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「AFTERNOON PIANONNO(アフタヌーン・ピアノンノ)」は、平成4年の北大ピアノクラブ創設当初所属していた部員のうち、一部のOB/OG仲良しメンバーが集まって2010年からやり始めた、小さなサロンコンサートです。茨城で知り合った音楽を愛する仲間さんたちと一緒に年に1度集まり、なるたけお金をかけずに気軽に音楽を楽しもうという、ただそれだけを思って始めた、ささやかな集まりです。 ぼちぼち、ゆる~く、続けていこうと思っております。よろづ帳はこちら! ブログへのご意見・ご要望はこちらまで。

2023年7月31日月曜日

AFTERNOON PIANONNO 2023 M.Oさんの雑感!!!

 O.Mさんが、演奏会の翌日に、雑感をまとめて送ってくださいました!!!


いつもありがとうございます。本当にありがたいです。そして今回も面白いです。

ぜひ最後まで読んだら、コメントしてくださいね!!



ここから--------------------------------------------------------------------------


こんばんは。

昨日はアフタヌーンピアノノンノ2023、企画運営ともどもお疲れ様でした。

企画がなければ皆が集まる事もなく、ともあれ多少人数が減ったとしても開催できてよかったです。


こじんまりしていた印象ではありますが、それはそれで寂しさというより和気あいあいな感じが勝っていたように感じます。

そして、やはり久々に聴いた自分以外の人が弾く生ピアノそして生楽器の演奏、もうそれだけでかなり幸せな気分となりました。


私の住む近所にはストリートピアノはありませんし、この5年くらいは演奏会に行く事もありませんでしたから、本当に久々に自分以外の人が弾く生ピアノを聴きました(以前は高校に勤めていたので吹奏楽とか音楽室で何か弾いている生徒がいたものでしたが)。


アフターも皆さん、きままに弾いていてとても雰囲気が良かったと思います。


さて感興が残っているうちにと思って、感想というか雑感を一気にまとめました。少々マニアックな内容も含まれますが、勢いで書いているのでご容赦ください。


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●第1部

M.Mさん  折坂悠太 世界のつづき

 今回の演奏会ではアニメーション作品の音楽がかなり多かったですが、冒頭から「ONE PIECE FILM RED」からの音楽。豪華絢爛たるUTAの印象が強いので、こういったシンプルな楽譜もあるのかという驚きと同時に、M.Mさんの演奏はシンプルでも一音一音の歌詞の意味の重みがあって、映画もしくは原曲から何を感じたかが良く伝わってくる演奏でした。


K.Mさん  ディズニーソング 美女と野獣メドレー

 続くアニメーション&実写作品の音楽。まあ古典作品ですから、エンターテイメント総合音楽と言ってもいいかもしれません。そして、需要があるので様々なバージョンの編曲もあるようですが、今回のものはなかなかに本格的なメドレーで、性格変奏的な要素もアリ聴きごたえも十分。K.Mさんは、それぞれの楽想をうまく弾き分けて、一つの大きなドラマを見たような気分になりました。


Y.Kさん  野田洋次郎 スパークル

 アニメーション音楽が続きます。新海誠監督「君の名は。」の音楽。個人的にかなり感動した作品なので、こうしてピアノソロの演奏が聴けるだけも嬉しかったです。Y.Kさんは映画を観たのでしょうかね。もう7年前の作品なので、公開時にはまだちょっと難しい内容だったのではと思ってしまいました(年寄の雑感)。まあ、その後もTV放映されたり、配信されたり、音楽自体は様々な場面で流れたりと、この曲に出会う事には不思議はないですね。仮に作品を知らなくても良い曲ですし、相当に音楽に語らせてるアニメーション作品ですので、音楽だけでもどんな作品かわかるかと思います。

で、Y.Kさんの演奏ですが、改めて演奏を思い返すと、やはり「君のは。」観てますよね。観てないとやはりこういう大きなうねりを感じさせるような演奏にはならないと思います。楽譜には細かい指示はないですからね。


S.Kさん  ブルグミュラー アラベスク

ピアノ学習者には懐かしの曲ですが、大人の皆さん、この曲がなぜアラベスクなのか疑問に思った事はないですか?小学生ならば、「何か行進曲的な作品」と思っているような気がしますし、それで一向にかまわないと思うのですが、S.Kさんの演奏を聴いて、久々にこの「なぜこれがアラベスク?」という疑問が復活したのでした。アラベスクは直訳すると唐草模様。イスラム世界の幾何学模様の一種のことです。音楽でアラベスクと題する場合、やはり音型の対称性や反復性がある事が多いですが、この曲にはそういった気配があまり感じられません。

