいのカップルが夕暮れ時に分かれてそれぞれの自宅に帰るような、そんなワルツでした。



・M.Kちゃん フランス民謡 はしのうえで
  カメラ係のろいこさんの娘さん。今回がピアノンノはデビュー戦でした。
  まったく詰まらず、きっちりとリズムを刻み、最後まで危なげなく弾き切りました。アフターでも何度も何度も弾いていました。きっとこの子は舞台度胸があって、ピアノが大好きで、人前で弾くことが楽しいのでしょうね。これからが楽しみなお嬢さんです。
  


・A.Oくん J.S.バッハ ガヴォット
  今年最も進歩を感じたお子さんです。
  バイオリン、ピアノとは難しさが全然違うとは思いますが、一昨年、昨年と比べて飛躍的に音をしっかりと捉えているように感じました。
  たしか2年ほど前にも同じ曲をやっていましたが、その時は短い簡単バージョンでしたが、今回はたぶんフルバージョンなのかな?数分くらいの長さでした。ボウイングの妙とか私にはわかりませんが、ああ頑張ってるなあと嬉しくなった演奏でした。



・M.Mさん ブラームス Op.21-1 創作主題による変奏曲 ニ長調
  ブラームスが好きなM.Mさん、私もブラームスは好きですが、この曲は知りませんでした。ピアノクラブOBのM.Oさんから教えてもらったとのことで、やはりピアノクラブ重鎮は珍しい曲に造詣が深いなあと改めて感じました。
  さてM.Mさんの演奏ですが、この人らしさがやはりようく出ていて、音がどっしりとしてなんともいえない安定感、安心を感じる演奏でした。
  毎年思うのですが、選曲がストーリー性のあるものなんですよね。始まりからして、なにか始まったぞ、楽しそうなお話しかな、というような期待を感じる始まり、途中は短調と長調が入り混じっていろんな感情が交錯したような速いパッセージ。聴衆人それぞれだとは思いますが、聴いていてなにがしかの情景が浮かびます。ただの音のつながりではない、お話を聞いているような感じなので、どんどん引き込まれていきます。今年も素敵なお話を聞かせてもらいました。ありがとう。







●第3部

・C.Gさん 平井康三郎 幻想曲 「さくらさくら」
  C.Gさんが中学生の時に出会い、初めて自分からピアノを主体的に練習しようと取り組んだという、ピアノ道の転機になった曲だそうです。
  私はこの曲を初めて聴きましたが、曲そのものよりも、C.Gさんらしさが前面に出ていて、なんとも雄大な「さくらさくら」を表現していました。極大サイズの花びらが台風のように舞っている情景が浮かびました。いやあ、なんというか、若い気がしました。


  
・H.Kちゃん ブルグミュラー 優しく美しく
  クリスティーン・アンダーソン レット・イット・ゴー
  和装3人娘の長女さんです。
  毎年弾き語りをやったりと周りをあっと言わせる子ですが、今年はさらに運指がこなれていて、左手にメロディーがうつるところもうまく表現していて、かなりポテンシャルの高い子だなあとあらためて驚かされました。人前で表現することにためらいがなく、これから先もとどまることなく新しい驚きを見せてくれるんだろうなあと期待しています。



・N.Mさん ドビュッシー 夢
  私の奥さんです。本人は途中で止まったりと出来に絶望しておりましたが、やはりN.Mさんらしい、淡々とした調子とほのかな優しさはちゃんとあって、聴いていてどこかほっこりするような演奏でした。忙しい中いろいろ準備やらなんやらで大変でしたが、よく頑張ってくれたと思います。ブラボーです。



・K.Mくん ギロック 女王様のメヌエット
  私と仲の悪い次男です。1年間ちっとも練習しないので、去年と全然難易度が変わっていません。少しは真面目に取り組んでほしいんですが、しばらくこんな感じでたらたら行きそうな気がします。



・Y.Oさん サティ ヴェクサシオン より抜粋
  ドビュッシー カノープ
  相変わらず不思議世界の住人のY.Oさん。今年は去年に引き続き、サティの、去年よりもさらに変な曲を持ってきました。ヴェクサシオンとは「つまらないもの」という意味だそうです。楽譜の作曲者指示として「この節を840回繰り返すには忍耐が必要」とか書いてあり、ほとんど嫌がらせか遊びで作曲したのかって感じですが、今回私はやっとわかったのですが、Y.Oさんはピアノという楽器の表現の幅の限界に挑戦しようとしているようです。そう考えてみると、演奏中にピアノの蓋を開け閉めしたり、譜面台に笛を置いたり、ソステヌートペダルを踏んでみたり、不協和音覚悟でダンパーペダルを踏みっぱなしにしたりといった奇行も納得がいくわけです。彼らしい遊び心満載の不思議世界、たっぷりと堪能させていただきました。ちなみに、私は彼が何回繰り返すのか数えていましたが、数えつかれてやめてしまいました(笑)


  
・M.Gちゃん Robert B. Sherman & Richard M. Sherman チム・チム・チェリー
  昨年に引き続き2回目の出演です。はるばる岡山から来てくれました。
  この選曲はパパの押し付けだそうですが、この曲は小さな子供が弾いたほうが感じが出るかもしれません。なんともわびしげな、この曲の雰囲気がようく出ていたと思います。アフターでもリクエストが殺到していました。素敵な演奏でした。


  
・M & S +α 岡本定義・はじめちとせ ハミングバード
  M.Kちゃんとうちの娘のデュエットにS.Kさんがハモり、I.Kさんのギターと私のタンバリンで楽しく合奏しました。二人の声質が近くて、いい感じの歌で、ハモリがまた良かったです。タンバリンで拍子をとるのが楽しくて、そのうち聴衆の子供たちもハンドベルで合わせてくれたり、手拍子くれたり。これぞライブ。生きた音楽って最高ですね。


  
・M.Oさん ベートーヴェン ソナタ第26番 「告別」
  地元千住でピアノ教室をやってらっしゃるM.Oさん。お子さん男3人かかえて音楽活動もいろいろと精力的にこなされて、途方もないバイタリティにはいつも感服しています。今回はプログラム作成まで全部やってくださいました。
  そんな忙しい彼女が持ってきたのは告別全楽章・・・私は全楽章ライブで聴いたのは初めてでした。
  これだけ長くて難しい大曲を仕上げてくるだけでもとんでもない偉業ですが、きっちりと難なく弾き切るところ、さすがです。感じるところとしては、ちょっと大げさかもしれませんが、感覚的には、オーケストラを聴いているようなスケールの大きさに、聴いていて森林浴しているような心地よさを感じました。素晴らしいトリでした。ブラボーです。







●第4部

・Y.N & S.K 葉加瀬太郎 情熱大陸
  1週間前に収録したビデオでの出演でしたが、Y.Nさんの軽快なプリモに、S.Kさんの安定したセコンドがいい感じに掛け合っていて、スピードに乗って風を切るような心地よさとノリでした。Sound24の編曲は連弾なのにになんでってくらい難しいんですが、それをこのスピードで弾き切るというのは、やはり手練が二人そろうとこれだけの説得力を持つんだなあと、あらためて感嘆しました。この演奏を聴くと、私はついノッてしまってなにかを叩いたり足を踏み鳴らしたくなってしまいます。お二人の演奏のあとには、みんなでセッション。それぞれ好きな楽器を持って参加しました。子供たちみんなこの曲を昔から知っているかのように、止まるところでは止まり、走るところでは走る。聴衆をこれだけ動かすこのパワー、これはやはりお二人の演奏のオーラの力なんだろうなと思いました。