S.Kさんの演奏ではしっかりとした足取りの冒頭フレーズとテンポが落とした中間部が特徴的で、いつもなら聞き流してしまう所が良く聞こえて新鮮でした。そして、「もしかしてイスラム勢力がヨーロッパに侵攻してきた」という情景を「アラベスク」というイスラム様式の一語に表したのかなと妄想しました。つまり、行進曲でいいのかもしれません(と、同じような事を以前にも書いた気がする)。


S.Kさん 親子連弾  クラウス・バデルト/ハンス・ジマー 

He's A Pirate 奴こそは海賊

 「パイレーツオブカリビアン」、何年前の作品かと思ったら、もう20年前なのですねえ。そして、ディズニーランドのアトラクションにもなって、映画のシリーズが終了しても音楽が残るという事で、今回のように弾き継がれてゆく事を実感しました。親子連弾、荒々しい轟音伴奏が前面に出ていて、S.Kさんの勢いもより出ていたと思います。連弾はこういう音の補強要素があるから良いですね。久々にオリジナルの楽曲を聴いたら、「あれ、こんなに上品な感じのオケ合奏だっけ」と思ってしまいました。音楽が作品から独り歩きして発展してゆく現場をみた気がします。


H.Sさん  Mack David / Al Hoffman シンデレラ・メドレー

 続いてディズニーシリーズですね。浴衣姿のシンデレラ。同じような事をまた書きますが、やはりこの古典曲が姿を変えてこうして新しい世代に弾かれるのは良いですね。 なんせオリジナル曲は73年前の1950年ですから。こちらのメドレーはどちらかというと可愛い系のもので、H.Sさんの演奏も愛らしいの一言です。


H.Sさん 親子連弾  Alan Menken フレンド・ライク・ミー

 もうひとつディズニーで、実写版の方の「アラジン」。実写版「アラジン」はアニメ版と違い、イスラム的な音楽でなく、1920年代ジャズ風の音楽。それが独特な世界観の実写版「アラジン」の背骨になっているような気がします。まあ、ジャズ風というかジャズですね。

H.Sさんもまた連弾となったら、シンデレラから変幻自在に暴れまわる妖精のような演奏になりました。K.Sさんの伴奏もH.Sさんの揺らぎに臨機応変に対応してセッションのようになり、ジャズらしさが前面に出ていてよかったです。


K.Sさん  ドビュッシー アラベスク第1番

 こちらのアラベスクは本来の意味でのアラベスク(唐草模様)で、独自の和声による分散和音が美しい小品です。「まだ練習不足」と言っていましたが、音の明晰さが際立っていて、ゆっくりしたテンポでこの曲の音型パターンがよく聴き取れて、ある意味「アラベスク」らしい演奏でよかったです。一方で無味乾燥に進みがちな中間部の音色が豊かでこれもまた趣が深い。このアラベスク、多くの人の演奏は「水のきらめき」のような表現でサラサラと進むことが多く、それはそれでいいのですが、K.Sさんの場合、モスクのタイルの唐草模様を職人が手作りしている光景が浮かぶようなそんな演奏でした。


M.Oくん  クレメンティ ソナチネ Op.36-2 第2楽章

 記憶力が衰えて確証はないのですが、M.Oくんの弾いたのはOp36-2ではなくて、Op36-6のような気がするのですが、どうでしょうか。そうでなかったらすいません。

まあ作品名は二義的な話で、M.O君の演奏、骨太な感じで、やはりベートヴェンのピアノ作品の手本となったクレメンティらしさを感じました。クレメンティ、イタリア出身ですがイギリス育ちでイギリスでの名声が高い人です。いわば、ヘンデルやハイドンの系列に入るような作曲家でそういった面でもかっちりした構成主義な作品の良さをM.Oくんの演奏は体現していたように思います。なお、ドビュッシーの「子どもの領分」で有名な「グラドゥス・アド・パルナッスム」ですが、実はクレメンティが作った教則本です。


M.Oさん  リスト 愛の夢 第3番

 M.Oさん、前口上で「昔は『愛の夢』をラブラブな曲と思っていた」と言っていて「ラブラブなら『夢』とは言わないのでは」とツッコミをいれつつ、調べたら、原曲の歌曲では3番の元々の表題は「おお、愛しうる限り愛せ」というもので、ラブラブな二人ではないにせよ「女性に対して強く恋愛を奨励する歌」という意味ではまああながち間違ってはいません。第一印象大事です。