・AFTERNOON PIANONNO ORCHESTRA 黒須克彦 夢をかなえてドラえもん
  最後のしめはドラえもん。これも子供たちが鳴り物や歌で参加してくれました。
  ギター、リコーダー、ハンドベル、バイオリン、ジャンベ、タンバリン、カスタネット、ウッドブロック、ピアニカ、ハーモニカ、そしてかわいらしい声。即席オーケストラの出来上がり。バイオリンなどは、楽譜もないのにその場で合わせてくれて、子供たちの進歩をひしひしと感じるドラえもんでした。いやー、楽しかった。心から楽しかったです。







今年のアフタヌーン・ピアノンノは、個人的にはちょっと体調を崩している中での開催で少し厳しいかなと思うところもありましたが、ふたを開けてみれば、皆さまや子供たちがいっぱい手伝ってくれて、実は今までで一番負荷少なく、私はかなり楽させていただいたコンサートだったように思います。その分皆さまに負荷が大きくなったかもしれませんが(笑)

今はただ、無事に終えられたこと、素敵な演奏がたくさん聴けたこと、子供たちの成長に立ち会えたこと、この瞬間あの場所で生まれ出る音楽に関われたことに感謝しております。





来年、再来年、いつまで続けられるでしょうか。わかりませんが、私にとっては年に一度の至福のひとときです。みなさまの力をお借りしつつ、ずーっと続けていきたいと思っています。また来年、きっとあの場所で会えますように。


ありがとうございました!!




2016年8月1日月曜日

AFTERNOON PIANONNO 2016 ご参加御礼

こんにちは。アフタヌーン・ピアノンノ2016が終わり、完全に放心状態のユングです。



そんなわけで、2016年の第7回アフタヌーン・ピアノンノ、7月30日土曜日に開催されました。今年も抜けるような青空に恵まれました。







なんか、楽しい時間があっという間に過ぎてしまったという、喪失感にも似た感じでしたが、本当に充実した時間を過ごさせていただきました。



今年は子供たちがとても頼もしく手伝ってくれたのがわたくし個人的には助かったなあというのと成長を感じて嬉しかったです。








この日のために素敵な演奏を準備してくださった奏者の皆さま、聴きに来てくださったみなさま、私がお礼を言うのはもしかしたら変なのかもしれませんが、やっぱり感謝しています。年に一度のこの楽しみが皆さまと共有できることがなにより嬉しいです。
ありがとうございます。








プログラム作成を引き受けてくださったM.Oさん、見た目かわいらしく、曲順も良いバランスで素敵なプログラムでした。今回は本当に最初から印刷までまるごと引き受けてくれて本当に助かりました。大変な作業だったと思います。本当にありがとうございました。







音響周り、プロジェクターのお手配などは、地元の音楽友達I.KさんS.Kさんご夫妻がやってくださいました。今回アフタヌーン・ピアノンノ始まって以来初の、映像出演があり、どうなることかと思っていましたが、おかげさまでいい感じになったと思います。そして私は今回ゆったりと皆様の演奏を聴くことができました。本当にありがとうございました。









そして写真係を引き受けてくれたろいこさん。いつも果てしなく助かっています。今回も素晴らしい写真をたくさん撮ってくれました。ここに載せているのは画像サイズを小さくしたほんの数枚ですけれども、実際にはウン百枚、その場の空気感が伝わる珠玉のショットの数々でした。本当にありがとう。感謝しています。









今年も素敵な看板を作ってくださったM.Mさん。岩手から持ってくるの大変だったでしょうに!
そして、この看板の右上にあしらってある江戸風鈴、ようく見ると、ガラスのふちに鍵盤が描いてあるのです。M.Mさんのお子さんのK.Mさんが描いてくださいました。

なんて涼やかな!風鈴の音がピアノのように音楽を奏でそうな気がします。

本当にありがとう。こういうセンス、大好きです。











今回、司会の一部を子供たちに分担し、他己紹介ではなく自己紹介形式でプログラムを回しました。

司会を分担してくれた子供たち、ありがとうございました。長時間よく頑張ったね。頼もしい限りです。子供たち、成長していないようでちゃんとしてるんだなあと実感しました。それが一番うれしかったです。

次回もぜひこのやり方でできたらと思います。








そして遠いところから来てくださっている皆さま、岡山からC.GさんM.Gちゃん親子、岩手からM.Mさん、福島からM.Oさん、群馬からY.Uさん。新幹線やマイカーでかけさけてくださいました。

こんな遠い距離隔てているのに会えるということが私にはいつも奇跡にも思える楽しみです。会えて本当に嬉しかったです。ありがとうございました。









楽しい時間が過ぎるのは本当にあっという間でした。今年のアフターはほんとに短く感じました。もっともっと長く楽しんでいたかったです。







このログハウスという場所がそもそも奇跡なのかもしれません。こんな素敵な場所、そこいらには転がってないでしょう。周りは子供たちがのびのび遊べる公園になっていて、深い里山に囲まれてセミの鳴き声が絶えず、その中にまるで絵に描いたような煙突のついた木づくりのログハウス。そしてグランドピアノ。この場所に感謝です。













アフターのあとユング家にお泊りいただいたM.Oさん、C.Gさん、M.Mさんとの語らいも、私にとっては楽しみを超えたたからものと言ってもいいひとときでした。お付き合いいただきありがとうございました。








そんなわけで、今年のアフタヌーン・ピアノンノのプログラムを載せておきます。M.Oさんの力作です。








●第1部

・Y.Kちゃん 小森昭宏 いとまきのうた
  ヘンリ・クレイ・ワーク 大きな古時計

・S.Mちゃん ブルグミュラー すなおな心

・H.Sちゃん、K.Sさん 外国曲 こいぬのマーチ
  R・ロジャース ドレミの歌

・A.Mさん エンニオ・モリコーネ 映画「ニュー・シネマ・パラダイス」から
  ニュー・シネマ・パラダイス
  成長
  愛のテーマ
 新井満 千の風になって

・K.Sさん ショパン ワルツ第1番 変ホ長調 華麗なる大円舞曲

・Y.Mくん ギロック サラバンド

・A.Kさんご一家 Greeeen キセキ




●第2部

・I.Kさん ショパン 前奏曲 第15番 「雨だれ」

・A.Kさん、Y.Kちゃん、H.Kちゃん R・ロジャース ドレミの歌

・K.Mちゃん、N.Mさん 久石譲 風の通り道

・E.Uさん ショパン ワルツ 嬰ハ短調 Op.64-2
  ショパン ワルツ 変イ長調 Op.69-1「告別」

・M.Kちゃん フランス民謡 はしのうえで

・A.Oくん J.S.バッハ ガヴォット

・M.Mさん ブラームス Op.21-1 創作主題による変奏曲 ニ長調





●第3部

・C.Gさん 平井康三郎 幻想曲 「さくらさくら」
・H.Kちゃん ブルグミュラー 優しく美しく
  クリスティーン・アンダーソン レット・イット・ゴー
・N.Mさん ドビュッシー 夢
・K.Mくん ギロック 女王様のメヌエット
・Y.Oさん サティ ヴェクサシオン より抜粋
  ドビュッシー カノープ
・M.Gちゃん Robert B. Sherman & Richard M. Sherman チム・チム・チェリー
・M & S +α 岡本定義・はじめちとせ ハミングバード
・M.Oさん ベートーヴェン ソナタ第26番 「告別」


●第4部

・Y.N & S.K 葉加瀬太郎 情熱大陸

・AFTERNOON PIANONNO ORCHESTRA 黒須克彦 夢をかなえてドラえもん







この先、どこまで続くのでしょうか。わかりませんが、こんな楽しいひと時が永遠であったらならと願わずにはいられません。



来てくださった皆様への感謝をこめて。ありがとうございました。











2016年7月2日土曜日

水本桂さん~こどものための音・楽・会!

こんにちは。ユングです。連投です。

さてさて、ピアノクラブのOGで、ベルギーでプロのピアニストとしてご活躍されている水本桂さん。

今年の夏、和歌山で「こどものための音・楽・会」として、小さな子供たちのために演奏会を開催されます!

「こどものための音・楽・会~家族みんなで音楽と一緒に世界旅行に行こう!」
 7/10(日) 開演15:00 和歌山県田辺市 紀南文化会館小ホール



一昨年が最初だったこの演奏会。今年は二回目になります。
今年はオランダの若手女性チェリスト、リディ・ブレイドルプさんと一緒に、世界のあちこちの音楽をお話ししながら演奏して旅行気分で楽しむ、というような趣向のようです。


曲目も子供たちがよく知っている曲がたくさん。

バッハ チェロ独奏組曲より
グリーク チェロとピアノのためのソナタ
ショパン 子犬のワルツ
フォーレ パピヨン
「アナと雪の女王」主題歌 ほか

幼児でも入れる演奏会です。演奏会は小さなお子様連れでは入りにくいというか入れないのが普通ですが、これは大丈夫です。

行けそうな方はぜひ足を運んでみてください!!


ベガコンサートVol.2 水本桂さんのコンサートがあります!

こんにちは。ユングです。毎日暑いですねえ。みなさまお元気でしょうか。

さてさて、ピアノクラブのOGで、ベルギーでプロのピアニストとしてご活躍されている水本桂さんが、今年の夏、和歌山で演奏会を催されます!!

「ベガコンサート~真夏の再会~Vol.2 チェロとピアノ」
 7/9(土) 開演19:00 和歌山県田辺市 紀南文化会館小ホール



一昨年がVol.1でした。今年は二回目になります。
今年はオランダの若手女性チェリスト、リディ・ブレイドルプさんと一緒に、
チェロとピアノのコラボだそうです。

曲目も面白そうです。

バッハ 無伴奏チェロ組曲第6番より
グリーク チェロとピアノのためのソナタ
ショパン バラード第4番
フォーレ 夢のあとに、パピヨン
ドビュッシー=ブレイドルプ 無伴奏チェロ作品「シランクス」
ラヴェル カディッシュ・追悼の祈り
ラヴェル=ブレイドルプ スペイン狂詩曲より「マラグエナ」
ドビュッシー チェロとピアノのためのソナタ

ブレイドルプさんが編曲されているものもあるようですね。

行けそうな方はぜひ足を運んでみてください!!


2015年8月1日土曜日

AFTERNOON PIANONNO 2015 ~ユングの自分を棚上げ所感!!

そんなわけで、福島のOさんが書かれたものとはまた別に、私の所感を出します。



今回は私のコンディショニングがいろいろと悪く事前準備がだいぶ遅れてしまい、あれこれと連絡が遅れたりしてご迷惑をおかけしましたが、皆様のフォローのおかげでなんとか無事に終えることができました。ありがとうございました。

私は基本弾きたい人ですが、聴いて感動したい人でもありまして、皆様の演奏を本当は司会などせず聴くのに集中していたいです。そんなわけで、自分の演奏は棚に上げますけれども、録音を聴きつつ生演奏の場の雰囲気を思い出して、感じたことをそのまま書かせていただきます。もし失礼な表現がありましたら、決して悪意はないのでお許しください。











◆◆◆◆◆◆ 第一部 ◆◆◆◆◆◆


●H.Kちゃん 忍たま乱太郎 勇気100% 2015夏 弾き語り
 今年も驚異の弾き語りでした。彼女は本当に小気味良い切れ味を持っていますよね。鍵盤を叩く時の迷いのなさ、歌う声の歯切れ良さ。ママが最初譜めくりしていましたが、赤ちゃんぐずりだしたのでスムーズにパパとバトンタッチ。見事な家族連携プレーです。最後は他の子供たちも一緒になって歌っていました。ちなみに私も歌っていました。この歌、いい歌だよね。K家の選曲大好きです。家族の絆を感じるトップバッターでした。




●N.Mさん My favorite things
 名曲で多くの種類の編曲があると思いますが、これはジャズアレンジ。私の大好きな編曲バージョンです。
 自由度が高く、弾きようによっては楽しくもつまらなくも弾けてしまいます。今回は昔に比べてずいぶん成長したなあ、上達したなあと感じました。ところどころにある落とし穴のような休符の間、リズムの揺らし、弱音のさやけさ。最後は音が朝露のようにキラッと輝いていました。仕事と家庭と演奏会の準備でほとんど練習時間取れなかったはずですが、よくここまで仕上がったなあと驚きました。




●Y.Kちゃん アメリカ民謡 ゆかいなまきば、フランス民謡 アマリリス
 藍色の服に赤いリボン。魔女の宅急便がお好きなのでしょうか。可愛らしかったですね。
 演奏はというと、お姉ちゃん譲りの、自由なリズムと歯切れ良く思い切りのよいタッチ。やっぱり家族の演奏って似るんですね。
 まだ個性云々というには早いですが、なんとなくそのうち弾き語りでもやりそうな気がしてきました。




●Y.Oくん サティ 冷たい小品集より ゆがんだ踊りⅠⅡ、バッハ平均律1巻10番フーガ
 初めて聴きましたが、サティのこの曲はなんとも不健全で怪しい曲でしょうか。始まった瞬間にヤバさが首筋からひたひたと上がって来ました。彼は昔からこういう不思議曲に造詣が深い人でした。年齢とともにその傾向はより強まっているように思います。なんとなく、少年時代にまだクーラーが世になかったころの暑い夏の日本家屋の畳の上でセミの鳴き声を聞きながら暑さにじっと耐えじとーっと額に汗しながら子供独特の変な白昼夢をみながら時間が過ぎてゆくような、なんともいえない微妙な懐かしいような感覚におそわれました。それを聴いた後だからでしょうか。バッハまでなんとなく不健全な気がしてくるのが不思議です。




●A.Oくん トマ ミニヨンよりガボット
 バイオリンは最初の音合わせからして雰囲気があっていいですねえ。ストリングス、憧れです。
 後ろでは弟くんが手拍子で援護射撃でした。演奏ですが、曲がとっても子供らしい可愛らしい曲ですよね。
 春の日差しの下の草原で子供たちが大人も混じりつつ遊んでいるような。最後のピッチカートは、なんか小鹿がぴょんぴょんと跳ねているようでした。とっても楽しいほっこりした演奏でした。