そして、いざ演奏を聴くと、しっとりした一音一音重さのあるテンポで「フジコヘミングの演奏で印象が変わった」という言葉もうなずけます。そして、ソフトペダルなしで全曲音色弾き分けという力業。しかも盛り上がる箇所でも決して音が濁らないという凄さ。実はフジコヘミングの演奏では、伴奏が靄のかかったような、絵画に例えるならモネのような表現なのですが、M.Oさんの演奏ではマティスのように鮮やかでした。




●第2部

M.Oくん・A.Oさん(vn)・M.Oさん(鍵ハモ)  ゴダイゴ 銀河鉄道999

 この曲、いつのまにかJRの定番曲になりつつあり、松本零士とゆかりのある山陽新幹線の発車音楽だけかと思っていたら、なんか鉄道100周年のイべントでもよく流れていました。発車音楽には弦と鍵盤ハーモニカ的な音も入っているので、今回の演奏はまるで博多駅にいるように錯覚してしまいました。とはいえ、生演奏でしかも合奏ですから、(原作とは違う美形キャラになった)アニメ作品での哲郎の精悍さも味わう事ができました。A.Oさんのヴァイオリン、やはりボーイングも音程も安定して良い感じになっていました。鍵盤ハーモニカも存分に歌えるから良いですね。ピアノ伴奏も柔軟さがあって合奏の良さを感じました。


A.Mさん  坂本龍一 鉄道員(ぽっぽや)

       坂本龍一 Energy Flow

 坂本龍一はピアニストのグレン・グールドが好きで、グレン・グルードが好きと言う事は、坂本龍一はピアノをピアニスティックに弾くことは好まないという事になります。実際、彼の演奏を聴くとかなり淡々としたもので、ピアノはあくまで音を出すため道具で、設定した通りの音程・音色が出ていればよいとでも思っているかのような感じでした。元々は前衛音楽家ですから、そうであっても不思議ではありません。とはいえ、彼の作った抒情的な作品群は多くの人を魅了し、彼の演奏を参考に感情を抑制した演奏をする人が多い気はします(そもそも、そう演奏できるように作られている)。

しかし、A.Mさんの演奏は、極めてピアニスティックかつ情感を湛えた坂本龍一でした。「ピアニスティック」とはピアノという楽器の特性をフル活用しているということです。でも、そういう作品じゃないので、本来は無理があるはずなのです。それでも、その無理を押し通すのがA.Mさんなのです。「情感を湛えた」というのは、別にテンポを揺らすとかコブシを入れるとかでなく、一音一音に強い想いを入魂している感じなのです。これも、坂本龍一の作法とは真逆な訳で、つまりは坂本龍一を通したA.Mさんの世界が具現化したのです。ともあれ、圧巻でした。


M.Iさん  バッハ パルティータ第1番 BWV825 メヌエット1、メヌエット2、ジーグ

 A.Mさんのピアニスティックな演奏から、アーティキュレーションが明確なややグールド寄りのM.Iさんのバッハ演奏。坂本龍一が好きだったグールドといえば、やはりバッハ。なかなか練られた順番です。グールド寄りといっても、メヌエットのニュアンスの変化、ジーグの思い切った疾走感など、M.Iさんならではの味わいでバッハの面白さを再認識させてくれました。


N.Tさん  坂本龍一 Merry Christmas Mr. Lawrence

 そして坂本龍一に戻ります。「坂本龍一を偲んで」ということで、Merry Christmas Mr. Lawrence 。この曲はおそらくは最も世の人に知られた曲で、これから彼が思い出される時には必ず想起される音楽でしょう。この曲の元である映画「戦場のメリークリスマス」は一言でまとめれば「立場の違う人々が不思議な縁で親交を結び、時代の流れで最後は死んでしまう」という話で、映画の最後の台詞がまさに「Merry Christmas Mr. Lawrence」なのです。N.Tさんの演奏は、徐々に変容してゆくメロディそしてミニマムに刻まれるリズムに存分に哀悼の想いを込めて歌い上げてくれました。A.Mさんとはまた違った形の作曲者への愛の形だと思います。


M.Iさん  ショパン 練習曲 Op.10-1

   リスト リゴレット・パラフレーズ

 哀歌の次は、さんさんと照る太陽のようなM.Iさんの演奏でした。Op.10-1は息の長いフレージングをきっちりコントロールしていて、小節ごとに移ろう色彩をしっか弾き分けていました。テクニックには、早く正確に明確に弾くという事は無論ありますが、イメージした音を実際に具現化できるかという事もあり、それがなかなか大変だろうと想像するのですが、既にもうそのレベルに達していて、その備わったツールを使って自分の音楽を構成しているという感じの堂々たる演奏でした。

リゴレットパラフレーズは、リストにありがちなオペラ啓発のためのコンサートピースでかなり技巧的な作品です。今でいう所のディズニーメロディーのようなものですね。リストの演奏会に来た観客が「あ、このメロディ知ってる!」となるように装飾的なパラフレーズの中にうまい具合に歌の旋律を潜ませてウケを狙うという感じです。とはいえ、現代人にとって、ベルディのリゴレットを通しで鑑賞するのはブルーレイでも容易ではなく、図らずもリストのこうした編曲でリゴレットのメロディが伝承されるという事になっています。M.Iさんの演奏は、不必要に技巧だけに走らずオペラの各メロディをまさにベルカントで歌っているかのようにテヌートなどを入れて表現し、まさに作曲当初の目的に沿った演奏でした。




●第3部

M.Oさん  ハチャトリアン こどものアルバム「少年時代の画集」より 「小さな歌(イワンの歌)」

       ガルッピ ピアノソナタ ハ長調 1楽章

       バルバトル ロマンス

 前口上でも語りましたが、改めて。音楽との出会いとその後は「曲名がすぐわかり、楽譜もすぐに手に入る」「曲名もわからず、楽譜も手に入らない」「曲名はわかったが楽譜が手に入らない」の三つのパターンがあり、ハチャトリアンは最初のパターン。ガルッピは二番目のパターン。そしてバルバトルは三番目のパターンでした。

ハチャトリアンは北大ピアノクラブ時代のM.Mさんが演奏会で弾いたのが出会いで、すぐに楽譜を買いました。全音の楽譜には「小さな歌」と題されてましたが、どうもそれはイギリスの出版社がつけた題名らしく、元々は「イワンの歌」だったようです。作曲時期もまだ作曲家として地位を確立してないアルメニア時代のもので、まさについこないだの少年時代の印象という事です。そして、その時点で作風が確立しているのはさすが民族主義の作曲家です。最近は作曲者本人の演奏も見る事ができ、参考にしつつも、もうちょっとセンチメンタルな感じで演奏しました。

ガルッピのソナタはFMの音楽番組のテーマ音楽としてずっと流れていて、だいたいそういうのは番組が始まった時に紹介さてその後は言及されないもので、謎の曲でした。が、なんとミケランジェリがかなりな頻度で演奏している事がわかり、その録音がテーマ音楽として流れていたのでした。曲名はわかりました。しかし楽譜が見つからない。しかし、昨年、某IMPSLであっさり発見。目出度く弾く事ができるようになりました。 

バルダッサーレ・ガルッピはイタリアバロック後期のヴェネチアのオペラ作曲です。ソナタはその彼が残したチェンバロの音楽です。同時代のC.P.Eバッハなどとはまた違った、晴れわたった地中海の陽光を彷彿とされるようなシンプルで美しい音楽です。なかなかこの曲の透明感が出せずに苦労しましたが、やはり音が濁ってしまいました。

最後の「ロマンス」は、フランス王政時代末期の作曲家、クロード=ベニーニュ・バルバトルの作品です。これはヨウラ・ギュラーという名ピアニストが弾いていたのを気に入って、曲名はその時点でわかったのですが、楽譜がなかなか見つかりませんでした。欧州に旅行した時も、結構あちこちの楽譜屋さんを探しましたが見つかりませんでした。が、やはり某IMPSLのおかげで昨年、楽譜も手に入りついに弾けることになりました。ちょっと早めのテンポで始めてしまいミスタッチの連続となってしまいましたが、フランス王政時代末期のロココ趣味な感じが少しでも伝わっていれば幸いです。


A.Oさん、M.Oさん連弾  鷲巣詩郎 映画「新劇場版エヴァンゲリオンQ」より Quatre Mains

 バロム1などのピー・プロ特撮を作った父親、そして「サザエさん」「サスケ」などを手掛けたアニメ制作会社エイケン創業者の叔父に囲まれてで育った鷺巣詩郎は当然のことながら特撮・アニメ漬けの少年期をすごし、ゴジラの伊福部昭の影響を受けつつ、作曲家として独立した後も、やはり当然ながら特撮魂な庵野秀明と意気投合します。その特撮魂がアニメ・エヴァンゲリオンの音楽に結実しました。その後、庵野秀明がファンに「迷走しているのか?」と言われた新劇場版エヴァンゲリオンQに提供されたのがこの作品です。確かに前作に続き謎解きはさらに混迷を深め、設定も唐突さは否めない所はありますが、やはりスパイスのようにこのフランス近代(しかも、イベールとかの方向性)っぽいQuatre Mains が入っていて、鷺巣詩郎は庵野監督の事をわかっているなと思ったものでした。Quatre Mainsは直訳すれば四手、つまりは連弾という事になりますが、エネルギーに溢れる曲想で、シンジとカヲルの忌憚なきぶつかり合い(つまりは監督とファンとのぶつかり合い)をうまく表現している楽曲です。ひく予定だったものが中止になって、ついにお披露目となってよかったです。親子ともども譲ることなく、溜めてきたものが一気に噴き出していた感じで、「サードインパクトから14年」という訳ではないですが、A.Oくんも背が伸びて筋力も増大して時間の流れを感じざるを得ない豪快な連弾でした。