●I.Kさん ベートーベン月光第1楽章
 技術的には、旋律がよく浮き立っていましたし、なによりペダルが上達されたなあと驚きました。
 ただ、病気をされていたと聞いたからでしょうか。この演奏を聞いていて、夜暗闇に薄い月明かりの差し込む書斎で人生に苦悩している背中が見えました。ずばぬけて暗さが際立っていたと思います。そうしたところの表現まで行き届いた素晴らしい演奏でした。なお、御病気はその後回復されたと伺いましたので、とりあえず良かったです。おめでとうございます。今度ぜひ快気祝いしましょう。








◆◆◆◆◆◆ 第二部 ◆◆◆◆◆◆



●ユング グリーグのゆりかごの歌、ホルベアから序曲
 自分のことはあまり書けませんが、この日出せるベストは尽くしたかなと思います。




●K.Mちゃん バルトーク ルーマニア民俗舞曲
 いやあ、ビックリです。1年間でこんなに上達するものでしょうか。驚きました。タッチの確かさ、スタッカートの歯切れ良さ、ペダルのなめらかさ。見事です。
 まず一番に、ママ譲りの迷いのないタッチを身につけていました。やはり家で一緒に練習していると、似てくるものなんでしょうか。
 この曲そのものは私はよく知りませんが、第1曲めはなんとなく透明感のある水のような、ちょっと怪しげな泉の水面に落ちたしずくが立てたまあるい波紋がすわーっと広がっていくような感じがしました。
 次の舞曲っぽいのは、なんともリズムが難しくて、ちょっと踊りがもつれて酔っ払い気味な気もしましたが、よくぞ1年でこんな難しい曲を仕上げたものだと、驚きました。ブラボーです。




●K.Mくん ギロック 雪すべり
 家で私が教えていますが、メトロノーム使えと言っても使わないし、とにかくちっとも言うこと聞かないというよりレッスンのたびにケンカになるので教えるのをやめました。お辞儀すんのおせーよって感じでしたが、まあ、これにこりて少しは言うことを聞いてくれればと思います。




●C.Gくん スコット・ジョップリン パイナップル/メープルリーフ・ラグ
 ギリギリのところ岡山から都合を調整してかけつけて、さらに素敵な曲を弾いてくれました。
 学生時代の頃からこういう洒落たラグを得意としていた彼で、相変わらずで嬉しかったです。
 とにかく聴いていて楽しく、なんだろう、アメリカ的?少し懐かしい60年代のような、ちょっとウイスキーの匂いのする演奏でした。もしかしたら本当に飲酒演奏だったのかもしれません(笑)




●M.Kちゃん バッハ メヌエット
 まいちゃんも1年でずいぶん上達したように思います。子供の発表会でよく聴く曲ですが、集中力を切らさずにほぼノーミスで弾ききりました。とっても素直な演奏でした。見事です。うちの娘ととても仲良くしてくれています。いいライバルとしてこれからも一緒に伸びていってほしいです。




●S.Kさん 天平 一期一会
 また素敵な曲を選んでくださいました。これはとっても私好みでした。そのうち自分が弾きたいくらい。きーこさんは選曲がいいですねえ。楽譜探しの天才でしょうか。
 なにか素敵なことがあったような、歓びをひしひしと感じるような、そして身近なものにありがたさを感じてそっと胸の中にしまうような、そんな小さな幸せを感じる演奏でした。
 私は見てないので知りませんでしたが、NHKの朝ドラのテーマだそうです。朝ドラのテーマもなかなかいいのがそろってますね。




●Y.Nさん ベートーベン 月光第3楽章
 Y.Nさんも毎回毎回着実にステップアップしていく人です。地道な基礎練習をしっかり積み重ねておられるのではと推測します。ペダルにあまり頼らず、強弱もしっかりついて瞬間的なアタックの強さもばっちし。スピードに乗って迫力のある最高の演奏でした。ブラボーです。どういう練習メニューをこなしているのかぜひ後学のために聞いてみたい気がします。






◆◆◆◆◆◆ 第三部 ◆◆◆◆◆◆



●K家のみなさま superfly 愛をこめて花束を
毎回スペシャルステージを見せてくださるK家の皆様。今年はファミリーで弾き語りとドラムという組み合わせ。ママは弾き語り初挑戦とは思えない自信に満ちたしっかりした声とノーミスのピアノ。今回ママはソロがありませんでしたが、着実に引き出しを増やしておられるようです。またドラムのパパさんはこのために本物の生ドラムをご用意された熱の入れようです。リハーサルの時には生ドラムがあまりにも音量が大きすぎてピアノが消えてしまいましたが、本番では見事に修正されてちょうどいいバランスになりました。グランドピアノ+弾き語り+ドラムス+子供コーラスなんて、これ以上に豪華な舞台はありません。素晴らしいエンターテイメントをありがとうございました。




●S.Kさん&Y.Nさん ルパン三世'79
ジャンプスーツを着たS.K.不二子さんと白ドレス+青カラコンつけたY.N.クラリスさんのコスプレをオーダーしていたのですが、残念ながら間に合いませんでした。が、演奏はその完成度が尋常ではなかったです。この曲は私も以前に妻と弾いたのでわかるのですが、高音パートのジャズっぽいリズムの崩しや大野雄二独特の和音など、なかなか普通のクラシックにないものが求められるのですが、高音パートは切れ味鋭く、また低音パートの激しさCres-Decresのうねりも見事。スピードに乗ってまさにルパンワールドを目の前で生で体感させてもらえました。永久保存版のブラボーでした!!




●M.Iちゃん バッハ平均律1巻17番、ショパンのエチュード25-12
平均律、音の花火のような幾何学模様が現れては消え消えては現れ色を変え形を変えてゆきました。私はあまりバッハが好きではないのですが、このバッハはとても快く人に優しくなじみ深かったです。
そしてショパンのエチュードは私も好きで譜読みしたことがありましたので難しさはなんとなくわかりますが、この曲をこれだけの自信と完成度で弾ける中2がどれくらいいるのでしょうか。驚きました。「大洋」というタイトルは、なんとなくそう言われればそんな感じがしなくもないですが、ようは、なにかとんでもないどす黒い荒波か渦のようなおどろおどろしい禍々しいものの真っただ中に意を決して飛び込んでいくようなイメージでしょうか。中2の女の子がそれを表現してしまえることに驚くと同時に、ここまでの果てしない努力の日々を思い、ただただ敬意を表したい気持ちです。完全に圧倒されました。




●S.Mちゃん ブルグミュラー パストラル
私の娘なのであまり客観的な聴き方ができませんでしたが、まあ良かったのではないかと思います。もう少し早めに取り掛かってくれれば嬉しいのですが。もっともっとなにか曲から感じるようになってくれればと思います。




●M.Oさん バッハ平均律1巻4番、バルトーク オスティナート
バッハの平均律プレリュード、こんな哀愁に満ちた曲が合ったんですね。なんとなく秋の夕暮れを思わせるような情景、女性的な優しい音色でした。
バルトーク、とんでもないエンジンかかってました。指が見えません。速い!そして、怪しい!別世界の音楽でした。頭の中を目が三角のネズミが猛スピードで走りまわっていました。弾くこともすごいですが、譜読みとかどんだけ難しいんでしょうね。リズムといい不協和音といい、ただただ圧倒されました。終わり方も面白かったです。




●M.Gちゃん チルヒ 小川の水車、みつばちマーチ
前日パパにお辞儀の指南を受けていました。本番でもおしとやかにお辞儀ができました。ピアノもパパに習っているそうですが、パパはとても優しくて怒ったりしないそうです。そういうところも素直な音の所以だと思いますが、とにかくとつとつと優しい音色、自然な落ち着いたリズムで流れていました。なんというか、とてもスタンダードな落ち着いた音が出ていたという印象です。これから先どんなふうに上達していくのかが楽しみな子です。




●Y.Mくん ナウシカより風の伝説
中学で剣道に没入しピアノはかろうじてギリギリやっていますがもう難しいかもしれません。まあなんにでも最後と言うのはありますが、それでもいつか大人になってから再開するとか、どこかで音楽をそばに置いてほしいと願っています。




●R.Hくん ジョン・ウィリアムス スターウォーズのテーマ
まさか飛び入りが入るとは予想していませんでしたが、柔道仲間の子供がスターウォーズを弾いてくれました。さすがに飛び入りするだけあって、なかなかにカッコよく弾いてくれました。大人でも弾きたくなるちゃんとした編曲です。スターウォーズ世代にはたまらないサプライズでした。ありがとう!!