M.Mさん  スクリャービン ピアノソナタ第3番 Op.23 第1楽章

 スクリャービンのこの曲、個人的にM.Mさんのこのテンポが好きなのです。でも、なかなかこのテンポで弾く人がいない。近いのはグールドの演奏ですが、あまりスタンダード扱いはされてない。確かにdramaticoの指示の通りなら、どうしたって最初にガツンと始めたいでしょうから、そこからテンポを落とすのは不自然でしょう。とはいえ、この曲にはやはり官能性を漂わせ欲しい。そして、M.Mさんのテンポでじっくり音色の階層の揺らぎや遷移を観ていたいのです。ドラマといっても、常に劇的とは限らない。そういう意味で、他では聴くことのできない貴重な演奏で大いにスクリャービンを堪能できました。




●おまけ:アフターピアノンノ雑感


いつもより皆さん、自由にあれこれ演奏していて楽しかったですが、特に


鍵盤ハーモニカとピアノの合奏による

「ニューシネマパラダイス」「ピアソラのリベルタンゴ」「ハウルの動く城」、

ヴァイオリンとピアノ合奏の「情熱大陸」、

ジョージアの作曲家アラザシビリ「無言歌」の初見演奏、

カバレフスキー「ソナチネ」、ショパン「子守歌」、ガーシュイン「前奏曲」

ハチャトリアン「エチュード」

ショパン「夜想曲Op.9-2」


などが印象に残りました。


アラザシビリ「無言歌」はヴァイオリンや鍵盤ハーモニカと合わせても凄く合いそうだと思いました。やはり歌ですからね。


ここまで-----------------------------------------------------------------------------



M.Oさんの雑感はいつも、ウィットに富んでしかもロジカルで、読んでいておもしろく勉強になります。でも寝てないんじゃないかと心配になります。ちゃんと寝てくださいね。


ありがとうございました!!!






4 件のコメント:

  1. ユング松井2023年7月31日 3:09

    今年も愛にあふれる所感をありがとうございます。自分の演奏に感想をもらえるなんて、すごい贅沢です。ありがとうございます。

    坂本龍一の訃報は個人的にかなりでした。これは弾くしかないと思いました。

    坂本はオネアミスの翼からです。あの不思議世界の音楽に、これはいったいどこの音楽だ?と興味を惹かれました。でも年齢とともに感じ方も変わりました。鉄道員もエナジーフローも、自分の中にイメージがあって、それが伝わるといいな、天国に届くといいなと思いながら、指先に念を込めて弾きました。

    込めたものが天国に届いたかどうかはわかりませんが、ベストは尽くしたので悔いはないかな。

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  2. 雑感を書いたM.Oです。昨日届いたBDを観たら、H.Sさん「浴衣姿のシンデレラ」ではなかったですね。H.Sさん、そしてK.Sさん、せっかく演奏のための衣装を準備されたのに、いい加減な事を書いて誠に申し訳ありませんでした。K.Mさんの美女と野獣の浴衣姿とその譜めくりをされていたK.Sさんの印象が混在してしまったのかもしれません。

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  3. A.Mさんの演奏は叙情的でだいすきです。坂本龍一の音楽の特徴のひとつは「人工的なビートに適度なメロディを載せてる」ところだと思ってるので、メロディがピアニスティックだと人工的なビートも引き出されて、聞いていて楽しいです。

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    1. Y.Oさん。
      私は技術的・学問的なことは完全に素人で、思ったまま感じたまましか頭になく、盛大にミスタッチしながらで息も絶え絶えでした(笑)。

      でも映画「鉄道員」はなにからなにまで好きで、弾くならこれだと思っていたので、弾けてよかったです。そして、演奏会のとき、セミの声が合っていた、と言ってくださったのが実はとても嬉しかったです。ありがとうございます。

      そしてY.Oさん、Y.Oさんの独創的な演奏と音楽に対する姿勢が私は大好きです。ぜひまた演奏を、独特な世界を、楽しませてください。楽しみにしています。

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