●N.Iちゃん
とーってもおしゃまな曲って印象の曲でした。指の確かさなど申し分なく、途中止まりはしましたが最後まできっちりと弾ききりました。きっちりとというところがすごいです。これからが楽しみです。




●N.Tさん&S.Kさん アンジェラアキの手紙with子供たち
侍然とした息子に向けて母が歌いました。またS.Kさんのバックコーラスとのハモリが素敵でした。途中子供たちの手拍子も良かったです。子供はこの曲を聞いて手拍子して、この曲が好きになって次にやろうとしているそうです。素晴らしいですね。息子さんの心に手紙の本文が届くのは恐らくもう10年くらいしてからでしょうか。でも会場の子供たちには少なくともこの歌を通してなにかが伝播したようです。こういうのは素敵ですね。




●M.Mさん フォーレのバラード
始まりはまるで舟歌のように、のどかな春の川べりをゆったりと舟を漕いで進んでいくような穏やかさ、途中から激しく怖くなり、でも気がつけば可愛らしく流れたり、終盤へは徐々に盛り上がってどんどん盛り上がって、高く高く登っていったり。最後はほっと落ち着いて。これってよく分かりませんが、なにかのストーリーなんだろうなと思います。最近こういうストーリーを彼女はよく弾かれている印象ですが、これだけのストーリーを聴き手に感じさせるスケールの大きな演奏というのは、漠然とですが、半ばプロの演奏に近いなあという気がしました。ブラボーです。








◆◆◆◆◆◆ 第四部 ◆◆◆◆◆◆



●M.Iさん&M.Iさん母娘 ルトスワフスキ 想い出のメロディー
コンクールの課題曲だそうですが、本当に仲の良い母娘連弾。リズミカルで楽しい不思議世界のオモチャのような曲でした。演奏は素敵でしたが、それよりも演奏中にママがなんども口に手を当てて笑いをこらえているのが気になりました。どうもトチって笑っているようでしたが、それが見ていてとっても微笑ましかったです。フルのお仕事と家事と母親業と娘さんのピアノみるのをフル回転でこなしておられる合間によくぞご自分の練習をされているなあと感服しました。聴いて楽しく、本当に素敵な連弾でした。




●Y.Oくん バッハパルティータ5番パスピエとジーグ、スクリアビンエチュードOp.42-5、ゴドフスキー シュトラウスの主題による交響的変容より3曲「酒・女・歌」
初出演、彼の演奏を聞いたのは本当に久しぶりでした。人によって不思議に音色が違っていて、Y.O君の音色はやはりY.O君でした。硬質で力強い。途中で弦が切れやしないかと心配になるようなダイナミックさ、アタックの強さ、というよりは、ピアノの箱そのもの、いや部屋全体がぐわんぐわんとうなっているような感じがしました。
ゴドフスキー、不思議な入り口から弾き寄せられる異世界、美しい異世界でした。どういういわくの曲かは知りませんが、なにかひとつのとても素晴らしいなにかに向けて、まわりのいろんな人々が惜しみない賛辞を送り、それが形を変え色を変えて繰り返されていきました。恋愛映画の素敵なワンシーンを観ているような、幸せなひとときにひたれました。




●アーロンくん ゴセックのガボット
ピアノンノの1回目の時にはまだ赤ちゃんだったアーロンくんが、弓もってバイオリン弾いてくれました。伴奏のママがだいぶ緊張していたとのことですが、5歳ってこんなに弾けるもんなんでしょうか。やはりご両親の血と環境のなせる技なのではと思います。なんとなく弾きっぷりも体の表現も音楽を感じつつノッているような感じ。可愛らしいながらもやはり天才の片りんを観ている気がしました。




●水本桂さん バッハ平均律1巻8番プレリュード、ヤナーチェク ソナタ、ラフマニノフ チェロソナタ3楽章
プロの演奏とアマチュアの演奏とで分かりやすい一番の違いは、旋律の浮き立たせ方に迷いが微塵もないことだと自分は思っています。バッハは厳格なバッハでした。なんか神様に叱られているような気になりました。

ヤナーチェク、曲のいわくを聞いてから聴いたせいだけではないと思いますが、あまりにも暗くて重くて、聴いていて心がつぶれそうでした。終わった後に拍手してよいものかどうか迷うくらいに辛かったです。

そしてラフマニノフ。これを聴けたのが今回の演奏会で一番の幸せでした。こんな素敵な曲が演奏が世の中にまだあったのかと思いました。美しい旋律のうねりに身を任せていましたら、気が付いたら心が幽体離脱して金色の光の中を泳いでいました。こんな幸せな時が永遠であったなら・・・と心から思えた演奏に出会ったのは生まれて初めてでした。この場に居られたことを心から感謝したいと思いました。涙が出ました。あまりに持って行かれ過ぎてお花渡すのを忘れてしまいました。ごめんなさい。でもそれくらい感動しました。桂さん、ありがとう。本当に、ありがとう。








終わって所感を書いてみれば、これだけたくさんの感動をいただいたんだなあと、あらためて反芻して、ここに居られたことに心から感謝する次第です。いろんな人がいていろんな人生があって、その人の数だけの音楽がありました。この場でそれが融合して互いに影響しあいつつ歳を重ねていることが今回少し感じられたような気がしました。たくさんの元気をいただきました。ありがとうございました。

また毎年とても遠くから来てくださる人達、横浜、福島、岩手、和歌山、岡山、北海道!どんだけ遠いのって感じですが、飛んだり走ったりしながら集まってくださる音楽仲間さんたち、本当に感謝しかありません。本当にありがとうございました。




そして、この演奏会を影から支えてくださった皆様。

写真係のヒデヒロくんと奥様、写真係は気が休まる瞬間がほとんどなく大変だったと思います。本当にお疲れ様。いつもありがとう。

今回は退院明けにも関わらず音響とマイク等お手伝いくださった一郎さん、ありがとうございました。助かりました。

会場と駅の送迎や朝いちの設営などお手伝いくださったBobさん、いつもものすごく助かっています。ありがとうございました。

毎年素敵な調律をくださる平田さん。今年もお世話になりました。ありがとうございました。

素敵な看板で会場にワンポイント添えてくださったM.Mさん、K.Mちゃん親子さん。夜なべまでして作ってくれて、本当にありがとうございました。

演奏の椅子やペダルなどをいろいろ手伝ってくれたC.Gくん、M.Mさん、いつもありがとうございました。超テキトーな資料をもとに適宜柔軟に対応していただいたかと思います。ありがとうです。

そして、子供が廊下を走らないように、あるいは備品を壊さないように注意してくださっていたパパママさん、本当にありがとうございます。自分の子供でなくても注意してくださる親ごさんは本当に素敵です。






さて。そんなわけで、今年も素敵な夏の愉しいひとときを過ごすごとができました。疲れて腹のたるんだダメ司会を温かく見守っていただきありがとうございました。お疲れ様でした。






福島のOさんが長文の所感を寄せてくださいました!!!~第二弾~成年編

引き続き、大人の演奏について福島のOさんが長文の所感を寄せてくださいました!!
この文章、私は読んでいてすごく学生時代の懐かしい匂いがしました。氏名をイニシャルに替えて転載させていただきます。


------ここから------------------------



さて、成年ピアノの部門です。
なんだか、曲の解説みたいなものもかなり含まれていて、演奏そのものの印象からは離れているような気もしますが、
とにかく感じた事、思っている事、考えている事を好き勝手に書いています。サイトに載せる場合、何か失礼な部分があったら、適宜訂正して構いません。
何かの参考になれば幸いです。

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N.Mさん
サウンドオブミュージックのナンバーの中で文字通り、私の一番好きな「私のすきなもの」を弾いてくれました。ありがとうございます。すでに50年前の映画なので、この音楽を聞いて、映画の場面が思い浮かぶ人も徐々に少なくなっていると思います。この映画は、音楽そのものが独り歩きした典型で、特にこの曲は、ドレミの歌に並んで、かなり様々に編曲されているナンバーの一つでしょう。今回は、ジャズバーション(というか、編曲の大部分はジャズ風)ということで、「いき」に決めてくれました。曲自体が非常によくできているので、自分の心の中に何かしら感じる所があれば、このように自分の音楽に昇華できるのです。逆に、感じる所がなく譜面通りに弾くと、ただの退屈なワルツのようになってしまう曲でもあります。余談ながら、改めて是非「サウンドオフミュージック」を鑑賞される事をお勧めします。音楽の視点で見ると、音楽素人だったはずの子供たちが、マリアにいきなりふられて、ぶっつけ本番であっさりとドレミの歌をポリフォニック(違うメロディを同時展開)に歌いあげるという、かなりぶっ飛んだ内容の映画です。まあ、それはミュージカルのお約束と言えばそれまでですが、「私のすきなもの」がどんな場面で使われているかを見るだけでも、いろいろ考えるものがあると思います。




S.Kさん
天平さんの作品を生で聴くのは初めてで、たぶん一期一会という曲を聴くのも初めてでした。天平さんの事は極めて部分的にしか知らないので、勝手に「超絶技巧の西村由紀江」などと自分の中で勝手に思っていたのですが、この曲を聴いてもうちょっと幅広い視野と矜持で音楽を捉えている人なのかなと思いました。S.Kさんの演奏は、なんといっても左手の歌わせ方が本当にいいですね。メインの旋律と対話するように曲全体をまとめていて、感傷に溺れない、しっかり自分の足で立って、何かを見守っているような演奏でした。




♠I.Kさん
物凄く有名な曲ですけど、聴くたびに発見があって、決して聴き飽きる事のない、まさに名曲です。やはり不滅の名曲を弾くと言うのは大切だと思うのです。今回、いろいろ雑談していたら、大昔、みんなが読む雑談帳のようなノートに私が「ピアノのテクニックは金銭のようなものだ」と書いていたらしいんです。書いた本人はよく覚えてないながら、なるほどなあと思いました。手持ちのお金があまりに少なければ(例えば財布に5円しかないとか)、いくらなんでも、その金銭で出来る事はほとんどないでしょう。しかし、これが500円であったらどうでしょう。様々な使い道が考えられます。その使い道によって、その500円は生きもするし、死にもする。作品27-2の1楽章を弾くというのは、I.Kさんにとって、まさに現時点で持っているテクニカルなものを有効活用して、音楽的な豊かさを最大限得られる選択だと思うのです。500円かどうかは置いといて、とてもいい使い道をされていると思います。テクニカルな面に重きを置くような若い人の中には、「月光の1楽章なんて三連符が続くだけの単純な曲じゃん」と軽く見ている場合があります。そういった人は、例えて言うならお金の真の価値がわからない、「値段が高いものほどいい」と言った成金趣味のようなもので、真に豊かな音楽体験からは遠いように思います。ということで、II.Kさんの演奏は、自分の音楽を作ってゆくという強い意思が感じられる、本当に真摯なものだったと思います。




Y.Nさん
私の勝手なイメージではY.Nさんは、3楽章というよりも1楽章の透明な響きが似合うのかなと言う感じだったのですが、今回の3楽章を聴いて驚きました。改めて先入観っていうのはいけないものですね。繊細さはそのままにきちんとダイナミックもあるし、誠に堂々たる熱演。テンポもほとんど無意味に揺れることなく速すぎず遅すぎず、ソナタ形式を意識した再現部の微かな工夫もしびれます。この曲の魅力というものを再認識できた演奏でした。続けての演奏ではなかったですが、久々に1楽章と3楽章を同じ演奏会で聴いて、「幻想曲風ソナタ」と名付けられたこの曲の革新性を思います。そして、奇しくもバッハを演奏する人が多い中での、この曲(幻想曲風という中には、やはりバロック時代の「幻想曲」の伝統を受け継いでいるという自負がベートーベンにはあったんだろうと思います)の配置もなかなか偶然とはいえ、よかったですね。




♠Y.Oさん
サティというと「ジムノペディ」「グノシェンヌ」「君がほしい」以外の曲を実際の演奏会で聴く事は、特別な企画でもない限り、非常に少ないものです。なぜこの3曲がよく演奏されるかと言うと、たぶん独特の「雰囲気」をもちながら、歌謡性と様式においてぎりぎり普通の音楽らしさがあるからでしょう(そういった曲は他にもあるのですが、やはりインパクトに欠けるのでしょうか)。しかし、「ゆがんだ踊り」ともなると、多くの人はどう聴いたらわからないかもしれません。全く予想のつかない、とりとめのない和声進行と旋律。サティ自身も厳密な音楽理論で作っている訳でもなく、何か伝えたい事がある訳でもなく、ただ空気のように漂っていればいい音楽を量産しました。つまり、聴いてもらわなくてもいい音楽、必然性のない音楽なのです。こういった曲を演奏会で弾くと言う勇気にまずは感嘆せざるを得ないです。Y.Oさんの演奏は、サティの意図通り、物語を作らずに淡々とサティの音楽世界を醸していました。この曲、無意味な単語を覚えるのと同じく、暗譜はかなり難しいですよね。意味のない事を持続すると言うのも、なかなかの精神力を必要とします。しかしながら、続いて弾くのがサティと全く逆の「絶対に聴いてもらうために作り、厳格な様式の上のみに成り立つ音楽」であるバッハ。しかも、前奏曲なしでいきなり緊迫感のあるホ短調フーガとは、、。これはこれで、全く違う方向の精神力が必要です。なかなか苦戦していましたが、当然と言えば当然で、音楽を作るうえでの精神状態が全く違いますからね。しかし、聴いている方はサティからバッハへという普通ではあり得ない流れに興奮しました。




M.Oさん
今度はバッハからバルトークへ。しかも内省的な嬰ハ短調の三重フーガから先鋭的な前進性のリズムのパレードであるオスティナート。これもまた、気持ちの切り替えが難しいのではと思わせる組み合わせでした。作曲年代を調べて見れば、バッハの平均律第一巻が1720~1722年、バルトークのミクロコスモスが1926~1939年。200年の時を一気にジャンプしたと言う事になります。嬰ハ短調の前奏曲とフーガですが、M.Oさんは、重苦しくならないように留意しつつ一歩一歩確実に進みます。この曲は非常に精神性の高い楽曲であるために、ついつい仰々しく深刻ぶって弾いてしまいがちですが、そこはそれなりの距離を置いて弾いてくれたので、大変に見通しの良い音楽を作ってくれました。素晴らしいです。さて、ここから怒涛のバルトークに入るのはやはり相当に難しかったのではと想像します。このオスティナートは、事実上、決まった拍子のない音楽です。リズムというのは、楽譜を見てどうにかなるものでなく、やはり予め自分の体の中に内在していないとそれを音楽に生かす事は難しいでしょう。特に、続々とリズムが変容するこのオスティナートのような音楽の場合、「バルトークエンジン」のようなものを体内で予め暖気運転しておく事で、変幻する鋭いリズムに音楽としてシンクロできるような気がします。バルトークの作品は、極めて綿密な書法で作曲されています。しかし、同時に演奏者に内在するリズム感覚に基づく即興的、すなわち一触即発的な緊迫感が欲しいというのが、バルトーク好きの私の期待するとところなのです。そういう意味では、M.Oさんの演奏は少々慎重だったように感じましたが、やはりバッハの後ですから、なかなかノッて弾くのは困難だったと思います。まあ、私の個人的な贅沢な望みではあるのですが。客観的に見れば、演奏は充分に模範的なもので、やはりバッハの後にきちんと弾ききったのは凄い精神力と思います。




♠ユングさん
久々に昔のユング節を聴けたような気がします。「いいと思った曲は、どんな障害があっても力ずくでもなんでも、とにかく弾く!」という強靭な意志が充満した熱演でした。学生時代の演奏会では、毎回こんな雰囲気でした。少年漫画のようなスポ根物語ピアノ版を本気で演奏会で発露するというのがユングさんの学生時代のスタイルだったのです。それが年齢を重ねることで、楽曲への柔らかな眼差しというものを演奏から感じられるようになりました。今回も抒情組曲「ゆりかごの歌」では存分にその暖かさというものが放射されていたと思います。ここまでしみじみとした味わい深い音楽はそうそう聴く事はできないでしょう。さて、続いてホルベア組曲の前奏曲です。プログラムには序曲とありましたが、バロック様式の組曲なので、一般的には前奏曲がいいでしょう。ユングさんの演奏ですが、「ここまで壮大な前奏曲にするのか」というのが第一印象です。バロック組曲風に作曲されたホルベルク組曲となれば、前奏曲は個人的にはもっと「理知的で典雅な」イメージが元々あったのです。実際、オーケストラ版では弦楽器主体の室内楽的な編曲になっています(というか、正直、ピアノ版はあまり聴きなれていないという事もあります)。しかし、ユングさんの演奏では、明らかに金管楽器もパーカッションもばりばり入っている大編成のフルオーケストラバージョン。ともあれ、ユングさんの中では、そういうイメージの曲だったのだろうと思います。で、そのイメージする音楽を実現するために自ら持っている技能をすべて使い切るというその潔さが素晴らしいです。もう、そういう境地になれば、ユングさんから生まれいずる音楽の説得力は半端でなく、「この曲はこういう音楽である」と認めざるを得なくなるでしょう。




♠C.Gくん
これまた私の好みの音楽で嬉しい限りです。ラグタイムの拍の感覚というのは、分かる人は言わなくてもわかるし、分からない人にはどう説明してもわからない種類のものです。分からない人に理屈でいくら教えても、拍のずれたマーチにしかならない事が多い。ちょとした0.1秒くらいのズレというか間合いというか、なんというかそういうのが、ラグタイムの命だと思うのです。譜面通りに弾いてもなかなかラグタイムにはならない。知太郎君は言うまでもなく、元々こういう音楽の素が体の中にあるんでしょうね。最初の数小節でラグタイムの世界に聴き手を引き込みます。ジョプリンと言う人は、ラグタイムという様式を作った約100年前のアメリカ合衆国の黒人の作曲家です。彼が弾いていたピアノというのは、音色も限られていた音の薄いアップライトピアノがほとんどでした。当然、そのようなピアノの音を想定して曲を作っています。よって、彼の作品を大音量のでる多機能な現代のグランドピアノでガシガシ弾くというのは、本来の曲想からは徐々に外れてくる可能性があります。C.G君の演奏は、そういう点でも、非常に軽やかに、場末のさびれたアップライトピアノのような響きで弾いてくれました。これもまた、センスの問題なので、どこをどう弾けばいいと言葉では表現できない部分です。余談ながら、このジョプリンと後述するゴドフスキーはアメリカ合衆国で同じ時代に音楽活動をしていました。交流があったかどうかはともかく、同時代ならではの爛熟した音楽シーンの雰囲気には共通項があるよう
に思います。




M.Mさん
フォーレのバラード。これまた私の好きな曲の一つですが、この難曲にじっくりと取り組んでくれた事に感謝です。この曲は、その耳当たりの良さに反して、かなり手の込んだ作りになっています。よって、響きの美しさに寄りかかってセンチメンタルに弾きすぎると、曲としての見通しが曖昧になり、具が正体不明になってしまったシチューのような演奏になってしまいます。やはり、バラードですから、物語があり、物語があるということは、複数のモチーフがあり、そのモチーフがどのように展開してゆくのかを追ってゆく事がこの曲を楽しむコツです。結構、脇役も活躍しているので、聴くたびに発見のある曲です。M.Mさんの演奏は、それぞれのモチーフを多様な音色でキャラクター付けして、聴く人が迷子にならないように分かりやすく物語を展開しています。たぶん、初めてこの曲を聴いた人も何か情景のようなものが浮かんできたのではないでしょうか。その情景は、人それぞれでしょうが、音楽は何を想像してもいいので、そういう意味で聴き手に様々な想像を促す良い演奏だったと思います。惜しむらくは、音色にこだわるあまり、時々横の流れが途切れてしまった所くらいでしょうか。でも、それは曲をよく知っている人の感覚で、初めて聴く人にとっては、そっちの方がわかりやすかった側面もあるので、一概に悪いとも言えないように思います。




♠Y.Oくん
人間、そう簡単に変わらないものですね。久々に彼の超絶技巧を聴いたのですが、全く腕は衰えてなくて、初めて聴く人にとっては驚きの連続だったでしょうが、私の中では安定の「Y.Oくんパッション炸裂」で安心して聴いていられました。冒頭のバッハからして、曖昧な部分のいっさいない、すべてが前面に押しでくる演奏で、バロック時代の作曲家である事を忘れそうでした。

スクリャービンの練習曲も、隅から隅までここまで大音量で弾く人は、そうそういないです。言うまでもなく、これはメリハリのない大音量と言う意味でなく、ピアニッシモの音量が普通よりも大きいと言うことです。で、当然、相対的にフォルテッシモの音量は、もうそのピアノの限界の音量ということになります。彼の手にかかれば、このスクリャービンでさえも、すべての音が明晰に聴こえてくる。普通、この曲の場合、細かなパッセージは一つの音塊のように聴こえてしまうのですが、Y.Oくんの場合、一音一音独立して聴こえてきて、圧倒的な音圧で迫ってきます。これがこの曲の解釈として正解なのかはわかりませんが、聴く者を無条件で黙らせてしまう他に類を見ない強靭な演奏である事は間違いないでしょう。

そして仕上げは、ゴドフスキーのシュトラウスのワルツによる交響的変容。まず、普通のプロのピアニストは弾かない曲です(演奏会のプログラムにのせるピアニストは世界に10人といないでしょう)。なぜか?もう、いろいろな意味で超絶に演奏困難な曲で、まだまだゴドフスキーをゲテモノ扱いをしている聴衆も多い中で、あえて挑戦するのはリスクがあるからでしょう。原曲はヨハンシュトラウス二世のワルツ「酒、女、歌」。この原曲が作られた当時(1860年代)は、日本では明治維新、合衆国では南北戦争、そして欧州はオーストリア=ハンガリー帝国の時代。世界は動き始めて、新秩序が生まれつつあった落ち着かない時代でした。しかしゴドフスキーの生きた時代は、いずれは世界大戦と大恐慌へと向かう爛熟した20世紀初頭の退廃的な雰囲気が充満していました。すぐれたピアニストであったゴドフスキーは、半音階的和声進行と複雑に入り組んだ対位法そして過剰な装飾的パラフレーズを通してその時代の空気を最大限盛り込んだ、原曲からすればかなり肥大化した曲を作りました。基本、演奏会で弾くために作ったと思われます。こんな曲を作るゴドフスキーもゴドフスキーですが、それを弾くピアニストもピアニストです。しかし、百年後、極東の日本において、ゴドフスキーの編曲を嬉々として弾くアマチュアピアニストが多数出現するなどと、さすがに作曲者も予想しなかったことでしょう。百年の時を超えて、作曲者当人よりも技巧的にも音楽的にも完全な形で演奏できる一人として、Y.O君がいる訳です。ということで、曲を知らなくても、彼の演奏を聴けば、唖然とするしかないと思われますが、それも当然です。ある意味、こういった曲は、ロマン派ピアノ音楽が究極に飽和した状態で、もう何を聴いたらいいかわからない程に情報過密で、それを本当に弾ききってしまうのであれば、ただただ圧倒されるしかないのです。それはそれで、いいのではと思います。しかし、本当に容赦なく弾いてしまうからとんでもないですね。しかも、昔に比べると、余裕が出てきたというか、音楽が先走る感じがなくなって、壮大な巨匠的な演奏になっているのがもうたまらないです。Virtuosoと言うのは、まさに彼の事をさすのでしょう。




水本桂さん
バッハ、ヤナーチェク、ラフマニノフ。桂さん本人は、「弾きたい曲を並べただけ」と言ってはいましたが、本当に素晴らしい流れです。いつもそうですが、今年は特に完全にマイクロ・リサイタルの形になっていました。バッハに関しては重心の低い安定した演奏で、何も私から言う事はないのですが、多様な音色を弾き分けて、本当に各声部が色鉛筆で塗り分けられているように聴こえてくるのが凄いですね。しかも、その色鉛筆の太さが違う訳で、ピアノでバッハを表現するという一つの解答がここにあります。余談ながら、彼女は平均律の楽譜、バルトーク版を使っていたんですが「曲の順番が意味分からん」と言っていました。たしかに、調や曲のタイプで見ても、あの順番はよくわからないものでした。で、あとでバルトーク版に従って曲を並び替えて聴いていたら、なんだか難しいフーガが後になっている気がします。たぶん、あの順番は、演奏難易度じゃないですかね?違う?まあ、すべて楽勝で弾ける彼女には気付かない視点かもしれないですね。

続いてヤナーチェクです。演奏会はおろか、CDでも滅多に演奏される機会に恵まれないながらも、個人的には名曲中の名曲と思っています。本当に弾いていただきありがとうございます。これまでCD等で、鄙びた感じの「わびさび」な演奏を聴きなれていたのですが、彼女のあまりに激烈な演奏に度肝を抜かれました。そうか、こういう曲だったのか!と目から鱗です。つまりは、彼女の解説にあったように、この曲は「怒りの音楽」なのです。これまで、動乱で命を落とした朋友の追悼歌のような感じを持っていたのですが、調べて見れば、問題のデモの衝突(1905.10.1)が起きてすぐに作曲しているので、友が死ななければならない理由はあるのか?!という不条理に対する「怒りの音楽」、もっと言えば「抗議の音楽」なのですね。その事を十二分に実感できるような、濃縮した激情を放出するような演奏でした。執拗に繰り返されるオスティナート主題が、様々に変容して、怒りと哀しみに揺れるヤナーチェクの肉声を届けているようでした。初めて聴いた人も、こういうシリアスな音楽であると思っていいのではと思います。そして、ある意味、そういった怒りは、様々な形で現代にもあるはずで、そんな時に、この曲を思いだしてみるといいのかもしれません。

続いてラフマニノフ。チェロソナタ、ピアノソロバージョン。余計な装飾のないシンプルなこの編曲、素晴らしいです。もとからあるピアノ曲のよう。このような形でラフマニノフの中ではマイナーなチェロソナタを紹介してくださり、ありがとうございます。20世紀前半、ラフマニノフ以外でも、美しいメロディを作った作曲家は大勢いますが、なぜラフマニノフが圧倒的な知名度と人気を得ているのか。おそらくは、それはラフマニノフの音楽の基本姿勢が「憧憬」であるためだと個人的に思っています。すなわち彼の作品は「今ここにない何か」を求める音楽なのです。ラフマニノフ自身は、「憧憬」の対象は失われた故郷や家族だったでしょう。すなわち彼の望郷の念が世界中を魅了するメロディを作らせたのだろうと思います。別に望郷の念でなくとも、誰しも過去はもう戻ってこないし、未来もまだ来てない。人それぞれに「今ここにない何か」、すなわち失われたもの(若さ、青春、大事な人などなど)、まだ手に入らないものはあるはず。「今ここにない何か」を切望している人ならば、おそらくはこの桂さんの弾くラフマニノフの音楽が胸にしみいることでしょう。ラフマニノフの「憧憬」の想いが真剣であったが故に、単なるセンチメンタルな旋律に留まらない普遍性のある骨のある最後のロマンティックな音楽を彼は作れたんだろうと思います。原曲のチェロソナタを聴いた事がない人は、是非とも聴いてほしいです。やはりこの曲はチェロが入って、一つの憧憬の小宇宙を作っている気がするので。きっと、この曲の良さをさらに実感できると思います。




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書かれている内容に思い当たる人も多いのではないでしょうか(笑)驚くほど広範囲の音楽についての知識をお持ちで、それを背景にロジカルにまとめつつ、しかも時折直観的でウィットに富んでいておもしろい。所感というには恐れ多いような気がしますが、大人になって、演奏にこうしてコメントをいただけるというのは稀有なことです。大平さん、これだけの長文を書かれるのは大変だったことと思います。本当にありがとうございます。今年もこのようなご感想をいただけたこと、なにより感謝に堪えません。遠いところお越しくださり、ありがとうございました。